娘が撮った「父の終活」

「万理一空」の境地はどんな感じ？　島岡美延です。
琴奨菊が大関昇進で述べた決意の言葉。すべての理（ことわり）は一つの空につながっていく・・・。
とかく注目される伝達式での四字熟語。あなたの心に浮かぶ四文字はありますか？
人生、誰もが同じ結末に到達するのに、そこへは人の数だけ物語があります。
幼少の頃から家族にカメラを向けてきた一人の女性が、父親の「終活」を撮りました。映画『エンディングノート（10月1日公開）』は、ユーモアすら漂うドキュメンタリーです。
砂田知昭氏（享年69)にがんが見つかったのは、会社を引退して2年後の2009年春。発見時には手術困難で、告知後すぐ「エンディングノート」というマニュアル作りに取り掛かる。そこで掲げたことを一つずつ「クリア」していく砂田氏。元熱血営業マンにとって「死に至るまでの段取り」は人生最大のプロジェクト！
葬式のシミュレーション、式場の下見、妻に（初めて）愛しているという・・・。
映画の監督助手をしていた砂田麻美監督の素晴らしいデビュー作です。