日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

北朝鮮への制裁の後に来るもの

2016年02月20日 09時20分39秒 | 日々雑感
 今年2月始め、北朝鮮が核実験に続いて、長距離弾道ミサイルを発射した。国連安保理は、早速非難声明を出したが、制裁決議案は一ヶ月以上も決まらないままだ。これは、中国、ロシアが、過度な制裁は北朝鮮の崩壊に繋がり、難民流出等、即国内問題となることを恐れているかだと言われている。

 これに業を煮やして、その他の関係国は独自の制裁を始めている。米国は、核・ミサイル開発に関する材料や技術の取引禁止等を決めている。法が禁止するのは、あくまでも核・ミサイル開発に関することで、外貨獲得手段である石炭取引そのものは禁止していないとのことだ。

 韓国政府は、南北協力事業である開城工業団地の操業を全面中断した。この団地は北朝鮮の主要な外貨収入源で、北朝鮮にとって痛手になることは間違いないが、韓国にとっても大きな損失とのことである。しかし、ここで稼いだ金の大半が核・ミサイルの開発の投ぜられたとの大統領の反省表明があり、決意の固さが感ぜられる。
 
 日本も、安保理決議を待たずに、独自制裁を決めた。しかし、拉致問題で日朝間の「人・モノ・カネ」の流れは既に厳しく取り締まられており、09年の夏以降、貿易実績はゼロが続くそうで、効果は疑問視されている。固くしまった蛇口をもう一度閉めなおすような作業との政府高官のコメントもある。

 関係各国の独自制裁は、靴底から足の裏を掻いているようなもので、本当の効き目は中国の出方次第のようだ。国際世論に押され中国も北朝鮮に対する何かしらの制裁を始めると思うが、北朝鮮は米国に対する防波堤の役目と考える中国にとって、現状維持が最もよく、国家破綻は望むところではないようだ。
 
 各国の制裁は、核実験やミサイル発射に対する制裁であり、国家破綻にまで追い込むことは考えていないだろう。金正恩体制が平穏に民主主義体制に移行するのが理想であろうが、側近がどんどん粛清される超独裁体制を固めつつある現在、金正恩がおとなしく引き下がるとは思えない。

 金正恩体制の破綻は即国家の破綻となるような気がするが、国家破綻となるとどのような状況になるのであろうか。国家の混乱は、イラクやシリアに見られるが、反体制派の存在や宗教間の対立が有りそうも無いなので、同一視は出来ないだろう。内乱状況になるとすればロシア・中国と米国の代理戦争となるであろう。間違いないのは、一番の被害者は、北朝鮮の普通の人々と言うことだ。何十万、何百万の人が中国や韓国に、日本にだって押し寄せるだろう。決死の覚悟で日本海を渡ってくる難民を日本は受け入れる覚悟はあるだろうか。

 日本は、北朝鮮に対し拉致問題も抱えている。北朝鮮による拉致被害者家族連絡会の飯塚繁雄代表は、国連安保理で協議中の制裁について、「日本の拉致問題を理由とするという一項目を是非入れて欲しい」と訴えているが、空しく響くばかりである。拉致問題は関係する家族にとって真に心の痛む問題であるが、その影響力から見て核、ミサイル問題の方がはるかに大きな問題であるからだ。

 拉致問題は人道問題に違いない。北朝鮮国内における貧困問題を始めとして世界には貧困問題が満ち溢れている。 最近のシリアやイラクからの難民も大きな人道問題であるが、日本の関心は他人事である。

 また、北朝鮮は金正恩にとって都合の悪い人間は簡単に抹殺される世界である。拉致された人間が無事生きているとは到底思えない。日本の制裁に対して、北朝鮮は調査の中止で反撃してきたが、今更何を言っているの感である。拉致問題の解決は、金正恩体制の崩壊、すなわち、北朝鮮破綻と引き換えで無ければ、成し遂げられない気がする。
2016.02.20(犬賀 大好-209)