読んで、観て、呑む。 ~閑古堂雑記~

宮崎の某書店に勤める閑古堂が、本と雑誌、映画やドキュメンタリー、お酒の話などを、つらつらと綴ってまいります。

『THE MAKING』を(ほぼ)コンプリートで観てみた。 【その11】第126回〜第140回

2022-11-06 17:21:00 | ドキュメンタリーのお噂
さまざまな製品が製造されていく過程を、余分な要素を排したシンプルな構成で辿っていく科学技術教育番組シリーズ『THE MAKING』。300回を越えるそのレギュラー回(+スペシャル版)のうち、現在見ることができるすべての回を観た上で、ごくごく簡単な見どころ紹介と感想を綴っていくという続きもの記事、しばしブランクがございましたが、久しぶりに11回目をお届けしたいと思います。


シリーズの詳しいご説明などは【その1】に譲ることにして、今回は第126回から第140回までを紹介していくことにいたします。サブタイトルに続いて「サイエンスチャンネル」の公式YouTubeチャンネルにアップされている該当回の画面を貼っております。ご覧になる際の参考にでもなれば幸いであります。
諸事情により、現在配信されていない回については、サブタイトルに続き「欠番」と記しております。また、現在配信されている回についても、配信元の都合により動画の公開がなされなくなる場合もあるかと思われますので、その節はどうぞご容赦くださいませ。

(126)絹糸ができるまで

前半部分、桑の葉ごと取り出されたカイコの上に網をかぶせ、桑の葉とカイコを分離するやり方や、「回転まぶし」という回転する棚のようなものを使って、ひとつひとつの部屋に入ろうとするカイコの習性を利用して繭を作らせる過程が興味深かったです。コンベアに乗せられて流れてくる繭が、カメラにぶつかってくる映像は、なかなか面白かったですな。

(127)ジーンズができるまで

前の部分と後ろの部分を分けて作って、それを縫い合わせるという工程で作られるということを、これで初めて知りました。生地を裁断するとき、ムダが出ないようコンピュータでパーツを配置し、それを型紙に落とし込んで裁断するという工夫にも感心。裏返した形で縫い合わされ、洗浄されたジーンズを、一瞬にして表の地に返す機械が面白かったな。

(128)(牛乳パックのリサイクル)トイレットペーパーができるまで

主な原料がリサイクルされた牛乳パックであることや、紙と分離された外装フィルムが燃やされるときの蒸気も、工場内の設備を稼働させるために有効活用されていることを知り、勉強になりました。一緒に混ぜる古紙を処理する釜の名称が「地球釜」というのもいいねえ。

(129)自転車タイヤができるまで

ナイロンをすだれ状に織った下地をゴムで覆い、それでワイヤーをくるんだ「カーカス部」と、路面に接する「トレッド部」を別々に作って、その二つを貼り合わせて成形・・・と、工程を追うことでタイヤの構造もよくわかりました。

(130)ピンポン球ができるまで

機械的にポンポンと大量生産されているかと思いきや、規格に基づいた厚みや重さをけっこう厳密に調整しつつ、4ヶ月にわたり手間ひまかけて作られている、ということに驚きました。成形のときも、機械で押さえ込んだり戻したりを繰り返しながら、厚みが均等になるように伸ばしたり・・・という具合。仕上げの整形は、炉の中で熱を加えて内部の空気を膨張させることによってなされるんだねえ。

(131)たまごパックができるまで

リサイクルしたたまごパックを粉砕し、新しいパックを製造していく工程と、それにたまごを詰めて出荷するまでの過程を追ったもの(たまごパックの生産現場は宮崎県南郷町でした)。パックの原料となるシートを裁断するときに出る切り屑も、再びしっかりとリサイクルに回されているところに感心いたしました。

(132)ふりかけができるまで

ふりかけや、まぜごはんの素などに使われる材料(かつお節やわかめ、梅、ごま、のり、青のり)それぞれの加工工程。固まったものや変色したものはいちいち取り除くなど、細やかでしっかりとした選別ぶりに感心いたしました。

(133)ドレッシングができるまで

基本的にオートメーション化されている製造工程ではありますが、原料となる玉ねぎの上下と内皮を剥くところは人の手によってなされていて、(ホースに繋がれたエアガンで空気を吹き付けながらとはいえ)その機械顔負けの手早い動きには感嘆させられます。充填されてラインを流れていくドレッシングのボトルを、じーっと座って目視で検査している人もある意味スゴい(笑)。

(134)自動車用ホイールができるまで

正面のディスク部分と側面のリム部分を一体成形する「1ピースホイール」というタイプと、それぞれを別に作って接合する「2ピースホイール」というタイプ、2種類の製造工程。整形されたアルミニウム合金製のホイールを熱処理(約4時間、520℃で熱する「溶体化処理」)することで合金分子をきれいに整列させ、それを一気に冷やして固定させることで強度を出すのだとか。

