こちらもなんだか恒例となってきたようでありますが•••来月10月に刊行予定の文庫新刊の中から、わたくしの興味に引っかかった書目をピックアップしてみたいと思います。
こちらもまた例によって、わたくしの興味感心に従ってピックアップしたものであり、皆さまにとってお役に立てるものかどうかはまるでわかりません。さらに、今回は版元にも幾分かの偏りがありますゆえ、これまで以上に「偏向」したものとなっておりますが•••。もし何か引っかかる書目がありましたら幸いであります。
刊行データのソースは、出版取次会社が書店向けに発行している情報誌『日販速報』9月9日号付録の10月刊行文庫新刊ラインナップ一覧です。発売日は首都圏基準で、地方では1~2日程度のタイムラグがあります。また、発売予定は変更されることもあります。
『唱歌・童謡ものがたり』 (読売新聞文化部著、岩波現代文庫、16日発売)
「赤とんぼ」「浜辺の歌」「月の砂漠」•••長く愛唱されてきた歌の誕生秘話や、作詞者や作曲者の人生ドラマなどを、誕生の地やゆかりの地を全国に訪ねて掘り起こした本。忘れかけている童謡・唱歌を思い起こし、見つめ直すためにも読んでおこうかな、と。
『パリ、娼婦の館 メゾンクローズ』 (鹿島茂著、角川ソフィア文庫、25日発売)
19世紀のパリで、男たちのあらゆる欲望を満たし、ときに重要な社交場となった娼婦の館と娼婦たちの世界を、豊富な写真と資料で描き出した異色の文化論。同じ鹿島さんの『パリ、娼婦の街 シャンゼリゼ』も同時刊行。
『釣師・釣場』 (井伏鱒二著、講談社文芸文庫、10日発売)
書名からすると、昭和39年に刊行された新潮文庫版の復刊のようですね。「三浦三崎の老釣師」「甲州のヤマメ」「長良川の鮎」など、飄逸な味わいで綴られた、釣りの楽しみと旅情溢れる釣魚記、全12篇を収録。
『落語の言語学』 (野村雅昭著、講談社学術文庫、10日発売)
志ん生や文楽、円生、小さん、談志などの実演の例を豊富に引用しつつ、落語という特異な芸能の特徴・構造・魅力を「ことば」の面から分析した、異色の落語論&言語論。落語における「ことば」の使い方には興味津々なので、ぜひ押さえておこうと思います。
『ヤノマミ』 (国分拓著、新潮文庫、29日発売)
10月刊行予定の文庫の中では、個人的には一番注目している一冊であります。アマゾン最深部で独自の文化と風習を一万年以上守り続ける民族、ヤノマミに150日にわたり密着して製作され、大反響を呼んだNHKのドキュメンタリー『ヤノマミ 奥アマゾン 原初の森に生きる』。そのディレクターが、番組では描ききれなかったヤノマミの深奥に迫り、人間と文明のありようを問い直した渾身のルポ。第42回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。これは絶対買います!
『ビューティフル・マインド 天才数学者の絶望と奇跡』上・下 (シルヴィア・ナサー著、塩川優訳、新潮文庫、29日発売)
「ゲーム理論」の確立によりノーベル賞を受賞した天才数学者、ジョン・ナッシュ。一方でナッシュの人生は、統合失調症との闘いの連続でもあった•••。ロン・ハワード監督、ラッセル・クロウ主演の映画でも知られる、天才数学者ナッシュの波乱の人生を描いた伝記。
『明治東京畸人伝』 (森まゆみ著、中公文庫、25日発売)
お雇い外国人教師ベルツ、チベット潜入の河口慧海、詩人のサトウハチローなどなど、明治の東京は谷中、根津、千駄木に生きた面白いヒトビトの人生を、精力的な聞き書きにより浮き彫りにした25のお話。
『日本SF短篇50(5)』 (日本SF作家クラブ編、ハヤカワ文庫JA、10日発売)
日本SF作家クラブ50年記念アンソロジーもいよいよ本巻にて完結です。冲方丁、上田早夕里、伊藤計劃ほか、ゼロ年代のSF界を代表する面々による作品を中心に精選した傑作選。
『ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト 最新科学が明らかにする人体進化35億年の旅』 (ニール・シュービン著、垂水雄二訳、ハヤカワ文庫NF、10日発売)
わたしたちヒトの生物としての歴史の鍵を握るのは、わたしたちの体のなかにいる「内なる魚」だ•••。ゲノムサイエンス、解剖学にいたるまでの成果を縦横に駆使して、生命進化の謎のスリリングで意外性に満ちた面白さを解き明かすサイエンス本。こういう「進化の謎」系の本にも惹かれるんですよねえ。
『ホルモン焼きの丸かじり』 (東海林さだお著、文春文庫、10日発売)
「丸かじり」シリーズは別格無条件でピックアップ(笑)。文春文庫からは椎名誠さんの『ごっくん青空ビール雲』も同時に文庫化。
もうひとつ、わたくしが注目しているのが、文藝春秋が10月から新たに始める文庫シリーズ「文春学藝ライブラリー」。価格も1000円台と高めで、文春ならではの教養文庫路線を狙っている模様。初回刊行ラインナップは以下の5冊です(文春文庫と同じ10日発売)。
『近代以前』 (江藤淳著)
『保守とはなにか』 (福田恆存・浜崎洋介著)
『支那論』 (内藤湖南著)
『天才・菊池寛 逸話でつづる作家の素顔』 (文藝春秋編)
『デフレ不況をいかに克服するか ケインズ1930年代評論集』 (ジョン・メイナード・ケインズ著、松川周二訳)
初回ラインナップにはまだ、買いたいという書目はないのですが(でも『~ケインズ1930年代評論集』は少し気になるな)、今後どのような書目が入ってくるのでしょうか。ちょっと注目であります。
