こんなCDを買った!聴いた!

最近購入した、または聴いたCDについて語ります。クラシック中心です。

1977年のカラヤンの東京ライブ

2010年10月24日 18時34分33秒 | ベートーヴェン
今回は、先ほど発売されて話題になった、カラヤンの1977年の来日公演。東京普門館でのライブのベートーヴェンであります。カラヤンの来日公演と言えば、思い出すのは1973年の来日のときのことです。私は残念ながら、カラヤンをナマで聴いたことはないのですが、もっとも「行くぞ!」と強い意志があれば、行けないことはなかったのですが、1977年の来日以降は、それほど熱心にクラシックを聴いていなかった時期にあたるのでした。私が最も熱烈にカラヤンのコンサートに行きたい!と思ったのは1973年、ちょうど今のNHKホールができたことで、NHKが招聘したときでした。岡山の田舎の少年だった私は、いろいろと情報を集めて、どうしたらカラヤンのコンサートのチケットを入手できるのか、を調べました。すると、専用のはがきで応募しての抽選であることがわかりました。それで、そのはがきをなんとか入手しまして、応募したのでした。しかし、このことは親にはまったく相談なしでのことだったんですね。もし当選したら、一体どうするつもりだったんでしょうかねえ。だって、岡山から東京に行かないと行けない。それもまったく行ったことのない田舎の少年が一人で行けるわけがないのですよねえ。うーん。後先をまったく考えない行動でしたね。幸にも、チケットはハズレましたので、事なきを得たのですが、もし当たっていたら…。まあ、それだけ純心にカラヤンを聴きたい!と思ったのでした。今、そこまで熱烈に思うことがあるだろうか、と思うと、まあなんとも でありますよねえ。

さて、その1977年のカラヤンの来日公演。ベートーヴェン・チクルスであります。まあカラヤンのライブは、没後ぼつぼつと出はじめているのですが、数はそれほどあるわけではありません。カラヤン自身が、ライブの発売を好まなかったことがその理由でしょうが、セッション録音とは一味違った演奏が聴けることが楽しみでもあります。このライブによるベートーヴェンの交響曲全集、発売されると知って、おもわず5枚すべてを注文しました。カラヤンのライブは、いままでそれほど出回っていないので、このベートーヴェンがどんな演奏なのか、たいそう興味深かったのです。それで一気に全曲を聴きました。その中から、今回は、交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」です。1977年11月13日の録音。

この時期、カラヤンとBPOはその絶頂期であったとよく言われます。それでこの演奏、確かにそれを証明するような名演であります。分厚い管弦楽に、ライブ特有の熱気あふれる演奏。セッション録音と比べると、幾分粗さを感じるところがありますが、その反面熱のこもった演奏になっていますね。そして、現代の管弦楽団の機能美を縦横に展開しながらの演奏の極みとでもいうのでしょうか、それゆえに無機質な演奏とも言えます。ベートーヴェンの音楽を演奏することによって、その音楽が訴えることに心が動かされる、という類のものではなく、それぞれの楽器の表現力が合わさって、とんでもない音楽が作り上げられることへの感動的なものなんでしょうか。第1楽章から、各楽器の畳みかけるような演奏が、至る所で展開され、それから受ける印象は、たいそう心地よいです。また健康的で明るい響きは、聴く方の心までも新鮮にしてくれますね。第2楽章も、葬送行進曲としての暗さを印象づるよりも、音楽の美しさを感じさせます。余分な思い入れもなく、ストレートな感情表現とでも言うのでしょうか、それでも演奏への不満はほとんど感じないところも、カラヤンの演奏の凄さなんでしょうねえ。第3楽章、この楽章が私的には一番気に入っています。それぞれの楽器の巧さを実感させてくれます(別にこの楽章だけだそうということでもないのですが)。木管と金管とそれに呼応する管弦楽の展開が、誠にクセのない美しさを表現してくれて、何の不満もありません。そして、第4楽章、ゆったりとしたテンポで、朗々と伸びやかに歌う金管とそれを背後から支える弦のきめ細やかな響きは、スケールや規模の大きさを実感させてくれます。この3・4楽章は、BPOの巧さとそれを率いるカラヤンの力量を感じさせるに余りある演奏になっていますねえ。

この全曲演奏、1番・2番などの早い番号の曲がなかなかいいです。また別の機会に取り上げられたらと思います。今回は、野球ネタはありません。これが普通ですかねえ。
(TOKYO FM TFMC-0025 2010年)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 勝ちました!、マリーンズ。 ... | トップ | ワルターのマーラーです、5番。 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ベートーヴェン」カテゴリの最新記事