「このところマーラーの曲を聴くことが多い。時代どんどんが乾いているからだろうか。東洋人にもわかりやすい音楽だなと思う。『やがて私の時代が来る』と予言し、人間を追い続けたマーラーに20世紀がうなずき始めたようだ」というコピーの背後に「大地の歌」の第3楽章が流れる、そんなCFがむかしありましたね(http://www.youtube.com/watch?v=NSlVsnMbZ48&feature=related 参照)。あのマーラー・ブームのはじまりのころのものでした。サントリー・ローヤルのCFでしたが、なかなかいいものでした。初めて買った「HiFi VIDEO」(これも死後ですねえ)で録画した画像も悪いものを見ていた記憶があります。それで、思わず『大地の歌』のCDを梅田御堂筋にあった大月楽器店で買っていまいましたね!。
ということで、最近、マーラーを聴くことが多い、のです。そのきっかけとなったのは、上岡敏之さんのコンサートがきっかけでありますね。だいたい聴く範囲の少ない人間ですので、これまでもぼつぼつマーラーのCDも買ってけっこう貯まっているんですね。そんなわけでも、この機会にマーラーの音楽についての理解を深めたいと思っています?。そんな視点から、マーラーを聴いております。それで、今回は先日も聴いた、マーラーの交響曲第5番です。演奏は、ブルーノ・ワルター指揮ニューヨーク・フィルハーモニック交響楽団。1947年2月10日、ニューヨークでの録音です。ワルターのこの曲の録音がこれが唯一のものです。モノラル録音で、いいとは言えませんが、それほど音は劣悪ではないので、この演奏の素晴らしさは十分に伝わってくるものです。CDも何種類かは出ていますが、私の持っているものは、下記のものです。
ワルターの演奏というのは、優しく美しく、決して感情的ではない、というように言われますが、この演奏は、そんな印象を持つものではありません。ワルターの演奏に、私は力強い表現力と意志の強固さをいつも感じるのです。そこには優しさなどは、ほとんど感じないのです。同時代に活躍した、トスカニーニとかフルトヴェングラーに感じるものとは違うと思いますが、その音楽には強靱さや真摯さ、緊張感を感じてしまいます。ひとつひとつの音に魂がこもっています。最初の音から最後の音まで、それは力強く一本の芯が通っているのです。聴いていると、ワルターの音楽に対する気持ちが真っ直ぐに伝わってくる、そんな演奏ですねえ。
全体を通じて、61分ということで、かなり速めの演奏です。①11:37、②12:30、③15:30、④7:36、⑤13.52となっています。バーンスタインの約75分に比べるとかなり速めで、速めであるショルティでさえ66分となっています。2・3・4楽章がかなり速めと言えます。その速めために、ネットリとした粘着質のマーラーとは異なります。そして、そんなに速さは感じないんですよね。どの楽器も非常に生気溢れる演奏なので、音楽の密度が非常に高く、隙のない音楽であることがその原因でしょうか。確かに、楽器の音色は非常に生き生きとして、ピーンと張り詰めた緊張感を感じます。加えて躍動感に満ちた曲の展開も非常に心地よいのです。でも、全曲終わったあとは、確かに少々早いなって感じますかねえ。印象深かったには第2楽章。速めのテンポで曲の展開が鮮やか。というのもワルターの指揮のもと、オケが力の限りを尽くしている様子がよく分かる。ここでは曲の表情が刻々と変化するが、それに呼応する指揮もさすがです。そして、第3楽章もその流れを受け継ぎ、ここでの曲の変貌をそれぞれの局面で上手に展開しています。そして、第5楽章、他楽章ほど速くはないのですが、次第に盛り上がりを見せ緊張感が高まっていき、最後は激しいアッチェレランドで曲は閉じます。マーラーの音楽、その変化していく音楽の表現がポイント。それがワルターはうまいなあと感じ入っています。しかし、この曲幾度聴いても支離滅裂的ですねえ。よく分かりません。でも、素晴らしくいい曲です。ゆえに、何も考えずに曲の良さを楽しむのです。
この演奏は、いろんなところから発売されています。それによって音質も違うかも知れません。
私のは、10枚組で2190円で購入しました。この中には1930~40年代のワルターの演奏が収められていて、なかなか充実しています。
(HISTORY.CENTURY MAESTROS.BRUNO WALTER MAESTORO GENEROSO 2000年 輸入盤)