こちらもまた例によって、わたくしの興味感心に従ってピックアップしたものであり、皆さまにとってお役に立てるものかどうかはまるでわかりません。さらに、今回は版元にも幾分かの偏りがありますゆえ、これまで以上に「偏向」したものとなっておりますが•••。もし何か引っかかる書目がありましたら幸いであります。
刊行データのソースは、出版取次会社が書店向けに発行している情報誌『日販速報』9月9日号付録の10月刊行文庫新刊ラインナップ一覧です。発売日は首都圏基準で、地方では1~2日程度のタイムラグがあります。また、発売予定は変更されることもあります。
『唱歌・童謡ものがたり』 (読売新聞文化部著、岩波現代文庫、16日発売)
「赤とんぼ」「浜辺の歌」「月の砂漠」•••長く愛唱されてきた歌の誕生秘話や、作詞者や作曲者の人生ドラマなどを、誕生の地やゆかりの地を全国に訪ねて掘り起こした本。忘れかけている童謡・唱歌を思い起こし、見つめ直すためにも読んでおこうかな、と。
『パリ、娼婦の館 メゾンクローズ』 (鹿島茂著、角川ソフィア文庫、25日発売)
19世紀のパリで、男たちのあらゆる欲望を満たし、ときに重要な社交場となった娼婦の館と娼婦たちの世界を、豊富な写真と資料で描き出した異色の文化論。同じ鹿島さんの『パリ、娼婦の街 シャンゼリゼ』も同時刊行。
『釣師・釣場』 (井伏鱒二著、講談社文芸文庫、10日発売)
書名からすると、昭和39年に刊行された新潮文庫版の復刊のようですね。「三浦三崎の老釣師」「甲州のヤマメ」「長良川の鮎」など、飄逸な味わいで綴られた、釣りの楽しみと旅情溢れる釣魚記、全12篇を収録。
『落語の言語学』 (野村雅昭著、講談社学術文庫、10日発売)
志ん生や文楽、円生、小さん、談志などの実演の例を豊富に引用しつつ、落語という特異な芸能の特徴・構造・魅力を「ことば」の面から分析した、異色の落語論&言語論。落語における「ことば」の使い方には興味津々なので、ぜひ押さえておこうと思います。
『ヤノマミ』 (国分拓著、新潮文庫、29日発売)
10月刊行予定の文庫の中では、個人的には一番注目している一冊であります。アマゾン最深部で独自の文化と風習を一万年以上守り続ける民族、ヤノマミに150日にわたり密着して製作され、大反響を呼んだNHKのドキュメンタリー『ヤノマミ 奥アマゾン 原初の森に生きる』。そのディレクターが、番組では描ききれなかったヤノマミの深奥に迫り、人間と文明のありようを問い直した渾身のルポ。第42回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。これは絶対買います!
『ビューティフル・マインド 天才数学者の絶望と奇跡』上・下 (シルヴィア・ナサー著、塩川優訳、新潮文庫、29日発売)
「ゲーム理論」の確立によりノーベル賞を受賞した天才数学者、ジョン・ナッシュ。一方でナッシュの人生は、統合失調症との闘いの連続でもあった•••。ロン・ハワード監督、ラッセル・クロウ主演の映画でも知られる、天才数学者ナッシュの波乱の人生を描いた伝記。
『明治東京畸人伝』 (森まゆみ著、中公文庫、25日発売)
お雇い外国人教師ベルツ、チベット潜入の河口慧海、詩人のサトウハチローなどなど、明治の東京は谷中、根津、千駄木に生きた面白いヒトビトの人生を、精力的な聞き書きにより浮き彫りにした25のお話。
『日本SF短篇50(5)』 (日本SF作家クラブ編、ハヤカワ文庫JA、10日発売)
日本SF作家クラブ50年記念アンソロジーもいよいよ本巻にて完結です。冲方丁、上田早夕里、伊藤計劃ほか、ゼロ年代のSF界を代表する面々による作品を中心に精選した傑作選。
『ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト 最新科学が明らかにする人体進化35億年の旅』 (ニール・シュービン著、垂水雄二訳、ハヤカワ文庫NF、10日発売)
わたしたちヒトの生物としての歴史の鍵を握るのは、わたしたちの体のなかにいる「内なる魚」だ•••。ゲノムサイエンス、解剖学にいたるまでの成果を縦横に駆使して、生命進化の謎のスリリングで意外性に満ちた面白さを解き明かすサイエンス本。こういう「進化の謎」系の本にも惹かれるんですよねえ。
『ホルモン焼きの丸かじり』 (東海林さだお著、文春文庫、10日発売)
「丸かじり」シリーズは別格無条件でピックアップ(笑)。文春文庫からは椎名誠さんの『ごっくん青空ビール雲』も同時に文庫化。
もうひとつ、わたくしが注目しているのが、文藝春秋が10月から新たに始める文庫シリーズ「文春学藝ライブラリー」。価格も1000円台と高めで、文春ならではの教養文庫路線を狙っている模様。初回刊行ラインナップは以下の5冊です(文春文庫と同じ10日発売)。
『近代以前』 (江藤淳著)
『保守とはなにか』 (福田恆存・浜崎洋介著)
『支那論』 (内藤湖南著)
『天才・菊池寛 逸話でつづる作家の素顔』 (文藝春秋編)
『デフレ不況をいかに克服するか ケインズ1930年代評論集』 (ジョン・メイナード・ケインズ著、松川周二訳)
初回ラインナップにはまだ、買いたいという書目はないのですが(でも『~ケインズ1930年代評論集』は少し気になるな)、今後どのような書目が入ってくるのでしょうか。ちょっと注目であります。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます