年明けから、はや一週間。仕事も再開され、元の多忙な毎日に戻ってしまいました。年末年始は、なんやらかんやらで慌ただしい。あっという間に三が日も終わり、気がつけば、松の内も終わってしまいますね。
さて、年末の話になりますが、恒例のバイロイト音楽祭の放送、年末はまったく聴きませんでした。今年は夜に外出している日が多かったとはいえ、25日以降は忘年会だろうが、何があっても外出を控え、すべての放送をパソコンに取り込みCD-Rに焼いていた頃と比べると…、であります。その理由としては、ワーグナーを最近あまり聴ていないこともありますが、最も大きな理由としては、バイロイト音楽祭自体に魅力がなくなってきたような気がします。もちろん私の不勉強もあるんですが、聞いたことがない出演者が多いんですね。うーん。ティーレマンの指環は、しっかり聴かねばならないとは思っているんですが、なかなかであります。ワーグナー大好き人間を自認していたものとしては、これではいけませんと、思うことしきりの正月でありました。
それで、そんな反省も込めて、ワーグナーを聴こう!ということになりました。歌劇「ローエングリン」であります。このオペラはいいですねえ。演奏は、サー・ゲオルグ・ショルティ指揮のVPO。ローエングリンとエルザに、プラシド・ドミンゴとジェシー・ノーマンであります。1985~6年の録音です。世評では、ドミンゴとノーマンがミスキャストと言われているものです。
まず、前奏曲ではVPOの美音を駆使したショルティの指揮が光ります。しなやかな弦と美しい木管。これは全曲を通しても指摘できる点でしょう。特に弦がいいですねえ。また、聖堂への行進などでの金管の見事さもVPOならではと思います。この演奏で最大の聴きものは、ドミンゴのローエングリンです。後年のウィーン国立歌劇場での公演における、風邪による悪コンディションの中の歌唱とは異なり、ここでは実になめらかでコクのある表現です。聞き所はやはり、第3幕でしょうか。前半のエルザとのやりとりも立派なものです。ただ、ドイツの伝統的なヘルデンテノールとは違うドミンゴ独特の歌唱については、賛否両論ありますが、これだけの存在感のあるローエングリンが他ではなかなか聴けませんよね。
そんなドミンゴ以上に、批判が多いのがエルザのノーマンのです。ミスキャストという声もあります。確かにこれほど「偉丈夫」なエルザもそう聴けないでしょう。事実、第二幕前半でのやり取りや、後半大聖堂の入場時での対決などでは、完全にオルトルートのエヴァ・ランドヴァーを食ってしまっていますよね。少々、このオルトルートさん、弱い。第3幕の終わりにローエングリンに投げかける言葉の場面では、声も絶え絶えになっています。そんなオルトルートよりも強いエルザとなれば、それはちょっと…、ですねえ。加えて、ランドヴァーの方が、ノーマンよりも声が高く、二人のやり取りを聴いていると、どっちがどっちやらわからんようになります。いっそのこと、ノーマンがオルトルートを歌った方がよかったんとちゃうか、なんて思ったりもしますよね。冗談はさておき、第1幕の「エルザの夢」などは、豊かな声量を背景に実に柔軟で細やか、さすがの超一級の歌唱であります。他には、軍令司のフィッシャー=ディースカウはなんともうれしく、マルケ王のハンス・ゾーティンもこのころのバイロイトの常連として、安定したものです。
まあ、私はローエングリンは大好きなので、ドミンゴとノーマンの聴ける演奏というだけで、このショルティの演奏は、◎であります。
(DECCA 421 053-2 1987年 輸入盤)
さて、年末の話になりますが、恒例のバイロイト音楽祭の放送、年末はまったく聴きませんでした。今年は夜に外出している日が多かったとはいえ、25日以降は忘年会だろうが、何があっても外出を控え、すべての放送をパソコンに取り込みCD-Rに焼いていた頃と比べると…、であります。その理由としては、ワーグナーを最近あまり聴ていないこともありますが、最も大きな理由としては、バイロイト音楽祭自体に魅力がなくなってきたような気がします。もちろん私の不勉強もあるんですが、聞いたことがない出演者が多いんですね。うーん。ティーレマンの指環は、しっかり聴かねばならないとは思っているんですが、なかなかであります。ワーグナー大好き人間を自認していたものとしては、これではいけませんと、思うことしきりの正月でありました。
それで、そんな反省も込めて、ワーグナーを聴こう!ということになりました。歌劇「ローエングリン」であります。このオペラはいいですねえ。演奏は、サー・ゲオルグ・ショルティ指揮のVPO。ローエングリンとエルザに、プラシド・ドミンゴとジェシー・ノーマンであります。1985~6年の録音です。世評では、ドミンゴとノーマンがミスキャストと言われているものです。
まず、前奏曲ではVPOの美音を駆使したショルティの指揮が光ります。しなやかな弦と美しい木管。これは全曲を通しても指摘できる点でしょう。特に弦がいいですねえ。また、聖堂への行進などでの金管の見事さもVPOならではと思います。この演奏で最大の聴きものは、ドミンゴのローエングリンです。後年のウィーン国立歌劇場での公演における、風邪による悪コンディションの中の歌唱とは異なり、ここでは実になめらかでコクのある表現です。聞き所はやはり、第3幕でしょうか。前半のエルザとのやりとりも立派なものです。ただ、ドイツの伝統的なヘルデンテノールとは違うドミンゴ独特の歌唱については、賛否両論ありますが、これだけの存在感のあるローエングリンが他ではなかなか聴けませんよね。
そんなドミンゴ以上に、批判が多いのがエルザのノーマンのです。ミスキャストという声もあります。確かにこれほど「偉丈夫」なエルザもそう聴けないでしょう。事実、第二幕前半でのやり取りや、後半大聖堂の入場時での対決などでは、完全にオルトルートのエヴァ・ランドヴァーを食ってしまっていますよね。少々、このオルトルートさん、弱い。第3幕の終わりにローエングリンに投げかける言葉の場面では、声も絶え絶えになっています。そんなオルトルートよりも強いエルザとなれば、それはちょっと…、ですねえ。加えて、ランドヴァーの方が、ノーマンよりも声が高く、二人のやり取りを聴いていると、どっちがどっちやらわからんようになります。いっそのこと、ノーマンがオルトルートを歌った方がよかったんとちゃうか、なんて思ったりもしますよね。冗談はさておき、第1幕の「エルザの夢」などは、豊かな声量を背景に実に柔軟で細やか、さすがの超一級の歌唱であります。他には、軍令司のフィッシャー=ディースカウはなんともうれしく、マルケ王のハンス・ゾーティンもこのころのバイロイトの常連として、安定したものです。
まあ、私はローエングリンは大好きなので、ドミンゴとノーマンの聴ける演奏というだけで、このショルティの演奏は、◎であります。
(DECCA 421 053-2 1987年 輸入盤)
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