5連休は、実に嬉しかったです。この5日間、一日だけお彼岸の墓参も兼ねて、岡山の備中高梁に行きました。『男はつらいよ』のロケ地としても有名な城下町。その中心には、最近話題の備中松山城があります。バスで途中まで行き、あとは20分ほど山道を登ると到着。平成9年復元工事が行われ、以前にはなかった建物や石垣ができました。小学生のとき父と一緒に来たのが最初でしたが、随分立派になり観光客も増えました。高梁はいいところですねえ。
そして、今回はショパンであります。24の前奏曲作品28。1839年1月にマジョルカ島で完成しました。24曲がすべて異なる調性で書かれているが、これはJ.S.バッハの平均律クラヴィーア曲集に敬意を表したものといわています。全体でも40分くらいの曲で、1曲は2分前後という短いのです。ですので、もう少し聞きたいなと思うことも多く、といっても、それでこの時間でいろんな曲が聴けますので、これはこれでいいなと思ってしまいます。もっとも有名なのは、第7番イ長調でしょうか。昔から太田胃散のCFで有名ですね。
この曲は、ショパンの中でもかなり有名なので、いろんな演奏で聴くことができます。そんな中で、小菅優さんの演奏ということであります。小菅さんは、1983年のお生まれなので、御年30すぎ。ヨーロッパで活躍され、現在最も注目されているピアニストのひとりです。先頃もベートーヴェンのピアノソナタ全曲を録音されました。このショパンの前奏曲は、2004年7月の録音で、小菅さんはまだ20才くらいのときのものです。もう十年も前の録音になるのですねえ。
そんな小菅さんの演奏に対して、例えば、アルゲリッチであるとかポリーニ、古くはルービィンシュタイン、最近聴いたものでは、ポゴレリッチなど、たくさんの演奏があります。これらの演奏に比べると、多少の物足りなさもありますが、技巧的には素晴らしいピアノであり、全体的には、力強く、腰の座ったピアノは、なかなか重量感ある響きで圧倒されます。また、ここは今ひとつの深みが欲しいな、というところもあるのですが、その分さわやかなショパンになっており、素直で、邪心のない、ピアノは実に爽快であります。
24曲中、いろんな思いや印象を持ちます。全般的には短調の曲の方がいいな、とも思いますが…。第2番イ短調、葬礼の行列のようですが、最後の弱音が美しい。第4番ホ短調、悲しい息が貯まったよう。音色が綺麗です。第6番ロ短調、短調の音階が実に綺麗に鳴り響きますね。第7番イ長調、太田胃散ですが、これも端正であります。第9番ホ長調、低音が体を揺さぶるように響き、第10番ハ短調では、軽快さがあふれる。第11番ロ長調、弱音からの優しさがピアノであふれ出ます。第13番嬰ヘ長調、優しい旋律がピアノの美音で響きます。繊細な表情がとてもいい。第15番変ニ長調「雨だれ」、長調の中にもあふれでる辛さを、小菅のピアノはほどよい味付けと表現で、大袈裟にならないほどで、微妙に歌い上げますが、後半はダイナミックなピアノで悲しみが増してきます。第20番ハ短調、荘厳な和音が端正に表現される。第21番変ロ長調、明るい旋律を高音がうまく歌う。そして第24番、ピアノによる激情がたいそうな表情で展開され、正にショパン的な感情の吐露がうまく表現されています。いろんな曲が現れ、実におもしろいですねえ。それを小菅さんは、気持ちをうまくコントロールしたピアノで再現し、ほどよい余韻が残ります。
この5連休、6年振りであり、次ぎにあるのは11年後とか。休みがあるのはうれしいです。天気もよく、この連休は大変爽やかでありました。もう少しお出かけすればよかったな、と思うことしきりであります。なかなか休みがあればあったで、悩ましいのでありました。
(SONY SICC 223 2005年)
そして、今回はショパンであります。24の前奏曲作品28。1839年1月にマジョルカ島で完成しました。24曲がすべて異なる調性で書かれているが、これはJ.S.バッハの平均律クラヴィーア曲集に敬意を表したものといわています。全体でも40分くらいの曲で、1曲は2分前後という短いのです。ですので、もう少し聞きたいなと思うことも多く、といっても、それでこの時間でいろんな曲が聴けますので、これはこれでいいなと思ってしまいます。もっとも有名なのは、第7番イ長調でしょうか。昔から太田胃散のCFで有名ですね。
この曲は、ショパンの中でもかなり有名なので、いろんな演奏で聴くことができます。そんな中で、小菅優さんの演奏ということであります。小菅さんは、1983年のお生まれなので、御年30すぎ。ヨーロッパで活躍され、現在最も注目されているピアニストのひとりです。先頃もベートーヴェンのピアノソナタ全曲を録音されました。このショパンの前奏曲は、2004年7月の録音で、小菅さんはまだ20才くらいのときのものです。もう十年も前の録音になるのですねえ。
そんな小菅さんの演奏に対して、例えば、アルゲリッチであるとかポリーニ、古くはルービィンシュタイン、最近聴いたものでは、ポゴレリッチなど、たくさんの演奏があります。これらの演奏に比べると、多少の物足りなさもありますが、技巧的には素晴らしいピアノであり、全体的には、力強く、腰の座ったピアノは、なかなか重量感ある響きで圧倒されます。また、ここは今ひとつの深みが欲しいな、というところもあるのですが、その分さわやかなショパンになっており、素直で、邪心のない、ピアノは実に爽快であります。
24曲中、いろんな思いや印象を持ちます。全般的には短調の曲の方がいいな、とも思いますが…。第2番イ短調、葬礼の行列のようですが、最後の弱音が美しい。第4番ホ短調、悲しい息が貯まったよう。音色が綺麗です。第6番ロ短調、短調の音階が実に綺麗に鳴り響きますね。第7番イ長調、太田胃散ですが、これも端正であります。第9番ホ長調、低音が体を揺さぶるように響き、第10番ハ短調では、軽快さがあふれる。第11番ロ長調、弱音からの優しさがピアノであふれ出ます。第13番嬰ヘ長調、優しい旋律がピアノの美音で響きます。繊細な表情がとてもいい。第15番変ニ長調「雨だれ」、長調の中にもあふれでる辛さを、小菅のピアノはほどよい味付けと表現で、大袈裟にならないほどで、微妙に歌い上げますが、後半はダイナミックなピアノで悲しみが増してきます。第20番ハ短調、荘厳な和音が端正に表現される。第21番変ロ長調、明るい旋律を高音がうまく歌う。そして第24番、ピアノによる激情がたいそうな表情で展開され、正にショパン的な感情の吐露がうまく表現されています。いろんな曲が現れ、実におもしろいですねえ。それを小菅さんは、気持ちをうまくコントロールしたピアノで再現し、ほどよい余韻が残ります。
この5連休、6年振りであり、次ぎにあるのは11年後とか。休みがあるのはうれしいです。天気もよく、この連休は大変爽やかでありました。もう少しお出かけすればよかったな、と思うことしきりであります。なかなか休みがあればあったで、悩ましいのでありました。
(SONY SICC 223 2005年)
この7月、我が群響にも客演してくれました。ベートーヴェンの1番のコンチェルトを、目も覚めるような鮮やかな演奏で披露してくれ、感動しました。まだまだこれからが楽しみなピアニストですね。