アメリカで6階級制覇を成し遂げたフィリピン人ボクサー、マニー・パッキャオを主人公としたドキュメントです。
「信じられないほどのスピード」で繰り出されるパンチで、自らよりも階級が上のボクサーを次々と倒し、タイガー・ウッズやデイヴィッド・ベッカムをも上回る収入を稼ぎ出すスポーツ選手となったパッキャオ。
フィリピンのミンダナオ島に生まれた彼は、非常に貧しい少年時代を過ごしてきました。やがて、生きるために始めたボクシングが彼の人生を変えていきます。
パッキャオのトレーナーで幼なじみでもある人物は、パッキャオと自らについてこう言いました。
「俺たちは、脚にナイフをつけて闘う闘鶏のニワトリのようなものだ。でも、ただのニワトリでは終わらない」
そんなパッキャオと闘うことになったメキシコ人ボクサー、ファン・マヌエル・マルケス。それまで3回パッキャオと闘い、1度目は引き分け、2度目と3度目は判定でパッキャオに負けを喫した、因縁の強敵です。
今回の闘いは、巨額のファイトマネーが支払われる代わりに、ノックアウト以外は認めないという条件付きのもの。記者会見の席上、互いに「それまでの試合では俺が勝っていた」と言い、睨み合う両者。
試合前のパッキャオには、脚にけいれんを抱えるという不安がありました。自分より大きな相手と闘うため、脚に筋肉をつけ過ぎたことによる「6階級制覇のツケ」でした。
しかし、それでもパッキャオには闘わねばならない理由がありました。国会議員でもあり、ファイトマネーをつぎ込んで貧しいミンダナオ島に学校や農道を整備している彼は、故郷と国にとっての希望の星でもあったのです。
パッキャオがアメリカへ向かった直後、ミンダナオ島を台風が直撃。540万人が被災し、1500人もの死者が出る大きな被害を受けてしまいました。
そして昨年12月8日、ラスベガスでの試合当日。故郷の台風被害を気にかけながらも、被災した人々のために勝とうと、パッキャオはリングに上りました。
互角の打ち合いが続きましたが、3ラウンドではマルケスのパンチがパッキャオの顔面を捉えます。
その後はパッキャオ優勢で試合が進み、そのままパッキャオ勝利か、とも思われたのですが、6ラウンドで繰り出されたマルケスのパンチを受けたパッキャオは、うつ伏せに倒れ、そのままノックアウト負けに•••。
失意の中で故郷ミンダナオ島に帰ったパッキャオたち。そんな彼らを待っていたのは、道いっぱいに集まり、歓喜の表情で「ありがとう!」と迎えてくれた地元の人々でした。
被災した人々15000人分の緊急支援物質を送ることにしたパッキャオは、人々を前にこう言いました。
「俺が国を背負っていると思っていたけど、実は支えられていたんだ。俺はまだ闘える」
そして、パッキャオのトレーナーのことば。
「やっぱり俺たちは闘鶏のニワトリのようなものだったが、ただのニワトリではない。俺たちは負けても、何度でも立ち上がる」
ボクシングはもちろん、格闘技全般に疎いゆえ、パッキャオやマルケスのことも今回、初めて知ったのですが、そんなわたくしも彼らの「物語」「伝説」に引き込まれ、最後のくだりには目頭が熱くなりました。
苦境に置かれながらも、そこから立ち上がろうとする男たちの「物語」は、やはり観るものを引きつけてやまないものがありました。
また、アメリカにおけるボクシング興業のありようも興味深いものでした。チケット収入以上に、ペイパービュー(1試合ごとに料金を支払い、家庭で試合を観戦するシステム)による収入が莫大という、現在のアメリカのボクシング興業。パッキャオとマルケスの試合でも、8500万ドル(76億円)ものペイパービューによる収入があったとか。
それで巨額の利益を上げている、利にさとく抜け目がなさそうなプロモーターの男性も、好きにはなれないタイプとはいえ、それでも妙な魅力が感じられる面白い人物でありました。なるほど、「伝説」を作り上げるのは、案外こういう人物なのかもしれないなあ。
