大晦日にリヒタ-

いよいよ大晦日。今年も残りわずかになりました。週末は、三宮と難波と連日の忘年会でいささか疲れました。その難波にいく途中に、阪神百貨店で年末恒例の「中古＆廃盤レコードＣＤセール」に行ってみました。たくさんの商品はあったのですが、私的にはこれといったものがなく、セットものもけっこう値が張って、それほどではありませんでした。その中で、数枚買ったのですが、その中の一枚が、ブルックナーの交響曲第４番「ロマンティック」。演奏はカール・リヒター指揮ベルリン放送交響楽団です。1977年11月７日ベルリンでのライブ録音です。まあ、ブルックナーの４番は、たくさんのＣＤを持ってますが、今回はあのカール・リヒターの指揮ということで買いました。以前にこの演奏の存在は聞いたことがありました。あのバッハなどの演奏において不滅の録音を残したリヒターが、それも後期ロマン派のブルックナーを振るということで、興味は持っていたわけです。共に教会に関連深いということでは、両者には共通項はあるんでしょうね。
ブルックナーの４番という曲は、演奏によってはとんでもなく退屈になる曲なんですねえ。だから、聴く前にはそうでないようにと願って聴くんですね。で、このリヒターの演奏は、全く退屈しない、どころかいろんなこのが発見でき、たいそうおもしろく聴きました。よかったです。もしかすると、この曲の演奏の中で、最もおもしろく聴けたものかもしれません。特徴としては、まず、たいへんテンポが遅いんです。全曲で74分ほどかかります。特に遅いのが第１楽章。例えばベーム盤などに比べても２分、カラヤンのＤＧ盤では４分も遅いんです。その結果としては旋律がたいそうしっかりと聞こえ、ブルックナーの世界がしっかりかみしめるようです。そして、曲の構造がすごくわかりやすい結果となり、新たな発見もあります。また、曲の旋律の重なるところが明晰で、いくつかに重なっているところも極めてわかりやすいんですね。よくオルガンを意識しての演奏と言われますが、トランペットなどの金管がそう聞こえる気もしますが、特筆すべきことではないでしょう。また主題を奏する直前のにかかるブレーキ、そのあとも主題を強調するなど、なかなか聴いてきて興味深ものがあります。第１楽章は、ゆったりとして、それほどの強調も感じないんですが、テンポの意図的な揺れが多く、それが効果的なところが多いですね。そして、合奏の合間の清寂な空間の美しさは好きですね。またそんな時の木管が、極めてオルガン的な演奏をしているように思いました。第２楽章、この楽章がまさに清寂。その世界はまさに宗教音楽的な印象を強く受けましたね。朗々と旋律がいつ果てるともなく進みます。第３楽章、スケルツォ、ゆったりとした歩みの中にも盛り上がりが心地よい。中間部では優しげな雰囲気が漂います。そして、第４楽章。ここは若干テンポが速くなって、ライブ特有の熱気に満ちた世界が繰り広げられます。私はこの楽章は好きなので、大いに楽しめた次第です。
この演奏を聴くと、リヒタ－の早すぎる死はなんとも残念ですよねえ。リヒターは、ブロムシュテットやディヴィスなどの一つ年上ですから、まだ現在でも現役である可能性もあったわけです。さすれば、多くの演奏が聴けたでしょうね。
そんなわけで、今年もいろんなＣＤの感想を自由に書いてきました。コメントなども多く頂きました。ほんとにありがとうございます。来年も勝手なことを書いていきたいと思いますが、お暇なときにのぞいていただけたら幸いです。よいお年をお迎えください！
（Altus ALT068 2003年）