しろみ茂平の話

郷土史を中心にした雑記

「愛国の花」

2021年07月15日 | 昭和の歌・映画・ドラマ
日中戦争が勃発後、時を同じように”国民歌謡”が喧伝された。
「愛国の花」は、
女性=大和撫子は、歌詞と同じ考えをもち、他の意見は許さないという臭いが強烈な歌だ。



「街に唄あり」  野尻守利  新潟日報  2001年発行

愛国の花 渡辺はま子
--凛々しく生きた銃後の女性が愛唱し心の支えに--


渡辺はま子といえば、昭和歌謡史を代表する歌手の一人であるが、
時代がちょうど戦時下だったこともあって「愛国行進曲」「空の勇士」など
戦時歌謡も多く歌っている。
その中でも特に「愛国の花」は、戦時歌謡とは思えない優雅な美しいワルツで、
銃後の女性に広く愛唱された名曲である。

昭和13年5月に日本放送協会(NHK)の国民歌謡として、
渡辺はま子の歌で放送された「愛国の花」は、歌詞が戦時調でなかったら、
昭和歌謡史の不朽の名曲となっただろうと惜しまれる。
当時としては数少ない女性向きの格調高い叙情歌で、特に女学生たちの愛唱歌となった。
作曲は戦時歌謡の名作「暁に祈る」の古関裕而で、銃後の日本女性の心の美しさ凛々しさを、
清楚なワルツの調べに乗せて歌いあげている。


愛国の花

真白き富士のけだかさを
こころの強い楯として
御国につくす女等(おみなら)は
輝く御代の山ざくら
地に咲き匂う国の花

老いたる若き諸共に
国難しのぐ冬の梅
かよわい力よくあわせ
銃後に励む凛々しさは
ゆかしく匂う国の花

勇士の後(あと)を雄々しくも
家をば子をば守りゆく
優しい母や また妻は
まごころ燃える 紅椿
うれしく匂う国の花

御稜威(みいつ)のしるし菊の花
ゆたかに香る日の本の
女(おみな)といえど生命がけ
こぞりて咲いて美しく
光りて匂う国の花

まだ戦争も本格的に泥沼化していなかった昭和12年、愛国的な歌謡にも気品がありました。
優美なワルツで「桜」「梅」「椿」「菊」と花になぞらえた女性たちの姿を描き出すのはなかなかに美しく素敵なメロディです。
レコードでは渡辺はま子が女声合唱と共に吹き込んでおり、その澄んだ声は暗い世相を忘れさせるかのようです。




(Wikipedia)

愛国の花

「愛国の花」(あいこくのはな)は、1937年(昭和12年)にラジオの国民歌謡として作られ、
1938年(昭和13年)4月20日、渡辺はま子の歌唱で日本コロムビアからレコード化された歌謡曲である。
銃後を守る婦人の思いを桜、梅、椿などにたとえて歌う。福田正夫作詞、古関裕而作曲。

歌のヒットを受けて、1942年(昭和17年)、木暮実千代、佐野周二主演で松竹により映画化された。


(佐野周二は関口宏のお父さん)

映画『愛国の花』
【あらすじ】
戸倉綾子は父親の文三と信州のある村で暮らしていたが、そこへテストパイロットとして事故死した文三の息子の親友である守山徹夫が訪ねてくる。
綾子は徹夫を慕うが、徹夫にはすでに婚約者がいた。
落胆した綾子は従軍看護婦となって戦地に行く決意をする。



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