(135)石油ファンヒーターができるまで

寒くなる時期に活躍する、石油ファンヒーターの製造工程です。ボディのパネルに使う重ねた鉄板を、一枚ごとに取り出しやすくするため、強力な永久磁石で鉄板に磁力を持たせ、反発させて浮かせる・・・というアイデアが面白かったですねえ。

(136)トウフができるまで

豆腐屋さんによる手づくりのお豆腐・・・ではなく、ここでは大豆の洗浄からパック詰めに至るまでの工程が、オートメーションでなされる豆腐の製造現場が紹介されています。豆腐を固めるには、温かい豆乳にニガリを加える方法と、冷たい豆乳とニガリを混ぜて温める方法の2つがあるのだとか。

(137)グラスビーズができるまで(欠番)

(138)冷凍たこ焼きができるまで

1日に45万個もの冷凍たこ焼きを生産する工場での製造過程。タコを空気で吸いつけて鉄板に投入する「たこ投入装置」や、生地の表面に浮きあがったタコを沈める「たこ押し棒」といった独特の装置が、なんとも楽しいですねえ。これを見てると、無性にたこ焼きが食べたくなってくるなあ。

(139)消しゴムができるまで

粉末の塩化ビニルに、弾力を与える可塑剤や、炭酸カルシウムを混ぜて作られる消しゴム。炭酸カルシウムが鉛筆のカーボンを抱き込み、ちぎれやすくすることで文字を消すという消しゴムの仕組みが、これでよくわかりました。動物などをかたどったキャラクター消しゴムが、金型で成形されて押し出されてくるところも面白かったな。

(140)下水道管ができるまで

直径外径2メートル弱の大きな下水道管の製造工程。高速で回転する型枠にコンクリートを流しこみ、遠心力で外壁を造るところは迫力があって圧巻でした。そうすることでコンクリを均等に密着させ、頑丈な仕上がりになるのだとか。回転しながらワイヤーを溶接し、骨組みを作っていく機械にも目を見張りました。

これまでご紹介した回については、以下のページにリンク集と内容のもくじをまとめておきました。新しくアップした内容を追加しながら更新していきますので、気になる回をお探しになるときにお役立ていただければ幸いであります。

『THE MAKING』を(ほぼ)コンプリートで観てみた。 【その10】第111回〜第125回

2022-07-03 23:06:00 | ドキュメンタリーのお噂
さまざまな製品が製造されていく過程を、余分な要素を排したシンプルな構成で辿っていく科学技術教育番組シリーズ『THE MAKING』。300回を越えるそのレギュラー回(+スペシャル版)のうち、現在見ることができるすべての回を観た上で、ごくごく簡単な見どころ紹介と感想を綴っていくという続きもの記事、今回は10回目をお届けいたします。


シリーズの詳しいご説明などは【その1】に譲ることにして、今回は第111回から第125回までを紹介していくことにいたします。サブタイトルに続いて「サイエンスチャンネル」の公式YouTubeチャンネルにアップされている該当回の画面を貼っております。ご覧になる際の参考にでもなれば幸いであります。
諸事情により、現在配信されていない回については、サブタイトルに続き「欠番」と記しております。また、現在配信されている回についても、配信元の都合により動画の公開がなされなくなる場合もあるかと思われますので、その節はどうぞご容赦くださいませ。


(111)手のべそうめんができるまで

暑い夏の時期によく食べられるそうめんですが、作られるのは11月から3月までの冬期。製造工程の多くは機械化されているものの、「なかだて」(小麦粉に塩水を入れてこね合わせ、そうめんの生地を作る)や、生地を細くしていく過程それぞれを指す「こより」や「かけば」などと、各工程に昔ながらの名称を残しているところが面白いですね。
人が2本の箸を使うように棒を動かし、麺を細く細く仕上げていく機械(この工程の名称は「かどぼし」)の絶妙な動きには感心させられました。

(112)プチケーキができるまで

洋菓子の大手メーカーの工場で生産される、ロールケーキやシュークリーム、エクレア、プリンの製造過程を追っていく、甘いモノ好きにはたまらない回であります。とりわけ、シュークリームに入れるカスタードクリームが出来上がっていくところはいかにも美味しそう。
プリンのカラメルは、生地本体を注ぎ込んだカップに後から入れて沈殿させるんですねえ。そのプリンの上に、円を描くようにしてホイップクリームとマロンのモンブランをトッピングするところもまた、実に美味しそうなのであります。

(113)おもちができるまで

四角く成形した切りもちを、鏡餅型のケースに詰めて出荷するまでの過程が紹介されています。円形に並んだ自動餅つき機でぺったんぺったん搗かれるおもちの、なんとも柔らかでつやつやした質感がいいですねえ。搗きたてのおもちは急速に冷やして水分を閉じこめることで、搗きたての状態を保つことができるとのこと。また、米粒のひとつひとつに光をあて、色彩を識別することで虫食い米などを取り除く機械の働きにも感心させられました。

(114)スティック菓子ができるまで

ポ◯キー風のプレッツェル菓子(メーカーは別のところ)の製造過程です。細く切り分けられた生地にアルカリの温水をかけることで糊のようになったでんぷんの膜によって焼き色をつけたり、焼き上がった生地に切れ目を入れて、焼き上がった生地の自重によって一定の長さに折れるようにする・・・などといった、独自の工夫が興味深かったですねえ。
いちご味のチョコでコーティングしたプレッツェルが、そろばんの珠が並んだようなコンベアの上を滑るようにして流れていく映像も面白かったな(一本だけ外れて斜めに滑っていくところには笑いましたが)。

(115)みかんの缶詰ができるまで

90℃の蒸気をあてて柔らかくなった外皮に切り目をいれ、回転するローラーを通すことで皮を剥く。水槽内で高圧の水をあて、水槽の底にある鎖によって身を一房ずつに割り、食品用の塩酸と苛性ソーダによる処理で内皮を溶かして取り除く・・・。缶詰のみかんはどうやってあんなにきれいに皮を剥いてるのか?という長年の疑問(おおげさ)が、これでよくわかりました。

(116)缶コーヒーができるまで

現在もダイドーの主力缶コーヒーブランドとして販売されている「デミタスコーヒー」の製造工程です。缶の供給からコーヒーの充填、缶の密封、製造番号と賞味期限の印字などを、目にも止まらぬ速さでこなす製造ラインのすごさに目を見張りました。宮崎のニンゲンとしては、コーヒーに加えられる牛乳が宮崎産というのが嬉しかったですねえ(今もそうなのかな?)。

(117)地球儀ができるまで

ベースとなる半球型の樹脂の片方のフチを赤く塗って(そこが赤道になる)貼り合わせ、緯度や経度の線を引く。そして18分割の舟形に描かれた地図をハサミで丁寧に切り、ノリで貼り合わせてアイロンを当てる・・・という具合に、とても手作り感あふれる製作過程がなかなか魅力的でありました。こういうのを見ていると、なんだか妙に地球儀が欲しくなってくるな(笑)。

(118)ボールペンができるまで

ふだん何の気なしに使っている、ありふれた文房具のボールペンですが、1分間に600個という速さで切断された直径2.3ミリの線材を、わずか20秒でペン先に加工する精密機械の技術や、遠心力によっておよそ24000本の芯の中のインクから、気泡や空気を抜いていく工程など、生産ラインの素晴らしさはそれこそ特筆モノ。インクのボタ落ちを防ぐために加えられる添加剤に、「泣き出し防止剤」なる呼び名がついているのが微笑ましかったですねえ。

(119)マシュマロができるまで(欠番)

(120)清涼菓子ができるまで

子どもの頃に馴染み深かった、フルーツ味の錠剤型清涼お菓子の製造過程。グラニュー糖や酸味料、果汁液などを混ぜ合わせた粉末状の原料が、たくさんの細い穴から顆粒状となって押し出されるときのサラサラ感あふれる質感がいいですな。混合された原料を錠剤型にする「打錠機」は、1分間でおよそ1400個を加工するのだとか。

(121)バレーボールができるまで(欠番)

(122)ガラスびんができるまで

ビンそのものの製造工程以上に、その原料となる「カレット」を作る工程に目を見張りました。回収された空き瓶から、人の手によって異物を取り除く「手選別」に始まり、ガラスのかけらをこすり合わせることによってラベルを剥がしたり、レーザー光の反射によって認識した異物を瞬時にエアーで吹き飛ばしたりと、何段階もの選別過程を経ることで、純度の高いカレットに生まれ変わるんですねえ。

(123)ノートができるまで

中央を糸で綴じるタイプと、ダブルリングによって綴じるタイプ、2種類のノートの製造工程を紹介。1巻きが約1万メートル(ノート7800冊分)の紙ロールを、少なくなったロールの紙に一瞬でくっつけて入れ替えるところも見事でしたし、罫線などを印刷した紙を裁断して折り曲げたあとミシンで綴じ、ノートの形に仕上げるまでを素早く、流れるようにこなしていく生産ラインにも見とれてしまいました。

(124)ローラチェーンができるまで(欠番)

(125)便器ができるまで

粘土状にした石や土を焼成して作る陶器の一種ということで、茶碗などの焼きものとも重なるところの多い便器の製造過程です。粘土状に固まった本体を組み立てる時、組になった2人が息をピッタリと合わせていたり、釉薬を塗られた便器がスキー場のリフトのような機械(「フリーカーブ」というそうですが)に乗せられて焼き窯へ運ばれていたり、大便の模型を使ってちゃんと流せるかどうかを検査したり・・・と、なかなか面白い見どころの多い回でありました。


これまでご紹介した回については、以下のページにリンク集と内容のもくじをまとめておきました。新しくアップした内容を追加しながら更新していきますので、気になる回をお探しになるときにお役立ていただければ幸いであります。

『THE MAKING』を(ほぼ)コンプリートで観てみた。 【その9】第96回〜第110回

2022-06-23 23:10:00 | ドキュメンタリーのお噂
さまざまな製品が製造されていく過程を、余分な要素を排したシンプルな構成で辿っていく科学技術教育番組シリーズ『THE MAKING』。300回を越えるそのレギュラー回(+スペシャル版)のうち、現在見ることができるすべての回を観た上で、ごくごく簡単な見どころ紹介と感想を綴っていくという続きもの記事、今回は9回目をお届けいたします。


シリーズの詳しいご説明などは【その1】に譲ることにして、今回は第96回から第110回までを紹介していくことにいたします。サブタイトルに続いて「サイエンスチャンネル」の公式YouTubeチャンネルにアップされている該当回の画面を貼っております。ご覧になる際の参考にでもなれば幸いであります。
諸事情により、現在配信されていない回については、サブタイトルに続き「欠番」と記しておきます。また、現在配信されている回についても、配信元の都合により動画の公開がなされなくなる場合もあるかと思われますので、その節はどうぞご容赦くださいませ。


(96)パン粉ができるまで

パン粉のもとになるパンを焼く方法には2種類あり、ひとつはオーブンで焼く「焙焼(ばいしょう)式」、そしてもうひとつは電気を通して水の分子を振動させることで生じる摩擦熱を利用する「通電式」があるのだとか。チタン製の電極板をつけた焼き箱を使う「通電式」によって焼き上がったパンは、焦げ目のない真っ白な仕上がりに。
焼き上がったあとすぐに真空冷却機で冷却。真空にすると沸点が低くなって水分が早く蒸発し、その気化熱でパンが冷える・・・といったことなど、いろいろと教えられることの多い回でありました。

(97)魔法瓶ができるまで

電気ポット・・・ではなく魔法瓶の製造工程。魔法瓶の内部構造は内瓶と外瓶の二重構造になっていて、その間が真空となっていることで熱を逃さない仕組みになっている上、瓶の内側になされた銀メッキにより、外へ向かう熱が反射して戻る(輻射熱)仕組みになっているとか。中身の温度を保つ「魔法」のような働きは、科学を活かした知恵と技術の賜物、ということがよくわかりました。

(98)パスタができるまで

金型からむにゅっと押し出された生地がマカロニに成形されたり(使用される金型によってさまざまな形のパスタができる)、細長く伸びた棒状となって上から降りてくるスパゲティ生地がカットされ、左から右に向かって流れるように落ちていったり・・・と、けっこう面白い絵面の多い回でございました。

(99)割りばしができるまで

材料となる木材を裁断したり削ったりと、機械が行う作業が多いものの、ところどころで見られる熟練した職人さんたちの活躍にも注目です。
回転するカッターで薄くカットされていく木をきれいに丸めていく職人さんたちも見事なのですが、さらにすごかったのは山のように積み上げられた割りばしを、手分けしながら一本一本チェックしていく工員さんたち(あの山ひとつに何本の割りばしが積み重なってるのか?)。面取り加工の方法によって、主に3つの種類があるということもわかって、勉強になりました。

(100)レコードができるまで

CDや音楽配信が主力となった現在でも、なお根強い人気のあるアナログレコードの製造工程。冒頭で、レコードは人の耳には聞こえない「高い音」が出ることで、CDよりも「音にうるおいがある」などの効果が生まれることが説明されていて、なるほどなあと思いました。製造工程では、しっかりとした手間をかけて作られる、レコードのプレスに使う原盤の製作過程が見どころであります。

(101)マッチができるまで

マッチの製造工程もですが、冒頭でマッチに火がついて燃えていく仕組み、特にマッチの頭薬とマッチ箱の側薬それぞれに配合された薬品類が果たすはたらきが詳しく、わかりやすく解説されていて、とても勉強になりました。点火したあと軸木に燃え移りやすくなるように、パラフィン油を染み込ませるという工夫がされていることも初めて知りました。何の気なしに使っているちっぽけなマッチも、使いやすくするための細かな工夫の賜物なんですねえ。

(102)リコーダーができるまで

材料となる木材を乾燥させるのに、かなり長い時間をかけていることに驚かされました。数年かけて自然乾燥させた原料木を、切り分けたあとさらに2年以上かけて乾燥させるとは。大きさと角度が違う指穴を、それぞれに異なった刃を持つドリルで開けていったり、穴を少しずつ削りながら音を調節したりと、随所に光る熟練の職人技も見応えがありました。息の漏れを電球の光でチェックするのも面白かったな。

