しろみ茂平の話

郷土史を中心にした雑記

一つの鍋 (満州引揚の話)

2023年07月04日 | 昭和21年~25年

昭和20年8月8日、
ソ連軍の満州侵攻でたちまち、日本人は棄民となった。
これは、おば(父の妹)の引揚時の話。

昨日、姉と雑談していたら高齢のおばのことが話題となり、
記録として書き残す。

 

 

一番困るのが・・・

おばの話(2002・4・30)

吉林から葫蘆島(ころとう)まではゴットン車ででた。
ゴットン車なので雨が降ればびしゃ濡れ。

食事は日に一食。
高粱のお汁のようなお粥。金(かね)の皿で二人に一つ、じゃから夫婦で一つ。
汽車が止まるのは一日一回。
止ったとこは(駅でなく)何処ゆうもんじゃない。

野宿。
一度だけ、焼けて屋根も半分ないような家か工場へ寝ることがあった。その時は病人や、子供や、年寄りがその中で寝た。
野宿じゃから毛布を頭から被って寝んと顔に露がつく。
とにかく私らはづっと野宿をしとった。
若かったけぇなあ。何日かかかってコロ島へでた。

一番困るのが・・・
吉林から葫蘆島(ころとう)までで一番困ったのが・・・おしっこ。
汽車は走りだしたら止まらんし。
満員でみんな立ったまま。
私が「おしっこがでたい」言うたら、身体へ毛布を巻いて、それからカナダライの洗面器にして。
それを、びっしり(満員)乗っとるひとの頭の上を、みんなで運び動いている貨車から外へ棄てていた。
そのカナダライは洗いもなにもせん。

 

管理人記
ここに出る「カナダライ」は、カナダライでなく、・・・じつは「鍋」だった。↓

 

・・

姉の話 2023.7.3 (姉とおばの会話日時は不明)

一つの鍋

日本に引き揚げる時、かね(金属)の手荷物は鍋一つだった。
この鍋で全部の用を足した。
オシッコをするのも鍋にした。
大便もするのも鍋にした。
水を飲むのも鍋にくんで飲んだ。
食糧を受けるのも鍋に貰い、鍋で食べた。


・・・・

 


ソ連軍の侵攻後、何度も生命の危機があり、
その中で一子を失ったおばは、
引揚時の苦労程度は、たいした問題ではなかったような話しぶりだった記憶がある。

 

 

 

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鞆の祇園さん参り

2023年07月04日 | 暮らし

広島県福山市鞆町「沼名前神社」(鞆の祇園さん)

 

茂平の港に年に一二度、観光汽船が入港していた。
茂平の波止場には、小さな漁船しかなかったので
大きな旅客船が目の前で見えるのは楽しかった。


波止場には乗る人や、見送る人や、見物人でにぎやかだった。

観光汽船は茂平の樋門の前に停まり、
荒神さん側から伝馬船で客を2~3人ずつ乗せて、本船へ運んでいた。


観光汽船は茂平から鞆へ行くということだった。
知らない鞆よりも、観光汽船へ一度乗ってみたい、その願望や気持ちが強かった。
鞆への観光船は、茂平の人たちの日帰りの物見遊山だと思っていた。

 

広島県・岡山県・香川県・愛媛県の、漁船や海上輸送の人達が、”海上安全”の信仰でお参りしていた、
ということを知ったのは、それから何年も後の事だった。

 

祇園さん参り


管理人は祇園さん参りに行ったことがないので、
姉に体験談を聞いてみた。
観光船でなく、隣家の漁船で行ったとのことだった。

姉の話・談2023.7.3

隣のおじさんの船に乗っていった。
おとうさんと私と、他に1~2人。
5~6人で行った。(茂平の漁船は定員自体が5~6人)

鞆に着いて降りる時が怖かった。
船からおりて、階段(雁木)を一段づつはいながら道まで上った。
それから鞆の町を歩いたり、お父さんが、土産や酒かすを買った。
帰るときも、船に乗る時がこわくていけなんだ。

管理人記・当時の港にポンツーン・桟橋は極少数で、
船を岸につけたら、船に飛び乗ったり、一枚板の上をあるくのが普通の乗船方法だった。

 

・・・


鞆の祇園さん参り

「金光町史」

鞆の浦の祇園様に参詣する。
昭和30年頃まで須恵では、毎年一月と六月に参詣していた。
今は7月にバスで行く。
かつては、朝出て南浦港まで歩く。
予約してある運搬船天神丸・八天丸で鞆に行き、
参詣後、阿伏兎観音で御祈念してもらう。
船で北木・白石島を通って南浦港へ帰る。
30~40人ぐらいの一行である。

 

「金光町史・民俗編」 金光町  平成10年発行

祇園講
祇園講は福山市鞆の沼名前神社、通称、鞆の祇園さんへ参る講である。
祭神は疫病除けの神である。
毎年七月ここへの参詣を続けている地区は多い。
戦前は玉島から船で、戦後はバスで参っている。
・・・

・・・

撮影日・2022.10.13

 

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