読んで、観て、呑む。 ~閑古堂雑記~

宮崎の某書店に勤める閑古堂が、本と雑誌、映画やドキュメンタリー、お酒の話などを、つらつらと綴ってまいります。

【読了本】『へんななまえの へんないきもの』 やっぱり生き物って面白い!

2013-07-28 19:50:24 | 本のお噂

『へんななまえの へんないきもの』
アフロ著、中経出版、2013年


巷ではNHKの大プッシュもあって、ダイオウイカなどの深海生物が引っ張りだこでありますね。
いや、もちろんダイオウイカも大好きなんですよ。ブームの火付け役であるNHKスペシャル『世界初撮影!深海の超巨大イカ』は本放送のみならずDVDも買って観ましたし、昨夜(27日)と今夜放送のNスペ『シリーズ深海の巨大生物』もしっかり観ましたからね(厳密に言えば、今夜の巨大ザメのはこれから観るところですが•••)。
ですが、わざわざ深海まで潜らなくても面白い生き物たちはいるのだ!ということで紹介するのが、本書『へんななまえの へんないきもの』であります(あ、実のところは深海の生き物もいくつか出てはいるのですが•••)。
本書の著者である「アフロ」は、自社撮影の写真のほか、国内外の写真家約2000名の作品も取り扱っている大手のフォトエージェンシー。さまざまなメディアや出版物に掲載されている写真で、「アフロ」のクレジットを見かけた方もおられるのではないでしょうか。
本書は、そのアフロが扱う膨大な写真コレクションを駆使して、へんてこなネーミングのみならず、変わった姿形や生態を持つ生き物59種を、軽妙なキャプションとともに紹介していきます。

のっけから「ウルトラマンボヤ」なる生き物が登場。カラダの表面に、ウルトラマンの顔を思わせる模様がびっしりあって、ウルトラマン好きとしては大喜びでありましたよ。まるで海の中のウルトラの国。いいなー。
顔といえば、「オニキンメ」という魚はなかなかにコワいご面相。上顎と下顎から生えている鋭いキバが禍々しい上に目つきも悪く、見出しにある「地獄の牢名主」にふさわしい感じ。小さい子どもが見たら泣き出しそうです。ただ、「キバが大きすぎるのか、口を閉じることはできないようだ」というのが、なんだかマヌケな気もしてしまうのですが。
ちなみに、表紙を飾るこれまたインパクト大のご面相をした生き物は、バットフィッシュ(ガラパゴスバットフィッシュ)。バット=コウモリと名付けられていながら、ちっともコウモリっぽくないという•••。

本人(?)の意思や生態とは関係なく、情けない名前をつけられてしまったカワイソウな生き物もいくつかあります。
「デカイヘビ」というヘビは、体長が25~40センチしかないにもかかわらず、学名の「dekayi」をローマ字読みしてつけられてしまった、というもの。
また、「コウガイビル」というヒルの一種は、人間に対してはまったくの無害なのに、毒々しい姿やカラーリングから「公害」を連想させる名前がつけられた、というのだから、これはまったく「冤罪」としかいいようがありません。わたくしは、哀れなコウガイビルの身の上を思い、一掬のナミダを流したのでありました•••。
情けない名前といえば、どうしても紹介したくなるような生き物もいるのですが•••もしかしたら、この文章を何か召し上がりながら読んでくださる方もおられるかもしれないので紹介は控えることにいたします。ちなみに、「ウンコタレ」という魚であります(笑)。
そして、酒好きとしてはなんともそそられる名前なのが「アカチョウチンクラゲ」。傘のカタチや中の赤い部分からして赤提灯っぽいのですが、敵に狙われないようにと、赤い部分を折りたたむというところもまさに提灯っぽい感じ。水槽で飼って、その姿を見ながら晩酌でもしてみたいなあ。

とまあ、こうして紹介していくとキリがなくなりますので、このへんでやめておくことにしますが、ほかにも「エッチガニ」や「インターネットウミウシ」「オジサン」などなど、そそられる名前をした物件がたくさん紹介されていて、大いに楽しめます。
本書で紹介されている59種のうち、実に44種が海の生き物。海というのは不思議な生き物の宝庫なんだなあ、ということをあらためて感じます。まだまだ、人間には存在を知られていないような不思議な生き物が、へんてこな名前をつけられて日の目を見ることになるのかもしれないですねえ。

やっぱり生き物って面白いんだなあ、という思いが湧いてくる楽しい一冊でありました。

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