今年は、知床公園線の交通規制が6年振りに一部解除されることになりました。
今までは、カムイワッカの先が交通規制により立ち入り出来なかったために羅臼岳から硫黄山へ縦走しても折り返しで羅臼岳側に戻ってこなければなりませんでした。
それが、今年の6月25日から8月25日までの2か月間、カムイワッカから硫黄山の登山口までの6百メートルが登山者に限り立入制限が解除されることになりました。
このため、ウトロから羅臼岳に登り硫黄山を経由してカムイワッカに下山するという縦走が可能になりました。
この立入制限区間に関しては事前申請などいろいろな手続きがあります。
詳しくは、http://www.okhotsk.pref.hokkaido.lg.jp/kk/akk/shiretoko_riyou.htm を参照してください。
さて、知床硫黄山にはシレトコスミレという白い可憐な花が咲いています。
この花に特別な思いを寄せているIさんと一緒に硫黄山を登ることになりました。
私は、40年ほど前にこの硫黄山の方まで登っていますが、この時は山頂は登っていません。
そんな訳で、山頂を踏んでいない私と山頂近くに咲くシレトコスミレを見たいIさんとの山行になりました。
7月2日、札幌を朝8時に発って一路斜里町ウトロを目指します。
高速道路の休日千円が無くなったので高速料金を心配してましたが、休日50%割引の適用で1,800円とそれほどの負担ではなく、ホット一息。
それにしてもウトロまで400キロ、約7時間掛かりました。
今夜は、ウトロの道の駅駐車場でテント泊です。
駐車場には土曜日の夜とあってキャンピングカーや車中泊をする車が20台以上が駐車しています。
きっと、夏休みにはいると車中泊の車で埋まってしまうことでしょう。
7月3日、朝、目を覚ますと快晴です。
天気予報では曇りだったのですが、天は私達に味方してくれたようです。
早速、昨夜向かいのコンビニで買い求めた弁当を食べて出発の準備をします。
そして、カムイワッカの登山口を目指して車を走らせます。
知床峠の分岐点を左に曲がり、知床五湖の分岐点を過ぎるといよいよ林道を走ります。
それにしても、この林道は良く整備されています。
日高の林道とはエライ違いです。
木漏れ日指す林の中の林道を快適に走ります。
5:40分、カムイワッカに到着です。
ここには、管理詰所が設けられています。
この詰所に備えられているポストに「道路特例使用承認書」のコピーを入れて規制区域に入ります。
硫黄山の登山口はこの林道を左手に進んだ先にあります。
林道を歩いていると、早速、鹿君のお出迎えに逢いました。
この鹿くん、まったく我々の存在を意に介さないようです。
このように知床ではどこにでも鹿が現れます。
ハッキリ言って鹿は増え過ぎです。
早く適正数量に駆除をしないと森林破壊も進み大変なことになります。
それほど、鹿の食害が深刻な問題となってきているのです。
6:00分、硫黄山の登山口(標高250m)に到着しました。
ここから硫黄山(1,563m)の山頂までは、標高差1,300mほどあります。
知床は海岸近くから直ぐ山になっていますので標高自体はそれほどの山ではありませんが思った以上の標高差があります。
この登山口に立つのは、実に40年振りなのです。
40年前に、この林道の少し先にあるウブシノッタという沢を登ったとき以来です。
登山口から登り出すと快適な登山道があります。
珍しく笹のない陽の当たる明るい登山道です。
この登山道を気持ちよく快適に歩きます。
気温が上がっているせいか幾らも歩かないのに汗ばんできます。
ほどなく林を抜けると見晴らしが一気に開けます。
前方に硫黄山が見えてきます。
この登山コースは、カムイワッカの沢と硫黄沢に挟まれた尾根を登り、硫黄沢からウブシノッタの源流部とぶつかる尾根を目指します。
右手に深い沢が見えてきますが、この沢がカムイワッカの沢です。
沢の右岸から温泉水が出ています。
この温泉水が沢水と混ざり下流の滝壺が天然温泉のお風呂となっています。
これが、有名なカムイワッカの湯の滝です。
