ライバルとの再会。
それは死地へと赴く
幸村にとって
得がたき餞となった。
いまや大坂城の落城、
そして豊臣家の滅亡を受けて
ここに戦国の世の終焉は
既に決したと言える。
しかし、
数多の戦野を駆け抜け
戦国に生きた人々の想いを
背負った幸村には
未だ果たすべき使命があった。
大坂城を見据える幸村は
その熱き魂を
さらに大きく燃え滾らせ
一塊の焔となって
ただひたすらに駆ける。
その先には
新たな世を担うべき
徳川家康が
そしてかつて袂を分かった
最愛の兄・信之が
再開の時を
待っているのであった。
泣いても笑っても
いよいよこれが最終章。
既に徳川軍の手に落ちた
大坂城を眺め
覚悟を決める幸村。
「真田幸村、推して参るッ!」
戦国を生きた者たちの
心の声が聞こえてきます。
前田利家、柴田勝家、
織田信長、明智光秀、
北条氏政、後藤又兵衛、
豊臣秀吉、竹中半兵衛、
石田三成、
武田信玄、真田昌幸、
そして、猿飛佐助・・・。
このメンツの中に
佐助がいるとなると
やはり忠勝との戦いで
死んでしまったのでしょうか!?
そうは思いたく
ありませんが・・・。
幸村は彼らの魂を
拾い集めながら
家康と信之の待つ
大坂城へと辿り着きます。
大坂城内にいたのは
天下人、徳川家康。
「人は弱い、
だからこそ絆を繋ぐ」
と語る家康に対して
「ならば人は
強くなればいい、
人の弱さを
知っているからこそ
本当の強さを
知ることができる」
と説きます。
絆の力を掲げながら
絆を繋げない相手は
切り捨てていった家康。
自らの矛盾に気づいていた
家康だったからこそ
この幸村の言葉は
相当堪えたのかもしれません。
「信之は天守閣にいる」
幸村の熱い想いに
押し負けた家康は
幸村に天守閣への
道を譲ります。
遂に再び相見える
幸村と信之。
槍を交わしながら
幸村はこれまで拾い集めた
魂を信之にぶつけます。
「兄上は道を
誤ってなどいなかった。
ただ、見るべきものを
見ていなかった。
それは前ではなく
振り向けばそこにあった」
思わずハッとする信之。
自身の背後から
追いかけてくる恐怖、
「死」を怖れていたこと、
だからこそ
先を行く者を探し求め
いつしかそれは
幻へと変わっていたことに
気づきます。
戦国の世を
二度と繰り返さぬ為に
散っていった魂を
幸村は信之へと
受け渡します。
ただし、
グーパンチでねっ!
これが武田流よ!
熱い拳により
信之の心の中に
何かが芽生えた次の瞬間、
幸村は次の拳を
信之に向けました。
しかし、これはフェイク。
掌に握っていた
六文銭を信之に手渡します。
幸村が拾い集めてきた
戦国を生きた者たちの魂は
信之へと受け継がれました。
「これでようやく
肩の荷が下り申した。
それがし、ただの幸村に
戻りましてござる!」
ストIIの春麗EDばりの展開で
信之の前から姿を消す幸村。
天守閣から飛び降りた幸村を
取り囲んでいるのは
徳川軍の兵士たちです。
満身創痍の幸村。
しかし、
「真田、日本一の
兵(つわもの)なりィィッ!」
と猛る幸村。
その表情に悲愴感はなく
口元には笑みさえ
浮かべていました。
道にあるものに目を向けず
ただ前を向いて
突き進んできた信之と
道にあるものに目を留め
拾い上げてきた幸村。
幸村は戦の敗者です。
だからこそ
信之や家康が
見ることの出来なかったもの、
聞くことの出来なかった想いに
気づくことができたのでしょう。
この物語は
ここで完結となりますが
きっと気合いで
徳川軍の包囲網を切り抜けて
ただの真田幸村として
伊達政宗との決闘に
臨んだのではないかと
勝手に妄想しています。
第10章の熱き名場面
「受け取り下され、
兄上ェエエエーッ!!」
「ぐはぁッ!」
「これが・・・
お前の抱えているものの
重さか・・・!」
「ぬぅううおおおおおッ!」
「この六文銭は
真田を継ぐ者が
持つべきもの。
それがしにはいささか
重すぎましてござりますれば」
「さぁて、
これでようやく
肩の荷が下り申した!」
「何処へ行く、幸村!?」
「それがし、
ただの幸村に
戻りましてござる」
「なれば、この戦国に
ただ一人の武人として
戦ってみとうござる!」
「待て、幸村。
俺は重さを、痛みを知った。
今の俺とならば
共に歩める筈だ!」
「兄上が共に歩むは
それがしではなく
徳川殿にござる!」
「寝そべりゃ
誰の目にも
映るモンがある。
親父殿の
最後のお言葉にござる」
「さらばでござる、
兄上ッ!」
「幸村・・・ッ」
幸村の拳を受けた信之は
思わず膝をつき
こう言います。
「これが・・・
お前の抱えているものの
重さか・・・!」
父・昌幸の魂は
最後の戦いに挑む幸村に
こう告げます。
「重そうだなぁ、小倅殿。
こりゃまた随分と
拾い集めたモンだ」
それを受けて
幸村は昌幸に答えます。
「それがし、
馬鹿正直者ゆえ
片っ端から
拾って参った次第!」
幸村伝で最も好きなのが
幸村がたくさんの武将の魂を
拾い集めるという表現です。
真っ直ぐで不器用な
幸村だからこそ
良いも悪いも好きも嫌いも
すべての想いを汲み取って
信之の前に姿を現すことが
できたのでしょう。
これは政宗や家康には
できないことだと
思いましたし
そういった意味で
幸村と三成はゲーム中で
似ていると表現されるのかなと
感じました。
さて、
長々と自己満足で続けてきた
幸村伝のストーリーまとめも
これで最終回です。
お付き合い頂き
ありがとうございました!
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