「信じられないほどのスピード」で繰り出されるパンチで、自らよりも階級が上のボクサーを次々と倒し、タイガー・ウッズやデイヴィッド・ベッカムをも上回る収入を稼ぎ出すスポーツ選手となったパッキャオ。
フィリピンのミンダナオ島に生まれた彼は、非常に貧しい少年時代を過ごしてきました。やがて、生きるために始めたボクシングが彼の人生を変えていきます。
パッキャオのトレーナーで幼なじみでもある人物は、パッキャオと自らについてこう言いました。
「俺たちは、脚にナイフをつけて闘う闘鶏のニワトリのようなものだ。でも、ただのニワトリでは終わらない」
そんなパッキャオと闘うことになったメキシコ人ボクサー、ファン・マヌエル・マルケス。それまで3回パッキャオと闘い、1度目は引き分け、2度目と3度目は判定でパッキャオに負けを喫した、因縁の強敵です。
今回の闘いは、巨額のファイトマネーが支払われる代わりに、ノックアウト以外は認めないという条件付きのもの。記者会見の席上、互いに「それまでの試合では俺が勝っていた」と言い、睨み合う両者。
試合前のパッキャオには、脚にけいれんを抱えるという不安がありました。自分より大きな相手と闘うため、脚に筋肉をつけ過ぎたことによる「6階級制覇のツケ」でした。
しかし、それでもパッキャオには闘わねばならない理由がありました。国会議員でもあり、ファイトマネーをつぎ込んで貧しいミンダナオ島に学校や農道を整備している彼は、故郷と国にとっての希望の星でもあったのです。
パッキャオがアメリカへ向かった直後、ミンダナオ島を台風が直撃。540万人が被災し、1500人もの死者が出る大きな被害を受けてしまいました。
そして昨年12月8日、ラスベガスでの試合当日。故郷の台風被害を気にかけながらも、被災した人々のために勝とうと、パッキャオはリングに上りました。
互角の打ち合いが続きましたが、3ラウンドではマルケスのパンチがパッキャオの顔面を捉えます。
その後はパッキャオ優勢で試合が進み、そのままパッキャオ勝利か、とも思われたのですが、6ラウンドで繰り出されたマルケスのパンチを受けたパッキャオは、うつ伏せに倒れ、そのままノックアウト負けに•••。
失意の中で故郷ミンダナオ島に帰ったパッキャオたち。そんな彼らを待っていたのは、道いっぱいに集まり、歓喜の表情で「ありがとう!」と迎えてくれた地元の人々でした。
被災した人々15000人分の緊急支援物質を送ることにしたパッキャオは、人々を前にこう言いました。
「俺が国を背負っていると思っていたけど、実は支えられていたんだ。俺はまだ闘える」
そして、パッキャオのトレーナーのことば。
「やっぱり俺たちは闘鶏のニワトリのようなものだったが、ただのニワトリではない。俺たちは負けても、何度でも立ち上がる」
ボクシングはもちろん、格闘技全般に疎いゆえ、パッキャオやマルケスのことも今回、初めて知ったのですが、そんなわたくしも彼らの「物語」「伝説」に引き込まれ、最後のくだりには目頭が熱くなりました。
苦境に置かれながらも、そこから立ち上がろうとする男たちの「物語」は、やはり観るものを引きつけてやまないものがありました。
また、アメリカにおけるボクシング興業のありようも興味深いものでした。チケット収入以上に、ペイパービュー(1試合ごとに料金を支払い、家庭で試合を観戦するシステム)による収入が莫大という、現在のアメリカのボクシング興業。パッキャオとマルケスの試合でも、8500万ドル(76億円)ものペイパービューによる収入があったとか。
それで巨額の利益を上げている、利にさとく抜け目がなさそうなプロモーターの男性も、好きにはなれないタイプとはいえ、それでも妙な魅力が感じられる面白い人物でありました。なるほど、「伝説」を作り上げるのは、案外こういう人物なのかもしれないなあ。
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