6:45分、硫黄採掘所跡に到着です。
ここは昔、硫黄の採掘を行った場所です。
昔、組んだ石の壁が見えます。
今でも、硫黄の採掘権を所有している人がいると聞いたことがあります。
ここからは低いハイ松の中を歩きます。
登山道は所々整備されており6年間人が入っていない道とは思えないくらいです。
7:35分、噴火口に到着です。
あちらこちらからシュー、シューと白い湯気が吹き出ています。
この湯気は亜硫酸ガスです。
硫黄の臭いがたちこめています。
大きな噴火口が見えます。
この辺りにはイソツツジが咲いています。
阿寒の川湯にある硫黄山の辺り一面咲いているツツジと同じものです。
ゴゼンタチバナです。
8:25分、いよいよ小さな沢の中に入ります。
この沢を源頭部まで詰めます。
沢に入って3百メートルほどで雪が出てきます。
沢を埋める残雪です。
足元が滑るので、今回は時間節約のために4本歯の簡易アイゼンとストックを使って登ることにしました。
1,100m辺りで沢が二股になっています。
左の沢を進みます。
日当たりの良い岩の上にコザクラが咲いています。
北海道の山は雪解けの進み具合に会わせていろいろな花が一気に咲き出します。
左股の雪の上に不思議な光景が広がります。
雪の上に落ちた落ち葉などが吹きだまり不思議な模様となっています。
10:00分、やっと沢の源頭部に到着です。
右手には硫黄山の山頂が見えます。
左手には、ウブシノッタの源流部からの尾根とその先には知床岳が見えています。
この砂礫岩の尾根に40年ほど前にウブシノッタの沢を登って来た記憶が蘇ります。
あのときは、GWの残雪期を利用してウブシノッタの深い沢を歩いて登ってきました。
そして、知床岳の思い出も蘇ります。
チャカパパイの沢を登り、知床岳に山頂に続くテッパンベツの沢を降って来たのです。
いずれも、遠い昔の記憶ですが、こうやってそれらの沢や山を目の前にするとあのときの光景が思い出されます。
懐かしさのあまり、ちょっと目頭が熱くなりました。
さあ、この源頭部にシレトコスミレがあるはずです。
「あっ、あった!」Iさんの声がします。
どうやら念願のシレトコスミレを見つけたようです。
声のする方へ行って地面をよく見るとありました。
思ったより小さな花です。
白い可憐な花を付けています。
(シレトコスミレは知床の固有種ではありません。)
良く数えると20株以上はあったようです。
ここから山頂を目指します。
山頂へは羅臼岳側へ回り込むように登ります。
雪渓を利用して登り、そこから左手に回り込みます。
私達の先に4人ほどの登山者がいます。
その人達が降りてきます。
山頂部は、ガラガラの岩場となっており浮き石が沢山あります。
コースも不明瞭です。
初心者の方には厳しいコースとなっています。
登りは良いとしても降りには細心に注意が必要です。
私とIさんはこの岩場を注意して登ります。
10:45分、やっと山頂です。
山頂からは羅臼岳が見えています。
雄大な光景です。
目の前には知円別岳に続く荒々しい光景が広がります。
そして、山頂にもお花畑がありました。
ミネズオウです。
ミヤマキンバイです。
イワウメです。
アオノツガザクラす。
眼下に広がるオホーツク海には漁船や遊覧船の白い航跡が眩しく光ります。
離れがたい山頂ですが、何しろ今日中に札幌まで帰らなければなりません。
後ろ髪を引かれる思いで山頂から降ります。
そして、羅臼岳に続く稜線に目をやって、「必ず歩きに来るから!」と声を掛けます。
雪渓のところまで降って昼食を取ります。
今日は日差しも強く、気温が20度もあります。
知床岳を見ながら昔を思い出し、至福の時間を過ごします。
離れがたい山頂下を11:35分、後にします。
ここからは、尾根に咲くシレトコスミレに別れを告げ、まっしぐらに登山口を目指します。
14:10分、登山口に到着です。
快晴という天気に恵まれた登山でした。
振り返ればオホーツク海のブルーの海が広がる。
開放感一杯の登山でした。
そして、40年前の若かった日に登った山を目に前に出来た充実の登山でした。
ア~、ア~ァ! あの日に帰りたい!
そんな気持ちにさせられた1日でした。
最後にログを落とした地図を貼り付けておきます。
今までは、カムイワッカの先が交通規制により立ち入り出来なかったために羅臼岳から硫黄山へ縦走しても折り返しで羅臼岳側に戻ってこなければなりませんでした。
それが、今年の6月25日から8月25日までの2か月間、カムイワッカから硫黄山の登山口までの6百メートルが登山者に限り立入制限が解除されることになりました。
このため、ウトロから羅臼岳に登り硫黄山を経由してカムイワッカに下山するという縦走が可能になりました。
この立入制限区間に関しては事前申請などいろいろな手続きがあります。
詳しくは、http://www.okhotsk.pref.hokkaido.lg.jp/kk/akk/shiretoko_riyou.htm を参照してください。
さて、知床硫黄山にはシレトコスミレという白い可憐な花が咲いています。
この花に特別な思いを寄せているIさんと一緒に硫黄山を登ることになりました。
私は、40年ほど前にこの硫黄山の方まで登っていますが、この時は山頂は登っていません。
そんな訳で、山頂を踏んでいない私と山頂近くに咲くシレトコスミレを見たいIさんとの山行になりました。
7月2日、札幌を朝8時に発って一路斜里町ウトロを目指します。
高速道路の休日千円が無くなったので高速料金を心配してましたが、休日50%割引の適用で1,800円とそれほどの負担ではなく、ホット一息。
それにしてもウトロまで400キロ、約7時間掛かりました。
今夜は、ウトロの道の駅駐車場でテント泊です。
駐車場には土曜日の夜とあってキャンピングカーや車中泊をする車が20台以上が駐車しています。
きっと、夏休みにはいると車中泊の車で埋まってしまうことでしょう。
7月3日、朝、目を覚ますと快晴です。
天気予報では曇りだったのですが、天は私達に味方してくれたようです。
早速、昨夜向かいのコンビニで買い求めた弁当を食べて出発の準備をします。
そして、カムイワッカの登山口を目指して車を走らせます。
知床峠の分岐点を左に曲がり、知床五湖の分岐点を過ぎるといよいよ林道を走ります。
それにしても、この林道は良く整備されています。
日高の林道とはエライ違いです。
木漏れ日指す林の中の林道を快適に走ります。
5:40分、カムイワッカに到着です。
ここには、管理詰所が設けられています。
この詰所に備えられているポストに「道路特例使用承認書」のコピーを入れて規制区域に入ります。
硫黄山の登山口はこの林道を左手に進んだ先にあります。
林道を歩いていると、早速、鹿君のお出迎えに逢いました。
この鹿くん、まったく我々の存在を意に介さないようです。
このように知床ではどこにでも鹿が現れます。
ハッキリ言って鹿は増え過ぎです。
早く適正数量に駆除をしないと森林破壊も進み大変なことになります。
それほど、鹿の食害が深刻な問題となってきているのです。
6:00分、硫黄山の登山口(標高250m)に到着しました。
ここから硫黄山(1,563m)の山頂までは、標高差1,300mほどあります。
知床は海岸近くから直ぐ山になっていますので標高自体はそれほどの山ではありませんが思った以上の標高差があります。
この登山口に立つのは、実に40年振りなのです。
40年前に、この林道の少し先にあるウブシノッタという沢を登ったとき以来です。
登山口から登り出すと快適な登山道があります。
珍しく笹のない陽の当たる明るい登山道です。
この登山道を気持ちよく快適に歩きます。
気温が上がっているせいか幾らも歩かないのに汗ばんできます。
ほどなく林を抜けると見晴らしが一気に開けます。
前方に硫黄山が見えてきます。
この登山コースは、カムイワッカの沢と硫黄沢に挟まれた尾根を登り、硫黄沢からウブシノッタの源流部とぶつかる尾根を目指します。
右手に深い沢が見えてきますが、この沢がカムイワッカの沢です。
沢の右岸から温泉水が出ています。
この温泉水が沢水と混ざり下流の滝壺が天然温泉のお風呂となっています。
これが、有名なカムイワッカの湯の滝です。
6:45分、硫黄採掘所跡に到着です。
