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グリュミオーの美音

2016年07月02日 23時58分34秒 | バッハ
イギリスのEU脱退には、驚きましたねえ。こんな大胆なことが現実となるとは。聞くところによれば、まさかこんな結果になるとはと思っている英国人も多いとか。確かに主張するひとは多いでしょうが、それはいくら言っても実現しないからだと思うんです。世界は共存共栄から偏狭なナショナリズムが主導権握る時代になるのかもしれません。それが大西洋を越えて他国にも影響を与えることがないように祈るばかりであります。なかなか難しいことであります。

それはさておき、今回はJSバッハであります。私はあまりバッハの器楽曲は熱心に聴く方ではなく、「バッハの真髄はカンタータにあり」ということを信奉している輩であります。しかし、ときおり聴くこのジャンルの曲は、たしかに素晴らしい。時にこんな音楽を産み出したJSバッハとはいったい何者なんだろうと、思ってしまうのですねえ。その中で今回は、ヴァイオリン・・ソナタ(ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ)であります。

この曲は、BWV1014~1019までの6曲からなるもので、バッハが30歳代のケーテン時代に作曲されたものでした。5楽章からなる第6番以外は、緩ー急ー緩ー急の四楽章からなり、典型的な教会ソナタの形式です。そしてヴァイオリンとチェンバロの左右両手による三声からなっています。バッハのヴァイオリン曲としては、無伴奏ヴァイオリンによるソナタとパルティータが有名ですが、この両者の驚くべき違いは何なんだ、とついつい思ってしまいますね。

そして、この曲ですが、今や古楽器によるものが主流になっているのかと思ってしまいますが、私は、モダン楽器の方がどうも好きで、そうなるとシェリングやグリュミオーあたりが上げられますね。シェリングはヴァルヒャとの演奏で、これも有名な演奏であります。しかし今回は、アルテュール・グリュミオーによる演奏であります。チェンバロはクリスティアーヌ・ジャコッテです。1978年と80年の録音。グリュミオーの二回目の録音となります。

この演奏、なんと言っても、グリュミオーのヴァイオリンの素晴らしさに尽きます。たいそう腰の坐ったヴァイオリンの響き、そして、気品にあふれた美音、艶っぽくすすり泣くようで、音色が糸を引くように実に美しいのです。グリュミオーのヴァイオリン、聴いていて、グリュミオーの音色にうっとりさせられてしまいますねえ。このソナタには、美しい曲が多いのですが、その美しさが一層引き立つようです。そして、ジャコッテのチェンバロも格調高く、スキがありませんねえ。

私は、この曲の中でも、ラルゴ、アダージョ、アンダンテの曲が好きです。いいですよねえ。聴き込んでいると、ヴァイオリンによる演奏であるのとを忘れてしまうようです。第1番ロ短調第1楽章アダージョ。ヴァイオリンが泣いているような、切実な美しさが心に染み込んできます。第3楽章アンダンテ。長い旋律でグリュミオーの心情が吐露されるように歌われるヴァイオリン。音色が澄んで実に綺麗です。第2番イ長調第1楽章、幸福感に満ち、優美なヴァイオリン。第3楽章、たいそうな美しさに満ちた曲ですが、グリュミオーの演奏には、悲しみさせ感じます。第3番ホ長調第1楽章アダージョ。伸びやかな旋律をヴァイオリンが実によく歌いますね。第3楽章、この楽章いいですね。受難曲のアリアのような深い感動を感じます。この曲にグリュミオーのヴァイオリンの切実な響きがよく合わさっています。そして第4番ハ短調の第1楽章ラルゴは、マタイ受難曲の「憐れみたまえ」のアリアに似てますが、アルトの歌唱にも負けないヴァイオリンであります。

私がいつもお世話になっております、七味とうがらし様のブログ「What,Me Worry?」に、このグリュミオーのCDが取り上げられていました。同じ頃に同じ曲と演奏を聴いていたんですねえ。今後ともよろしくお願いします。
(Philips 454 011-2 1996年 輸入盤)

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4 コメント

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Unknown (七味とうがらし)
2016-07-03 14:24:45
グリュミオーはこれと、以前買った無伴奏くらいしか持っていないのですが、本当に美しい。惚れ惚れします。
グリュミオーのBOXが出ないかなー。
まだまだバッハ初心者の七味。これからもご教授ください。
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コメントありがとうございます (mikotomochi58)
2016-07-03 23:10:14
七味とうがらし 様、コメント感謝です。ほんとにグリュミオーのヴァイオリンはいいですねえ。私は残念なことに、無伴奏は持ってないのです。欲しいと思っていますが…。以前にグリュミオーのモーツアルトのBOXは出てましたね。これも欲しいかな、と重いのですが…。まだご教示ください。
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まったく同感です。 (しんちゃん)
2016-07-16 17:09:00
私は、シェリング・ヴァルヒャのCDを所有しています。
どうも私にはあわなかったようで、それがそのままこの曲の評価になっていました。
グリュミオー・ジャコッテを聞いてみます。楽しみです。
「グリュミオーのヴァイオリンの素晴らしさに尽きます。グリュミオーのヴァイオリン、聴いていて、グリュミオーの音色にうっとりさせられてしまいますねえ。」
私は、グリュミオーの無伴奏バイオリンソナタ・パルティータをことあるごとに聞き返していますが、その通りだと思います。巷間あまり評価されないですが、お勧めです。
バッハについては、
「時にこんな音楽を産み出したJSバッハとはいったい何者なんだろうと、思ってしまうのですねえ。」
これもまたその通りです。
娘が小学生のころ、同様の話をして、続いて「子供は20人いたんだ」と話したら、くすくす笑われました。良い思い出です。
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コメントありがとうございます。 (mikotomochi58)
2016-07-17 18:53:27
しんちゃん 様、コメント感謝です。グリュミオーの演奏は、シェリングのとは、確かに違いますねえ。私は、グリュミオーの無伴奏は、持っていないのですが、ぜひ聴きたいと思っています。やはりバッハは偉大ですねえ。またご教示ください。
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