さまざまな製品が製造されていく過程を、余分な要素を排したシンプルな構成で辿っていく科学技術教育番組シリーズ『THE MAKING』。その全317回(+スペシャル版)のうち、現在見ることができるすべての回を観た上で、ごくごく簡単な見どころ紹介と感想を綴っていくという続きもの記事、今回は6回目をお届けいたします。
これまでは10回ずつ紹介してまいりましたが、今回からは15回ずつ紹介していくことにしたいと思います。・・・なんせ回数が多いもんで・・・(苦笑)。
シリーズの詳しいご説明などは【その1】に譲ることにして、今回は第51回から第65回までを紹介していくことにいたします。サブタイトルに続いて「サイエンスチャンネル」の公式YouTubeチャンネルにアップされている該当回の画面を貼っております。ご覧になる際の参考にでもなれば幸いであります。
(諸事情もあってか、現在配信されていない回については、サブタイトルに続き「欠番」と記しておきます。また、現在配信されている回についても、配信元の都合により動画の公開がなされなくなる場合もあるかと思われますので、その節はどうぞご容赦くださいませ)
なお、「サイエンスチャンネル」の公式YouTubeにて、およそ8年ぶりとなるシリーズの新作が、6月17日(金曜)18時に公開されることがアナウンスされました。単発なのか、シリーズとして続けていくのかはまだわかりませんが、とても楽しみであります。
(51)乾電池ができるまで(欠番)
(52)蚊取り線香ができるまで
これからの時期には欠かせない、蚊取り線香の製造過程を追っています(撮影場所はもちろん金鳥さんの工場)。冒頭で蚊取り線香の開発史と、蚊取り線香が蚊を駆除する原理(燃えている先端から少しうしろのところで、熱によって気化された殺虫成分を煙が運んで拡散させる)が解説されていて、まことに勉強になります。手巻きによって作られていた昔とは違い、製造工程自体は機械化されてはいるものの、できあがった蚊取り線香を風通しのいい場所に集め、1〜2日かけてゆっくりと自然乾燥させているところは少々意外でした。
これに関連する作品として、1969年に金鳥(大日本除虫菊)の企画により製作された啓蒙PR映画『この一筋の煙に 大日本除虫菊研究所』を合わせて紹介しておきましょう。この映画でも、蚊取り線香が蚊を駆除する仕組みが詳しく解説されていて、なかなか興味深いものがあります。
さらについでながら、この映画を配信しているNPO法人「科学映像館」は、科学技術関連をはじめとした数多くの映像記録作品をデジタル化し、無料で配信するという活動を地道にやっておられるところです。『THE MAKING』に関心を持つ皆さまにも興味深いであろう映像作品がたくさんありますので、ぜひ以下のサイトを覗いてみられることをおススメしておきたいと思います。
NPO法人科学映像館→ http://www.kagakueizo.org/
(53)新500円貨幣ができるまで(欠番)
(54)化粧品ができるまで
ここで取り上げられているのはフェイスカラーパウダーの製造工程。人の肌で使われるものだけあって、不純物や細菌などがないかチェックしたり、肌に近い色のフィルムに塗って色合いをチェックしたり・・・と、さまざまな検査の過程があるのは納得でしたが、容器を10回以上落として中身が破損しないかどうかを落下テストでチェックしたりするところは、ちょっとオドロキでした。
(55)ポテトチップができるまで
見ているうちに無性にポテトチップが食べたくなってくる、わたしのお気に入りの回のひとつであります。
機械の中で馬鈴薯を回転させ、その遠心力によって行われる皮むきやスライス。二度にわたって念入りになされるチップの洗浄(1回目ではでんぷんが、2回目では糖分が取り除かれる)。フライされたチップに光を当てて焦げたチップを選別。重量のバラつきを少なくするために、容器に振り分けられたチップをコンピュータが自動的に組み合わせて袋詰め・・・など、おいしいポテチを生産するためのさまざまな工夫に感心させられます。でも、なんといっても一番スゴかったのは、出荷のときに段ボール箱を5つ重ねてトラックに積みこむおじさん(笑)。
(56)信号灯器ができるまで
LED信号灯が普及していく前の、ランプを使った信号灯の製造工程が紹介されています。
塗料に6000ボルトの電圧をかけ、塗料と塗られる面それぞれが正負の電極となり、塗られる面が塗料を引きつけることによって塗装される・・・という「静電塗装」なる塗装法の解説が勉強になりました。また、反射鏡の光を正しい方向に反射させるため、異なるバフ(羽布)に当てて3段階に分けて研磨した上、さらに燐酸溶液に浸けて電気を通し、表面を溶解する「電解研磨」までするという念の入れようにも驚かされました。
(57)ストローができるまで
製造工程それ自体よりも、空気とともに成型機から押し出されるチューブ状の細く長い管を、2人の職人さん(また2人ともヘアスタイルばっちりキメてるんだこれが)がコンビになり、息を合わせてせっせと引き出していくくだりが、いちばんの見ものでございました。このくだりを見ているだけでも、なんか活力が湧いてきそうな気がするぞ(笑)。
後半に登場する、ストローを曲げるための溝をつける作業と、その溝を縮める作業を高速で回転しながら一挙にこなす機械も、よくできておりますねえ。
(58)ばね(自動車用)ができるまで
車輪に車体を載せ、自動車が走行するときの振動を抑える働きをする、サスペンションに使われるばねの製造工程です。加熱された「ばね鋼」が瞬時にコイルとして巻き取られるところもすごいのですが、ばねに耐久性を与えるため、表面に金属の粒(直径が0.4〜0.8ミリ)を約20秒間高速で打ちつける「ショットピーニング」なる工程があることをこれで初めて知り、「なるほど〜」でありました。
(59)ブラインドができるまで(欠番)
(60)スプーンとフォークができるまで
(60)スプーンとフォークができるまで
ちょっと高級感のある、スプーンとフォークの製造現場であります。フォークの刃を切り抜くときには、歪んだり折れ曲がったりしないように、まず左右のほうから切り抜いていくんだねえ。400トンから500トンの圧力をかけて、柄の部分に模様をつける機械が、ちょっと迫力ありました。
(61)使い捨てマスクができるまで
いまや大多数の日本人にとって「コレがなくては生きていけない」アイテムへと大躍進を遂げた(苦笑)不織布マスクの製造風景であります。3層の不織布を重ね合わせて針金を組みこんだり、溝を折り込んだあと切断したり・・・といった工程が、一貫したラインによって流れるように進んでいくところが、なかなか見事でありました。
(62)コンタクトレンズができるまで(欠番)
(63)スチールボールができるまで
ボールペンのペン先から自動車などのベアリングまで、さまざまな用途に用いられる鋼球の製造工程。線状になって押し出される原料を切断し、瞬時にプレスして加工する機械「ボールヘッダーマシン」の目にも止まらぬ速さや、1ミクロン単位の精密さで行われる寸法精度の測定や、10万分の1ミリ単位で測定される真球度の測定といった品質検査には、目を見張らされるものがございました。
(64)輪ゴムができるまで
ふだん何の気なしに使う、ありふれた存在に過ぎなかった輪ゴムが、原料を何度もしっかりと練り合わせることによって作られていることがよくわかり、ムダに使うのがもったいない気持ちになりましたねえ。ゴムの分子を結びつけることにより、ゴムに弾力を与える硫黄の働きの解説も、勉強になりました。
(65)フォークギターができるまで
職人技と手づくり感に溢れるフォークギターの製造過程。とりわけ、弦が張られるネック部分を作る過程における、さまざまなヤスリやカンナを使い分けながら細かく、慎重に進められる手作業はため息もの。人の心に響くようなフォークギターの音色は、こうした丁寧な手作業があってのことなんだなあ・・・と納得しきりでした。表板の木の材質によって音が違うことや、木目によって音が共鳴するということを、これで初めて知りました。
これまでの回は以下のとおりです。↓