井の中の蛙、カイラス山巡礼に挑む!

夢のカイラス巡礼を終え、登山を再開しました。山岳信仰の延長上に四国遍路、カイラス山巡礼があり、原点の登山に戻ります。

オプタテシケ山 ・ 10’4月

2010-04-10 17:17:27 | 十勝岳山系の山
 4月7日、先月登ったトムラウシ山から雄大な姿を見せていたオプタテシケ山へ行ってきました。
今回も山スキーです。

オプタテシケ山は十勝岳連峰の一番東端にあり2千メートルを超える雄大な山です。
普通は美瑛町側から登るのですが、それでは日帰りが出来ないので新得側から
登ることにしました。

 この場合ネックとなるのが行程の長さです。
林道がどこまで除雪されているかで全体の行程が変わってきます。

 この正月休みに北大山岳部の人達が新得側からオプタテシケ山に登ったという
記録があり、この中で東大雪荘へ行く道路から5~6キロ先にある殿狩橋まで
除雪されていたということです。
この記録どおりに今も除雪されているかどうか森林管理署(旧営林署)に
問い合わせましたがはっきりしません。

 そこで清水町に住んでいる友達に現地を確認してもらうことにしました。
その結果、殿狩橋の少し先まで除雪されていることが確認できました。

この情報を基にオプタテシケ山登山計画を建て、4月6日に実行することとなりました。
メンバーは、前回トムラウシ山へ行った3人に加え数年前にこのコースから
オプタテシケに登ったS氏を加えた4人です。

 10日ほど前から天気予報を確認しているのですが、今回もはっきりしない天気予報です。
直近になっても決行予定日の6日は雨の予報です。
そこでいくらか天気が回復しそうな7日を決行日として6日の昼に札幌を発ち
東大雪荘に1泊、翌日早朝からオプタテシケ山を目指すことにしました。

 6日の午後から雨、夜には雪という予報を背にして東大雪荘に向かいます。
夕方東大雪荘に着く頃には雪がパラパラと降ってきます。
翌日の天気はあまり期待できない空模様の中、3時30分起床ということで
9時には就寝します。

 朝、目を覚まして空を見ると細かな雪がパラパラと降っています。
周りの木々の枝にはびっしりと降った雪が張り付いています。
地面には15センチほど積もった雪があります。
この様子ではどこまで行けるか分かりませんが、とりあえず登山準備をして決行します。

4時30分頃、東大雪荘を後にして殿狩橋へ向かいます。
道路のあちらこちらに雪の重さで折れた枝が落ちて散乱しています。
落ちた枝の中にはかなり太い枝もあります。
すべて湿った雪が木の枝に張り付きその重さに耐えられず折れたのです。
さらに、昨夜の気温は高かったようで地面にある水たまりは凍っていません。

曙橋から右折して殿狩橋を目指します。
5時前に殿狩橋から700~800m先にある除雪終点となる砂防ダムに
車をデポしてここからはスキーで山頂を目指します。

5時10分、まずは林道を歩き三股橋を目指します。
      
      シーンとした林道を歩きます。     
     
 空からはポツポツと降ってくる雪、周りの木々は樹氷で覆われています。
シーンと静まりかえった空気の中、時折聞こえてくる沢水の流れる音を耳にしながら
林道を歩きます。

1時間30分ほどで三股橋へ到着。橋を渡り、さらに林道を詰めていきます。

林道の先には開発局の雨量観測所があります。
この先はエゾマツと広葉樹の混合林です。
磁石を見ながら北東を目指します。

オプタテシケ山の南面は、山頂から深い谷が南南東に延びています。
この沢沿い西側の尾根を登る予定です。

 混合林の林の中を歩いていると所々にピンクのリボンがあります。
このリボンを目印に快調に登っていきます。
上空の空模様は相変わらずどんよりと曇っています。
視界はあるのですが、小雪が降ったり止んだりしています。
しかし、風がないのが何よりです。
ほとんど無風といっていいくらいなのです。
気温も高く、寒暖計の目盛りは1度を指しています。
休みながら標高を獲得していきます。

 混合林を30分ほど抜けるとはっきりした沢形が見えてきます。
沢の上部は雲の中に隠れています。
ここから、左岸に広がる混合林を登りちょとした尾根上の斜面を目指すことにします。

 混合林を抜けると、ちょうど雲の下辺部に来たのか視界がドンドン無くなってきます。
多少風も吹いてきます。
視界が50mを切るようになってきたので用意してきたデポ旗を立てながら登ります。
傾斜も一気に増してきます。
クラストした雪の上に10~15センチの新雪が積もっています。
気になっていた雪崩の心配ですが、クラストした雪と昨夜降った新雪の接合面は
馴染んでいるようなので雪崩の心配はないと判断しました。

 1300mを超えると雪の状態が少し変わってきます。
クラストしている雪面がガチガチに堅くなった斜面に変わってきます。
視界も相変わらずありません。
時折20mもないようになってきます。

 標高1600mを少し超えた辺りで11時を回ってしまいます。
山頂までの水平距離は700メートルほどですが、標高差で400mは残っています。
行動終了時間を12時に設定していましたので、残りの時間で山頂まで行くのは無理です。
メンバーの体調、斜面の状態、視界の無さなどを考え、ここから下山することとしました。

 スキーからシールを外し下山準備をしていると、一気に視界が開けてきます。
いままで見えなかった斜面が見えるようになりました。
      
      これが晴れてきて見えたオプタテシケ山の上部です。

      
      麓の斜面に陽が差しています。左下に向かって滑ります。

 これから滑り降りる斜面が見えましたが、それは標高差600mはあろうかという
大斜面です。
その斜面に向かい、一気に滑り降ります。
心配されていた視界も開けてきたので何の心配もありません。

 木々はまばらですので開放された大斜面が眼下に広がっています。
その斜面をスキーで滑るのは何物にも代え難い開放感が味わえます。
私はターンをする度に小さな声を発しながら滑り降ります。
足ががたついて転んでしまいます。
でも、新雪がやさしくクッションになってくれるので痛くありません。
何度かに区切ってこの大斜面を堪能しました。
    
    滑ってきた斜面を振り返ります。丁度陽が差している辺りから滑りました。

 でも、まだまだ楽しみは残っています。
このあとには混合林の中を滑る楽しさが待っています。
大きなエゾマツの横をすり抜けたりしながらドンドン高度を落とします。
沢形の地形がはっきりする場所まで降りるとこの大滑走も終わりに近づきます。
    
     深い谷から山頂部にかけて雲が湧きだしています。
     空には青空が広がっていますが、山頂部から雲がなくなることはありません。

    
     滑り降りた斜面に陽が差して、また来なさい!と私達を誘っています。
   
 雨量観測所までの混合林を滑り終えると今日の山スキーは終了です。
あとは林道を滑り、車のデポ地点まで降りるだけです。


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 本州では櫻が開花し、お花見をしている光景がテレビで報じられています。
でも、北海道はまだまだ冬が残り、春の足音がやっと聞こえてきたかという
季節なのです。

 そんな中での山スキーです。
天候の変化に一喜一憂して登り、そして滑ります。

今回も天候の変化に翻弄されましたが、4人とも怪我もなく楽しく山スキーが出来たのが一番です。

オプタテシケ山の山頂には、いつか立てる日が来ると思います。
それまでのお預けです。     


 あとは車のデポ地点に向かった林道を滑り降ります。