しろみ茂平の話

郷土史を中心にした雑記

巻物「信貴山縁起」を鑑賞した

2021年12月04日 | 令和元年~
場所・奈良県生駒郡平群町信貴山


朝護孫子寺の霊宝館で、有名な巻物”信貴山縁起”を鑑賞した。
予想していた以上に絵画に迫力を感じたり、古人の生活様式は昭和30年代を彷彿させるほどの親近感を思った。



(朝護孫子寺)



(霊宝館)



絵巻とは・・・・

横長の巻物に描かれた絵と、それに対応する説明の文章(詞書)とからなる絵画作品。
これを「絵巻」あるいは「絵巻物」という。
物語・説話・戦記・寺社縁起・高僧の伝記・神仏の霊験譚などで、作品になんらかのストーリーがある場合に限る。
源流は中国でだが、日本特有の「大和絵」の成立と不可分の関係にあった。
現存する四大絵巻(源氏物語絵巻・信貴山縁起・伴大納言絵巻・鳥獣人物戯画)は、
そのもっとも完成した姿を示すものであろう。

紙をつないで作られる横長の画面

例外的に絹本もあるが、紙本である。
縦はおおむね32~33センチ、
横は、巻いたときに太くなりすぎないように、最長でも17メートルが限度であろう。

絵巻の鑑賞

「開き、巻く」という一連の動作を繰り返すことが、絵画鑑賞の必須の前提であった。
その際、開ける画面は普通の人の肩幅くらい、60~80センチが適当だろう。
画面を右から左へ開き、
その画面をいったん巻き、再び右から左へ開く、
その作業をくり返しつつ見る。








信貴山縁起 ~ストーリー展開は息をもつかせぬ大スペクタクル~

名場面
長者の家は上を下への大騒動

大和国信貴山の僧妙蓮の法力によって、
鉢の上に長者の米倉が載せられて飛ばされる。
絵巻の横長画面を巧みに使って、空高く飛んで行く倉から地上で驚き慌てる人々の様子までが描かれている。
人々は、少々オーバーアクションともいえる動作で、飛んで行く倉を追いかける。
現代のマンガ家だって、わざとらしくてこれほど大げさには描くまい。
だが、その民衆のポーズや表情が、絵師のうまさである。


「すぐわかる絵巻の見かた」 榊原悟 東京美術  2004年発行




撮影日・2021年12月1日

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