(103)かつお節ができるまで

身が崩れないように煮て骨を抜いたカツオを、薪を燃やした熱と煙での「焙乾」と自然乾燥を繰り返すこと4〜6ヶ月。さらに3週間かけてカビつけを重ね、時間をかけて作られるかつお節は、まさしく日本が誇るべき食文化の結晶であることが実感できました。最初の焙乾で生じた破損を、すり身で補修する工程もあるのが驚きでした。

(104)ワイングラスができるまで

パイプ状の吹き竿を坩堝の中に入れ、溶けたガラスをカンと経験に基づいた一定の決まった量で巻きつけ、少しずつ形を整えながら、吹き竿から吹きこむ息で膨らませることで形となっていく・・・。そんなガラス職人の技で生み出されるワイングラスは、まさしく立派な工芸品といってもいいくらいだと思いました。こういうのでワインを飲んだら、さぞかし美味しいだろうなあ。

(105)そろばんができるまで

原料木の木目を見極めながらくり抜いた珠の一個一個や、それを通す軸の一本一本を、細かな手作業できれいに仕上げていく職人技に圧倒されました。とりわけ、珠の高さを揃えるための「口取り」から、ロクロ式の削り器でなされる仕上げ削りまでの過程には見入ってしまいました。
日常において使われなくなったそろばんですが(わたしも高校時代には必需品だったのですが、それ以来もう30年以上触れていません・・・)、こういう技術が失われていくとすればあまりに惜しい、と思うことしきりでありました。

(106)かい中電灯ができるまで

これからの時期は特に、いざという時のために備えておきたい、懐中電灯の製造工程。ポリプロピレンに顔料を混ぜて作られるボディの成形こそ自動化されているものの、基板の組み立てなどでけっこう、作業員さんたちによる細かい手作業が多いところが意外でありました。電球が点滅する仕組みの解説にも「へぇ〜」でありました。

(107)紙コップができるまで

水分が滲まないよう、ラミネート加工によって紙に貼られるポリエチレンの膜の薄さは20ミクロン。この加工がしやすいように、紙の表面に4万ボルトという高電圧をかける加工の名前が「コロナ放電」(笑)。底紙を打ち抜き、それに本体部分を巻きつけて接着、固定させたりする過程を、目にも止まらぬ速さでこなしていく「紙コップ成型機」もスゴいなあ。

(108)とび箱ができるまで

運動が苦手なわたしが子どものときは意外に得意だった(余計な情報ですね。苦笑)、とび箱の製造工程です。横板のほうは、定規で刃の角度を合わせつつ慎重に切っているのに対し、2段目以降の妻板(正面の部分の板)は、縦に並べて一気にカットしているのが面白かったですねえ。

(109)粒ガムができるまで(欠番)

(110)毛布ができるまで

原料となるポリエステルの糸を芯にしながら、それに綿やアクリルの糸を組み合わせて編み込んでいく自動編み機の動きの美しいこと。仕上げ段階で、表面の毛をローラーで毛羽立たせたり寝かせたり・・・を何度も繰り返すことで、毛布の柔らかな手触りが生まれるんだなあ。糸をきれいに揃えて巻き取る工程を「整経」ということも、これで覚えました。


これまでご紹介した回については、以下のページにリンク集と内容のもくじをまとめておきました。新しくアップした内容を追加しながら更新していきますので、気になる回をお探しになるときにお役立ていただければ幸いであります。

「『THE MAKING』を(ほぼ)コンプリートで観てみた。」 全記事リンク集&内容もくじ

『THE MAKING』を(ほぼ)コンプリートで観てみた。 【その8】第81回〜第95回

2022-06-17 23:48:00 | ドキュメンタリーのお噂
さまざまな製品が製造されていく過程を、余分な要素を排したシンプルな構成で辿っていく科学技術教育番組シリーズ『THE MAKING』。その全317回(+スペシャル版)のうち、現在見ることができるすべての回を観た上で、ごくごく簡単な見どころ紹介と感想を綴っていくという続きもの記事、今回は8回目をお届けいたします。


シリーズの詳しいご説明などは【その1】に譲ることにして、今回は第81回から第95回までを紹介していくことにいたします。サブタイトルに続いて「サイエンスチャンネル」の公式YouTubeチャンネルにアップされている該当回の画面を貼っております。ご覧になる際の参考にでもなれば幸いであります。
諸事情により、現在配信されていない回については、サブタイトルに続き「欠番」と記しておきます。また、現在配信されている回についても、配信元の都合により動画の公開がなされなくなる場合もあるかと思われますので、その節はどうぞご容赦くださいませ。

