中国の大都市のPM2.5汚染はよくテレビで報道されるが、インドの大都市でも深刻らしい。これらの大都市は経済の発展が著しく、工場や自動車からの排ガスが主原因だろうと思っていた。その点、モンゴルの首都ウランバートルでも深刻との報道があった(2月18日)のには意外であった。
PM2.5の汚染が深刻な北京では、500を超えると話題となるが、モンゴルの首都ウランバートルでは1000を越えることが日常的であるとのことで、益々驚かされる。この大気汚染の8割は、遊牧民の住処であるゲルなどで焚かれるストーブが原因であるとのことである。
モンゴルと言えば大草原を馬で疾走する遊牧民をイメージするが、1990年代市場経済が導入されてから、彼らが働き口を求めて、草原を離れ、ウランバートルで定住するようになったためらしい。ウランバートルの人口が、99年に76万人であったが、14年に136万人と、国の人口の45%がウランバートルに住むようになったとのことである。
これは、首都での暮らしが草原の暮らしより何かと便利で快適なためであろう。しかし、首都での労働は低賃金でその多くは貧しく、安い石炭を買わざるを得ず、そのために大気汚染を引き起こすようである。それでも都会の生活を選ぶとなると、自然の中での暮らしが如何に過酷か、あるいは都会での暮らしの快適さがあるのであろう。大都会の片隅に居住する筆者が、モンゴルの大自然にあこがれるのは、都会の生活に慣れきった奢りであろう。
都会にあこがれるとの話は、自然が豊かな日本でもよくある話である。自給自足の生活に満足するのであれば、日本の国中たいていの所で住むことが出来る。しかし、若者は活力のある都会にあこがれ、老人は病気のことを心配して都会に集中する。近代技術で守られた都会は、安心・安全で、永遠に続くように思われるが、万が一の自然災害に見舞われた場合の食糧確保等を考えると、その脆弱さに愕然となる。日常口にする食べ物は、遠隔地で生産された食材が種々の運輸手段を介して、直接あるいは工場を経て、また多くの人手を経てやってくる。これらの歯車が順調に動いているときは、我々の生活は安泰であるが、一つでも狂うと、生存が脅かされることにもなる。
歯車が狂う危険性は頭では理解できても、なかなか実感されない。M7クラスの首都直下地震が今後30年の内に70%の確立で起こる予告されても、首都集中は一向に収まらない。大半の人々が4年後の東京でのオリンピックやパラリンピック開催に賛成している訳だから、いくら警告しても効き目は無いのは当然である。
モンゴルには、地震や水害の心配は少ないだろうが、寒波や旱魃の危険は多くあるに違いない。自然の恵みが豊かな日本でも首都圏集中が収まらない訳だから、モンゴルでの都市集中は今後一層増えるに違いない。2016.02.24(犬賀 大好-210)
PM2.5の汚染が深刻な北京では、500を超えると話題となるが、モンゴルの首都ウランバートルでは1000を越えることが日常的であるとのことで、益々驚かされる。この大気汚染の8割は、遊牧民の住処であるゲルなどで焚かれるストーブが原因であるとのことである。
モンゴルと言えば大草原を馬で疾走する遊牧民をイメージするが、1990年代市場経済が導入されてから、彼らが働き口を求めて、草原を離れ、ウランバートルで定住するようになったためらしい。ウランバートルの人口が、99年に76万人であったが、14年に136万人と、国の人口の45%がウランバートルに住むようになったとのことである。
これは、首都での暮らしが草原の暮らしより何かと便利で快適なためであろう。しかし、首都での労働は低賃金でその多くは貧しく、安い石炭を買わざるを得ず、そのために大気汚染を引き起こすようである。それでも都会の生活を選ぶとなると、自然の中での暮らしが如何に過酷か、あるいは都会での暮らしの快適さがあるのであろう。大都会の片隅に居住する筆者が、モンゴルの大自然にあこがれるのは、都会の生活に慣れきった奢りであろう。
都会にあこがれるとの話は、自然が豊かな日本でもよくある話である。自給自足の生活に満足するのであれば、日本の国中たいていの所で住むことが出来る。しかし、若者は活力のある都会にあこがれ、老人は病気のことを心配して都会に集中する。近代技術で守られた都会は、安心・安全で、永遠に続くように思われるが、万が一の自然災害に見舞われた場合の食糧確保等を考えると、その脆弱さに愕然となる。日常口にする食べ物は、遠隔地で生産された食材が種々の運輸手段を介して、直接あるいは工場を経て、また多くの人手を経てやってくる。これらの歯車が順調に動いているときは、我々の生活は安泰であるが、一つでも狂うと、生存が脅かされることにもなる。
歯車が狂う危険性は頭では理解できても、なかなか実感されない。M7クラスの首都直下地震が今後30年の内に70%の確立で起こる予告されても、首都集中は一向に収まらない。大半の人々が4年後の東京でのオリンピックやパラリンピック開催に賛成している訳だから、いくら警告しても効き目は無いのは当然である。
モンゴルには、地震や水害の心配は少ないだろうが、寒波や旱魃の危険は多くあるに違いない。自然の恵みが豊かな日本でも首都圏集中が収まらない訳だから、モンゴルでの都市集中は今後一層増えるに違いない。2016.02.24(犬賀 大好-210)