ということで、最近、マーラーを聴くことが多い、のです。そのきっかけとなったのは、上岡敏之さんのコンサートがきっかけでありますね。だいたい聴く範囲の少ない人間ですので、これまでもぼつぼつマーラーのCDも買ってけっこう貯まっているんですね。そんなわけでも、この機会にマーラーの音楽についての理解を深めたいと思っています?。そんな視点から、マーラーを聴いております。それで、今回は先日も聴いた、マーラーの交響曲第5番です。演奏は、ブルーノ・ワルター指揮ニューヨーク・フィルハーモニック交響楽団。1947年2月10日、ニューヨークでの録音です。ワルターのこの曲の録音がこれが唯一のものです。モノラル録音で、いいとは言えませんが、それほど音は劣悪ではないので、この演奏の素晴らしさは十分に伝わってくるものです。CDも何種類かは出ていますが、私の持っているものは、下記のものです。
ワルターの演奏というのは、優しく美しく、決して感情的ではない、というように言われますが、この演奏は、そんな印象を持つものではありません。ワルターの演奏に、私は力強い表現力と意志の強固さをいつも感じるのです。そこには優しさなどは、ほとんど感じないのです。同時代に活躍した、トスカニーニとかフルトヴェングラーに感じるものとは違うと思いますが、その音楽には強靱さや真摯さ、緊張感を感じてしまいます。ひとつひとつの音に魂がこもっています。最初の音から最後の音まで、それは力強く一本の芯が通っているのです。聴いていると、ワルターの音楽に対する気持ちが真っ直ぐに伝わってくる、そんな演奏ですねえ。
全体を通じて、61分ということで、かなり速めの演奏です。①11:37、②12:30、③15:30、④7:36、⑤13.52となっています。バーンスタインの約75分に比べるとかなり速めで、速めであるショルティでさえ66分となっています。2・3・4楽章がかなり速めと言えます。その速めために、ネットリとした粘着質のマーラーとは異なります。そして、そんなに速さは感じないんですよね。どの楽器も非常に生気溢れる演奏なので、音楽の密度が非常に高く、隙のない音楽であることがその原因でしょうか。確かに、楽器の音色は非常に生き生きとして、ピーンと張り詰めた緊張感を感じます。加えて躍動感に満ちた曲の展開も非常に心地よいのです。でも、全曲終わったあとは、確かに少々早いなって感じますかねえ。印象深かったには第2楽章。速めのテンポで曲の展開が鮮やか。というのもワルターの指揮のもと、オケが力の限りを尽くしている様子がよく分かる。ここでは曲の表情が刻々と変化するが、それに呼応する指揮もさすがです。そして、第3楽章もその流れを受け継ぎ、ここでの曲の変貌をそれぞれの局面で上手に展開しています。そして、第5楽章、他楽章ほど速くはないのですが、次第に盛り上がりを見せ緊張感が高まっていき、最後は激しいアッチェレランドで曲は閉じます。マーラーの音楽、その変化していく音楽の表現がポイント。それがワルターはうまいなあと感じ入っています。しかし、この曲幾度聴いても支離滅裂的ですねえ。よく分かりません。でも、素晴らしくいい曲です。ゆえに、何も考えずに曲の良さを楽しむのです。
この演奏は、いろんなところから発売されています。それによって音質も違うかも知れません。
私のは、10枚組で2190円で購入しました。この中には1930~40年代のワルターの演奏が収められていて、なかなか充実しています。
(HISTORY.CENTURY MAESTROS.BRUNO WALTER MAESTORO GENEROSO 2000年 輸入盤)
この演奏、大好きです。バーンスタイン・ウィーンフィルで聴いて、胃もたれ消化不良とともにかかったマーラーアレルギーを治療してくれたのがこの演奏です(^^)。
確かに決して優しい柔和な演奏などではありませんね。1楽章なんか虚無感に襲われて背筋が寒くなります。4楽章のしなやかでコクのある演奏が大好きです。
ウィーンフィルとの4番も大好きです。(1950年のものが白眉です。)
ワルターのマーラーでも戦時中の9番はフルトヴェングラーばりの壮絶な演奏です。戦後の演奏は確かにマーラーにしては温厚な印象のものばかりですね。5番の演奏は昔LP盤で持っていましたが、現在はありません。記事を拝見して久しぶりに聴いてみたい気が起こりました。
この曲はマーラーの中でも特に支離滅裂な曲ですが、もともとマーラーの精神状態そのものが支離滅裂ですから、これをそのまま受け止めれば良いのだと思います。ファンにとってはそれ自体が、たまらない魅力なわけですからね。