なお、およそ8年ぶりとなるシリーズの最新作が、本日(6月18日)「サイエンスチャンネル」の公式サイト、およびYouTubeチャンネルにてめでたく公開されました(第318回「ミルクレープができるまで」)。どうやらこの一回だけでなく、今後も継続して製作されるようですので、それらがまとまったらここでも紹介したいと考えております。


(81)鍵盤ハーモニカができるまで

小学校のとき「ピアニカ」という名前で親しんでいた懐かしいアイテム、鍵盤ハーモニカ(懐かしいとはいっても、わたしはまるっきり演奏するのはヘタでしたけど)。外見こそ鍵盤がついているものの、内部構造や音を出す原理(「リード」という金属でできた小さな弁が鳴ることによって音を出す)は名称どおりにハーモニカとまったく同じであることが、この動画でよくわかりました。まさしく、「ピアノのようなハーモニカ」ってわけなんだなあ。リード弁が正しく鳴るかどうかを検査するくだりは賑やかでいいねえ。

(82)グミキャンディーができるまで

ゼラチンをベースとしたシロップから、グミの独特な食感が生み出されていく過程。型に直接、原液を流しこんで成型するかと思いきや、型によってプレスされて固められたスターチ(粉)の窪みにシロップを注ぎこむことによって、キャンディの形に成形するんだねえ。流しこんだシロップを冷却・乾燥させるのには24〜48時間と、意外に時間がかかるんですねえ。

(83)釣竿(ロッド)ができるまで

カーボンシートにアイロンで熱を加えて芯に固定して仮止めしたり、「ガイド」と呼ばれる部品を糸で巻いて固定するなど、意外と細かな手作業が多い釣竿の製造工程。穴を開けたゴムに釣竿を突き通して行う塗装法の名称が「シゴキゴム」というのもなかなかスゴいですな(この動画のコメント欄にも、それに反応するものが多く見られて笑えます)。

(84)卓球ラケットができるまで

材料となる木材の質(木目が均一であるかどうか)によってクラス分けがなされるということを、これで初めて知りました。ラケットの側面をきれいに削って仕上げをする機械の名前が「ナライサンダー」という、なにかのヒーローみたいなネーミングなのがイイねえ。

(85)メガネフレームができるまで

わたしも日々お世話になっているメガネフレームの製造工程(撮影地はもちろん、メガネフレームの特産地として有名な福井県鯖江市)。細かな部品を精密な技術で加工する工程の中で、とりわけ金型と電極の間で放電を繰り返し、金属を溶かしながらの金型を作る放電加工機や、コンピュータに入力された形状通りにチタンを巧みに折り曲げて裁断する、リム成形のくだりには見入りました。

(86)野球グラブができるまで

材料となる牛革を、高圧の水による「ウォーターカッター」で裁断するということを知って驚きました。牛革は繊維が複雑なため、ナイフなどよりも高圧の水のほうが素早くきれいに裁断できるとか。いやー、このシリーズはほんと、勉強になります。同じく裁断のとき、それぞれのパーツを皮の大きさに合わせて配置して、牛革をムダなく使うという工夫もいいですねえ。

(87)手袋ができるまで

寒い時期にはまことに重宝する手袋の製造過程。染色に使う染料の計算・調合から糸の染色、コンピュータのデータをもとにした自動編み上げに至るまで、かなりの部分が機械化されている毛織り手袋。それに対して、革の裁断からミシンを駆使しての丁寧な編み上げなど、ほとんどを手作業で行っている革手袋。なかなか対照的な製造風景でありました。

(88)ボウリングの球ができるまで

球の中心に入れる核(ウェイトブロック)の形状によって、球の重心や曲がりかたが違ってきたり、曲がりかたに個性を出すこともできるということを、これを見てはじめて知りました。また、そのウェイトブロックを包み込む「中球」の樹脂の種類によって、球の重さが決まるのだとか。精度を高めるために、さまざまな調整やテストの数々が行われていることにも感心させられます。

(89)金属バットができるまで

外径自体はおんなじでも、打撃部分は厚く、握り(グリップ)の部分は薄くなるように、原材料のアルミパイプを成型するということを、これで初めて知りました。その違いを出すための肉厚調整や、丈夫さを生み出す熱処理工程など、一見シンプルな金属バットにも独自の工夫がされていることもよくわかりました。

(90)硬式野球ボールができるまで

芯となる丸いゴムに、ムラなく均一に糸(羊毛)を自動で巻いていく機械の動きに、まず驚かされました。裁断したあと、接着剤を塗って乾燥させた革をアームでつかんで芯に包み込む機械の動きもまた見事。でも、自動化できない縫い合わせ工程はひとつひとつが手作業。108ヶ所もの孔に、しかも革によって糸を締める力を変えながら(牛が育った場所などで、革の質がそれぞれ違うため)縫い合わせていく方々の根気と手技は、さらにお見事なのでありました。