ここは昔、硫黄の採掘を行った場所です。
昔、組んだ石の壁が見えます。
今でも、硫黄の採掘権を所有している人がいると聞いたことがあります。
ここからは低いハイ松の中を歩きます。
登山道は所々整備されており6年間人が入っていない道とは思えないくらいです。
7:35分、噴火口に到着です。
あちらこちらからシュー、シューと白い湯気が吹き出ています。
この湯気は亜硫酸ガスです。
硫黄の臭いがたちこめています。
大きな噴火口が見えます。
この辺りにはイソツツジが咲いています。
阿寒の川湯にある硫黄山の辺り一面咲いているツツジと同じものです。
ゴゼンタチバナです。
8:25分、いよいよ小さな沢の中に入ります。
この沢を源頭部まで詰めます。
沢に入って3百メートルほどで雪が出てきます。
沢を埋める残雪です。
足元が滑るので、今回は時間節約のために4本歯の簡易アイゼンとストックを使って登ることにしました。
1,100m辺りで沢が二股になっています。
左の沢を進みます。
日当たりの良い岩の上にコザクラが咲いています。
北海道の山は雪解けの進み具合に会わせていろいろな花が一気に咲き出します。
左股の雪の上に不思議な光景が広がります。
雪の上に落ちた落ち葉などが吹きだまり不思議な模様となっています。
10:00分、やっと沢の源頭部に到着です。
右手には硫黄山の山頂が見えます。
左手には、ウブシノッタの源流部からの尾根とその先には知床岳が見えています。
この砂礫岩の尾根に40年ほど前にウブシノッタの沢を登って来た記憶が蘇ります。
あのときは、GWの残雪期を利用してウブシノッタの深い沢を歩いて登ってきました。
そして、知床岳の思い出も蘇ります。
チャカパパイの沢を登り、知床岳に山頂に続くテッパンベツの沢を降って来たのです。
いずれも、遠い昔の記憶ですが、こうやってそれらの沢や山を目の前にするとあのときの光景が思い出されます。
懐かしさのあまり、ちょっと目頭が熱くなりました。
さあ、この源頭部にシレトコスミレがあるはずです。
「あっ、あった!」Iさんの声がします。
どうやら念願のシレトコスミレを見つけたようです。
声のする方へ行って地面をよく見るとありました。
思ったより小さな花です。
白い可憐な花を付けています。
(シレトコスミレは知床の固有種ではありません。)
良く数えると20株以上はあったようです。
ここから山頂を目指します。
山頂へは羅臼岳側へ回り込むように登ります。
雪渓を利用して登り、そこから左手に回り込みます。
私達の先に4人ほどの登山者がいます。
その人達が降りてきます。
山頂部は、ガラガラの岩場となっており浮き石が沢山あります。
コースも不明瞭です。
初心者の方には厳しいコースとなっています。
登りは良いとしても降りには細心に注意が必要です。
私とIさんはこの岩場を注意して登ります。
10:45分、やっと山頂です。
山頂からは羅臼岳が見えています。
雄大な光景です。
目の前には知円別岳に続く荒々しい光景が広がります。
そして、山頂にもお花畑がありました。
ミネズオウです。
ミヤマキンバイです。
イワウメです。
アオノツガザクラす。
眼下に広がるオホーツク海には漁船や遊覧船の白い航跡が眩しく光ります。
離れがたい山頂ですが、何しろ今日中に札幌まで帰らなければなりません。
後ろ髪を引かれる思いで山頂から降ります。
そして、羅臼岳に続く稜線に目をやって、「必ず歩きに来るから!」と声を掛けます。
雪渓のところまで降って昼食を取ります。
今日は日差しも強く、気温が20度もあります。
知床岳を見ながら昔を思い出し、至福の時間を過ごします。
離れがたい山頂下を11:35分、後にします。
ここからは、尾根に咲くシレトコスミレに別れを告げ、まっしぐらに登山口を目指します。
14:10分、登山口に到着です。
快晴という天気に恵まれた登山でした。
振り返ればオホーツク海のブルーの海が広がる。
開放感一杯の登山でした。
そして、40年前の若かった日に登った山を目に前に出来た充実の登山でした。
ア~、ア~ァ! あの日に帰りたい!
そんな気持ちにさせられた1日でした。
最後にログを落とした地図を貼り付けておきます。