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朝比奈さんの『英雄』 in Berlin

2015年01月18日 18時22分22秒 | ベートーヴェン
近頃、DVDやブルーレイも安くなりました。LDではいくらかはもっていますか、オペラのDVDも買いたいな、と思っています。しかし、輸入盤になると、日本語の字幕がないんですね。まあないならないでなんとかなるとは思うのですが、やはりあるほうがいいですよねえ。先日もバレンボイムとミラノ・スカラ座の指環全曲のDVDの発売の記事を見ました。1万円ほどなんで欲しいのですが、字幕は独・英・仏・西・伊・韓の六カ国語なんです。韓もあるなら日本語もほしいですねえ。国内盤を買えばいいけど、高いだろうし、こんなのの国内盤ってあるんですかねえ。ほんと。

昨年の暮れに、朝比奈さんとベルリン・ドイツ交響楽団によるハイドンを取り上げました。朝比奈さんとベルリン・ドイツ響との録音は、先のバイドンに加えて、ベートーヴェンの交響曲第3番変ホ長調作品55『英雄』の録音があります。年末に忘年会で元町に行った時に、中古やさんでも見つけました。これはこれは、ということで、買ってしまったわけでありました。1989年9月24日ベルリンのフィルハーモニーでのライブ録音です。

このベルリン・ドイツ交響楽団、当時のベルリン放送交響楽団ですが、このオケとは、前回にも言及したとおり、1967・69・71・74年に朝比奈さんは客演し、この1989年は久々の共演だったようです。その年の第39回ベルリン芸術週間でのライブになります。1989年という年は、7月にカラヤンが逝去、11月にはベルリンの壁が崩壊という、まあベルリンにとって大変な年でありました。日本でもバファローズが日本シリーズで、ジャイアンツに三連勝四連敗の年でありました。

朝比奈さんの『英雄』は、全部で13の演奏が残されています。1973.77.85.89.92.96.200年の7回の交響曲全集(2000年には二つの演奏がある)のものに、1967年N響、1975年大フィルのヨーロッパでのライブ、1977年新日フィルの東京FMライブ、1990年倉敷音楽祭のライブ、そしてこのベルリン・ドイツ響とのライブです。流石にこの13種類の録音があるのは、古今東西で朝比奈さんだけでしょうねえ。フルトヴェングラーの9種類を大きく越えております。

それでこの演奏、やはりドイツのオケということがポイントでしょう。日本で朝比奈さんが振ったオケとは、悲しいことに比べものになりませんねえ。技術的なことよりも、音色や味わい深さなど、やはり比べるのはしんどいですね。朝比奈さんがVPOやBPOを振ったら、どんな演奏を聴かせてくれたのだろうと、思わずにはおれません。そして、いつもの朝比奈さん、音楽の恰幅が非常によく、インテンポでたいそうスケールが大きく、堂々と前に進む演奏。それでいて音楽は心に染み込むような優しさを兼ねそなえています。

第1楽章、ゆったりとしたテンポ。蕩蕩と流れる大河のように進んでいく。反復もすべて行っていることで、20分ほどの演奏になっているが、長さや反復などのことはまったく気にならない。自然に音楽が流れ、その流れに身を委ねる快感がいいですねえ。やはり朝比奈さんのベートーヴェンはいいですねえ。第2楽章葬送行進曲。まず弦の音色が優しく、それに木管も実に美しい響き、それらで繊細に旋律が歌われ、それに加えてオケのスケールの大きな強奏が時折加わり、感情の大きな振幅のように演奏されていく。この葬送行進曲は、感動的ですねえ。第3楽章スケルツォ。ここでもゆったりとしたテンポで進み、徐々に弱奏から強奏になっていくさまは、爽快でもありますし、スケルツォのよさも示しています。そして第4楽章、一気に駆け抜けていく終楽章ではなく、ゆったりとした流れの中で一音一音を噛み締めるように進み、優美に旋律を歌い上げ、それに時折のスケールの大きな強奏などが加わりながらに展開。決して力まず、それでいて迫力に満ちた演奏になっているところもいいですねえ。

この演奏が終わる変わらないかの頃合いに、少々フライング気味での「ブラボー」が聞こえます。曲の余韻を破壊するようで、雰囲気が一転しちゃいましたね、うーん、あまりよくないですねえ。(Weitblick SSS0104 2009年 輸入盤) 

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