(91)しょう油ができるまで

しょう油の発祥地といわれる、和歌山県湯浅町での伝統的なしょう油造りの現場。長いあいだ使いこまれた桶が並んだ仕込み蔵で、約1年半かけて発酵、熟成させて醸し出されるしょう油が美味しそうです。とりわけ、熱処理をせずに麹菌や酵母を生かす「濁り醤」(にごりひしお)は色合いからしていかにもコクがありそう。一度賞味してみたいものですねえ。

(92)プラモデルができるまで

大手プラモデルメーカー、ハセガワでの製造風景。コンピュータを使って行われる設計では、一部分を誇張することによって本物らしく見えるようにするのがポイント、なのだとか。
でもこの回で一番楽しいのは、現場で働く皆さんの姿そのもの。資料を前にした企画会議の場に参加した人たちの笑顔混じりの表情といい、パッケージ用の完成モデルを組み立てる方の姿といい、仕事でありながらも実に楽しそうで、見ていて気持ちが和みますねえ。金型を手作業で磨き上げる係の男性のヘアスタイルも、バッチリ磨きがかかっていて最高ですねえ。

(93)電球ができるまで

部品の製造から梱包に至るまで、まったく人を介さず流れるようにこなしていく、製造ラインの機械の巧みな動きがまことに圧巻でした。とりわけ、加熱して口の部分を広げたガラスチューブに導入線やガラス排気管を挿入し、さらにワイヤーやフィラメントをつけていく一連の動きには感嘆するばかり。電極をつくって塗料を引きつけることで、ムラなく均一な塗装ができる「静電塗装」という塗装法についても勉強になりました。


(94)スピーカができるまで(欠番)


(95)ビデオテープができるまで

今ではすっかり過去のものとなってしまったビデオテープの、ある意味では貴重な製造工程の記録であります。中身の磁気テープって、先に外側のカセットを組み立てた後で巻きこんでいたんだねえ。細かい部品を正確に配置していく機械の動きもなかなかのものでした。製造工程を撮影しているスタッフが映っている珍しい回でもあります。


これまでご紹介した回については、以下のページにリンク集と内容のもくじをまとめておきました。以後、新しくアップした内容を追加しながら更新していきますので、気になる回をお探しになるときにお役立ていただければ幸いであります。


『THE MAKING』を(ほぼ)コンプリートで観てみた。 【その7】第66回〜第80回

2022-06-13 22:29:00 | ドキュメンタリーのお噂
さまざまな製品が製造されていく過程を、余分な要素を排したシンプルな構成で辿っていく科学技術教育番組シリーズ『THE MAKING』。その全317回(+スペシャル版)のうち、現在見ることができるすべての回を観た上で、ごくごく簡単な見どころ紹介と感想を綴っていくという続きもの記事、今回は7回目をお届けいたします。

シリーズの詳しいご説明などは【その1】に譲ることにして、今回は第66回から第80回までを紹介していくことにいたします。サブタイトルに続いて「サイエンスチャンネル」の公式YouTubeチャンネルにアップされている該当回の画面を貼っております。ご覧になる際の参考にでもなれば幸いであります。
諸事情により、現在配信されていない回については、サブタイトルに続き「欠番」と記しておきます。また、現在配信されている回についても、配信元の都合により動画の公開がなされなくなる場合もあるかと思われますので、その節はどうぞご容赦くださいませ。


(66)チョコレート菓子ができるまで(欠番)

(67)バットができるまで

撮影場所は、日本有数のバットの産地とされる富山県の福光町。プロ野球の選手が使う、特注の木製硬式バット(注文表と思われるFAXには「金本」「元木」「谷」といった、撮影当時に活躍していた大物選手の名が)の製造における、職人さんたちによる丁寧な手仕事に見入ってしまいました。バットを削りながら、左手を使って握りの感触を確かめたりしていて。途中で挿入される、職人さんの手のひらのアップもいいねぇ。

(68)ろうそくができるまで(欠番)

(69)ハサミができるまで

名刀の産地である、岐阜県関市の工場でのハサミ製造の工程です。生産ライン自体は、ロボットを含む機械が多用されてはいるものの、ひとつひとつを確実に仕上げていくその工程は思いのほかていねいでした。そして、最後の仕上げと調整で、かつての刀匠の技を受け継いだ職人さんたちの手と目がしっかりと活かされておりました。

(70)救急バンソウコウができるまで

粘着剤を均一に塗るために、まずは「工程紙」という紙に粘着剤を塗って、そこから不織布に移し替えたり、梱包した段ボール箱ごと機械の中に入れて、殺菌ガスで6時間かけて化膿性の菌などを滅菌したり・・・といった工程が興味深かったです。ちなみに、不織布に粘着剤が着きやすくするためになされる放電処理の名称は「コロナ放電処理」だそうで(笑)。

