こんなCDを買った!聴いた!

最近購入した、または聴いたCDについて語ります。クラシック中心です。

ワルターのマーラーです、5番。

2010年10月29日 22時40分22秒 | マーラー
「このところマーラーの曲を聴くことが多い。時代どんどんが乾いているからだろうか。東洋人にもわかりやすい音楽だなと思う。『やがて私の時代が来る』と予言し、人間を追い続けたマーラーに20世紀がうなずき始めたようだ」というコピーの背後に「大地の歌」の第3楽章が流れる、そんなCFがむかしありましたね(http://www.youtube.com/watch?v=NSlVsnMbZ48&feature=related 参照)。あのマーラー・ブームのはじまりのころのものでした。サントリー・ローヤルのCFでしたが、なかなかいいものでした。初めて買った「HiFi VIDEO」(これも死後ですねえ)で録画した画像も悪いものを見ていた記憶があります。それで、思わず『大地の歌』のCDを梅田御堂筋にあった大月楽器店で買っていまいましたね!。

ということで、最近、マーラーを聴くことが多い、のです。そのきっかけとなったのは、上岡敏之さんのコンサートがきっかけでありますね。だいたい聴く範囲の少ない人間ですので、これまでもぼつぼつマーラーのCDも買ってけっこう貯まっているんですね。そんなわけでも、この機会にマーラーの音楽についての理解を深めたいと思っています?。そんな視点から、マーラーを聴いております。それで、今回は先日も聴いた、マーラーの交響曲第5番です。演奏は、ブルーノ・ワルター指揮ニューヨーク・フィルハーモニック交響楽団。1947年2月10日、ニューヨークでの録音です。ワルターのこの曲の録音がこれが唯一のものです。モノラル録音で、いいとは言えませんが、それほど音は劣悪ではないので、この演奏の素晴らしさは十分に伝わってくるものです。CDも何種類かは出ていますが、私の持っているものは、下記のものです。

ワルターの演奏というのは、優しく美しく、決して感情的ではない、というように言われますが、この演奏は、そんな印象を持つものではありません。ワルターの演奏に、私は力強い表現力と意志の強固さをいつも感じるのです。そこには優しさなどは、ほとんど感じないのです。同時代に活躍した、トスカニーニとかフルトヴェングラーに感じるものとは違うと思いますが、その音楽には強靱さや真摯さ、緊張感を感じてしまいます。ひとつひとつの音に魂がこもっています。最初の音から最後の音まで、それは力強く一本の芯が通っているのです。聴いていると、ワルターの音楽に対する気持ちが真っ直ぐに伝わってくる、そんな演奏ですねえ。

全体を通じて、61分ということで、かなり速めの演奏です。①11:37、②12:30、③15:30、④7:36、⑤13.52となっています。バーンスタインの約75分に比べるとかなり速めで、速めであるショルティでさえ66分となっています。2・3・4楽章がかなり速めと言えます。その速めために、ネットリとした粘着質のマーラーとは異なります。そして、そんなに速さは感じないんですよね。どの楽器も非常に生気溢れる演奏なので、音楽の密度が非常に高く、隙のない音楽であることがその原因でしょうか。確かに、楽器の音色は非常に生き生きとして、ピーンと張り詰めた緊張感を感じます。加えて躍動感に満ちた曲の展開も非常に心地よいのです。でも、全曲終わったあとは、確かに少々早いなって感じますかねえ。印象深かったには第2楽章。速めのテンポで曲の展開が鮮やか。というのもワルターの指揮のもと、オケが力の限りを尽くしている様子がよく分かる。ここでは曲の表情が刻々と変化するが、それに呼応する指揮もさすがです。そして、第3楽章もその流れを受け継ぎ、ここでの曲の変貌をそれぞれの局面で上手に展開しています。そして、第5楽章、他楽章ほど速くはないのですが、次第に盛り上がりを見せ緊張感が高まっていき、最後は激しいアッチェレランドで曲は閉じます。マーラーの音楽、その変化していく音楽の表現がポイント。それがワルターはうまいなあと感じ入っています。しかし、この曲幾度聴いても支離滅裂的ですねえ。よく分かりません。でも、素晴らしくいい曲です。ゆえに、何も考えずに曲の良さを楽しむのです。

この演奏は、いろんなところから発売されています。それによって音質も違うかも知れません。
私のは、10枚組で2190円で購入しました。この中には1930~40年代のワルターの演奏が収められていて、なかなか充実しています。

(HISTORY.CENTURY MAESTROS.BRUNO WALTER MAESTORO GENEROSO 2000年 輸入盤)

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6 コメント

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ワルターのマーラー (ハルくん)
2010-10-31 15:28:45
こんにちは。

ワルターのマーラーでも戦時中の9番はフルトヴェングラーばりの壮絶な演奏です。戦後の演奏は確かにマーラーにしては温厚な印象のものばかりですね。5番の演奏は昔LP盤で持っていましたが、現在はありません。記事を拝見して久しぶりに聴いてみたい気が起こりました。

この曲はマーラーの中でも特に支離滅裂な曲ですが、もともとマーラーの精神状態そのものが支離滅裂ですから、これをそのまま受け止めれば良いのだと思います。ファンにとってはそれ自体が、たまらない魅力なわけですからね。
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コメント感謝です。 (mikotomochi58)
2010-10-31 21:33:54
ハルくん 様、コメントありがとうございます。そうですね。マーラーの音楽。どれもそんな傾向ですね。それでもほんとに素晴らしい音楽です。5番なんてほんといい曲ですねえ。ワルターのマーラー、録音していない曲も、ぜひ演奏を聴いてみたいものですね。またご教示ください。
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いまだに私のマラ五のスタンダードです (klug)
2011-01-26 06:55:21
録音年代が古いことなど全く気になりません。最近のデジタル録音群と比較しても全く遜色ありません。勿論この曲に対して何を求めるかによってはこの演奏に消極的な印象を求める人もいると思います。しかし、音の洪水や過度な感情移入に抵抗がある人にはベスト盤と言えるのでは?是非もっと多数の人に聞いて欲しいです
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コメントありがとうございます。 (mikotomochi58)
2011-01-26 22:36:08
klug 様、コメントありがとうございます。ワルターのこのころの録音は、ほんとにいいものが多いです。確かに音が悪いということで敬遠する傾向があるとも思いますが、そんなことが問題にならないような演奏だ展開されていると思います。ただ、入手しにくいのがつらいところであります。また、ご教示ください。
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この演奏いいです (せいの)
2011-06-04 10:43:37
いまさらですが、お邪魔します。

この演奏、大好きです。バーンスタイン・ウィーンフィルで聴いて、胃もたれ消化不良とともにかかったマーラーアレルギーを治療してくれたのがこの演奏です(^^)。

確かに決して優しい柔和な演奏などではありませんね。1楽章なんか虚無感に襲われて背筋が寒くなります。4楽章のしなやかでコクのある演奏が大好きです。

ウィーンフィルとの4番も大好きです。(1950年のものが白眉です。)
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コメント感謝です。 (mikotomochi58)
2011-06-04 11:24:14
せいの 様、コメントありがとうございます。やはり、ワルターの演奏など、一昔前(いやもう二昔ですかねえ)の演奏には、現在の演奏では聴けなくなったものを感じます。それは一言で言うなら、音楽に対する直向きに対峙する気持ちの強さとでもいうんでしょうか…。けっして今の演奏家に欠けてるといいたいわけではないのですが…。この時期の演奏が、現在の音質できけたら、今を上回る印象をもつでしょうねえ。また、ご教示ください。
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