(71)人工芝ができるまで

一見地味な物件ですが、細かく切り込みを入れて柔らかく加工した「ヤーン」と呼ばれる人工芝を縫い込んだ上で先端をカットするなど、いかにも芝っぽく加工するための工夫にはけっこう感心させられました。縫い合わされて巨大なじゅうたんのようになった人工芝シートを、これまた巨大な機械で樹脂加工するくだりはなかなか迫力がありました。

(72)柿の種ができるまで(欠番)

(73)耐火レンガができるまで

鉄を作る溶鉱炉などで使われている、ふだん馴染みのない物件ではありますが、コンピュータ制御のプレスマシンによって用途に応じたおよそ1000種類もの形状に成形される・・・というテロップの説明にびっくり。どんなラインナップなのか、ちょっと見てみたい気がいたしますねえ。レンガの焼成に使われる燃料は、排ガスの影響を低減するためにLPGガスを使用しているのだとか。

(74)かまぼこができるまで

かまぼこの名産地である富山県での製造風景。職人さんがひとつひとつ型に詰めていく手作りかまぼこから、白い生地と赤い生地を渦巻き状に仕上げたもの、昆布巻きかまぼこや焼きかまぼこ・・・とどれも美味しそう。魚などの木型に生地を入れて成形し、細かな装飾を施して作られていく、結婚式等に用いられる「細工かまぼこ」の製造過程は、見ているだけで楽しくなってきますねえ。

(75)茶わんができるまで

美濃焼で知られる、岐阜県多治見市などにおける茶わんの製造工程。といっても、ここで取り上げられているのは量産型茶わんの製造現場ですが、石膏でできた型の上に据えられた磁器土を成型していく自動ロクロ機や、茶わんの内側に模様を写すシリコンゴム印刷機などの動きが面白かったですねえ。量産型とはいえ、焼成するのは1日がかりと、思いのほか長い時間を要するということもわかりました。もっと大事に使わなくちゃいかんなあ。

(76)ハーモニカができるまで

「ブルースハープ」とも呼ばれる「テンホールズ」(10穴ハーモニカ)の製造過程です。空気で振動して音を出すリード(弁)部分の細かな製造工程(微妙な厚みを調整したり、適正な周波数を確認したり、一本一本ていねいに溶接したり・・・)が見ものでした。そのリードが正常な音を出すかを検査するところは、賑やかな音色が響いていてなんだか楽しい感じがいたしましたねえ。

(77)琴ができるまで

広島県福山市の伝統工芸楽器「福山琴」の製造現場。原材となる木材選びから製材、乾燥までの段階で、まず約1年かかるというのにまず驚かされました。
なんといっても見どころは、至るところで光る職人さんたちの技。何度もカンナをかけて、板が隙間なく合わさるように細かく調節したり、コテを使って表面にきれいな焼き色をつけて磨くことで木目を際立たせたり、装飾品を丹念に取りつけての仕上げ作業・・・と、ひとつひとつの見事な仕事ぶりに見入ってしまいました。裏面の一部に模様を彫ることで音響効果が増すということを、これで初めて知りました。

(78)七輪ができるまで

どこか郷愁を誘う道具である七輪の製造過程です。撮影場所は、原料となる珪藻土が豊富に産出されるという石川県の珠洲市。崩れやすい珪藻土の岩盤に「鉄砲ノミ」という道具で切り込みを入れ、そこにくさびを打ち込んできれいなブロック状に切り出す技が見事。また、風をうまく通して燃焼効率を高める工夫がなされていることもよくわかりました。構造はシンプルだけど、奥の深い道具なんだねえ。

(79)判子(ハンコ)ができるまで

ハンコの生産高が全国の半分を占めるという、山梨県の六郷町が撮影地。左文字(裏返しに見た文字)を、設計図も下書きもなしに書き入れたり、その文字を太さや彫る深さを慎重に見極めながら細かく彫り込んでいったりする、熟練した職人技のすごさに驚嘆いたしました。あえてフチの線を一部削ることで、古さを感じさせるようにするというのも面白かったですねえ。
ハンコ不要の動きも見られる昨今ではありますが、これらの熟練の技はどうにかして残していってほしい・・・そう思わずにはいられませんでした。

(80)草刈機ができるまで

エンジンとハンドルのついたパイプの先でノコギリが回る、軽量で簡易な草刈機の製造工程。外見はシンプルだけど、エンジンやその動きを先端に伝えるパイプ、そしてノコギリを動かすギアの内部構造はそれなりにフクザツだったりいたします。ご丁寧にも、おしまいに草刈機の安全な使用法の解説(エンジンは安全のために地上に据えて始動させる、など)までついております。


これまでの回は以下のとおりです。↓