現在、特に介護と保育の仕事は人手不足と言われている。共に、人の役に立つ重要な仕事であるが、報酬が低いのが大きな原因のようである。月収が約20万円程度で、他の一般的な仕事より10万円程度低いとのことである。世の中アベノミクスのお陰であろうか、人手不足の昨今である。より高い報酬を目指して仕事を変えるのは当然である。余程のボランティア精神が無いとやっておられない。
報酬の引き上げが手っ取り早い解決策であるが、いずれも公的な補助がなければ、利用者への負担が大きくなり、社会問題化する。国の借金が1千兆円を超す状態では公的な補助金を増やすことも容易でない。社会保障費が毎年1兆円づつ増加するとのこと、更に増やすことは難しくても、何とか増やさなくてはならない。財源は消費税であろうが、10%を云々している場合でない。他の先進国並みに20%も必要かもしれない。国の借金、1千兆円は国の危機であるが、保育や介護の世界における人手不足は”今そこにある危機”だ。
同じ人手不足でも介護の仕事の方がより深刻である。団塊の世代が高齢化し、ここしばらくは介護対象者が爆発的に増える時代となった。介護の結果はほとんどの場合、死である。介護とは平穏な死を迎えさせるための過渡的な手当てである。保育の結果がこれから希望をもって社会へ送り出すのとは大きな違いである。これに痴呆が加わると一層介護は困難になり、様々な社会問題を引き起こす。
川崎市の有料老人ホームで入所者の男女3人が転落死した。この件で元職員の今井容疑者が逮捕された。深夜から早朝の時間帯は3人体制で約80人の入所者の面倒を見なければならない。分刻みのスケジュールでなすべき仕事が管理されているそうだ。各部屋を巡回し、必要に応じておむつを交換し、床ずれしないように頻繁に体位を変える。仕事は新3K(きつい、汚い、限がない)だ。認知症患者からは”ありがとう”の言葉を期待できない。おまけに給料は安い。これではいくらボランティア精神が高くてもやっておられない。今井容疑者の気持ちも理解できる。
拘束や虐待は人権問題だと言って非難するのは簡単だ。それらは介護する人に原因があるとして、その解決を介護人に求める。根源は給与の低さだ。政府は東日本大震災の復興予算に、2011年度から5年間で、国費のみで26.3兆円を投じた。復興も重要であろうが、介護も保育も”今そこにある危機”だ。人口減少が著しい東北地方で復興予算がどれほどの人々に有効に使われているであろうか。この金が復興とは関係ないところで使われたと聞くと、無性に腹が立つ。
さて、介護の世界の人手不足を補うために、低料金でも働いてもらえそうな外国人労働者の採用が必要と言われ、その通りと思っていたが、世の中既に先に進んでいるようである。台湾は1992年より介護を担う「介護工」になってくれる外国人を受け入れ始めた。資格要件はほとんど無いそうだ。2014年末に約22万人働いていた。インドネシア人が約17万で最多で、この他フィリッピン、ベトナムからの人が多いという。しかし、介護工希望の申し込みから実際に来るまで、数年前には2ヶ月だったが、今では約半年待たなくてはならないとのことである。早くも人材不足が起こっているのだ。
日本でも外国人労働者の受け入れが早くから叫ばれてきたが、言葉の問題等の理由で、遅々として進んでいない。関係者はこのような世の中の変化を認識しているのであろうか。今後、様々な条件を付けて受け入れを認めても応募する人材が居なければ、絵に描いた餅でしかない。
2016.03.26(犬賀 大好-219)
報酬の引き上げが手っ取り早い解決策であるが、いずれも公的な補助がなければ、利用者への負担が大きくなり、社会問題化する。国の借金が1千兆円を超す状態では公的な補助金を増やすことも容易でない。社会保障費が毎年1兆円づつ増加するとのこと、更に増やすことは難しくても、何とか増やさなくてはならない。財源は消費税であろうが、10%を云々している場合でない。他の先進国並みに20%も必要かもしれない。国の借金、1千兆円は国の危機であるが、保育や介護の世界における人手不足は”今そこにある危機”だ。
同じ人手不足でも介護の仕事の方がより深刻である。団塊の世代が高齢化し、ここしばらくは介護対象者が爆発的に増える時代となった。介護の結果はほとんどの場合、死である。介護とは平穏な死を迎えさせるための過渡的な手当てである。保育の結果がこれから希望をもって社会へ送り出すのとは大きな違いである。これに痴呆が加わると一層介護は困難になり、様々な社会問題を引き起こす。
川崎市の有料老人ホームで入所者の男女3人が転落死した。この件で元職員の今井容疑者が逮捕された。深夜から早朝の時間帯は3人体制で約80人の入所者の面倒を見なければならない。分刻みのスケジュールでなすべき仕事が管理されているそうだ。各部屋を巡回し、必要に応じておむつを交換し、床ずれしないように頻繁に体位を変える。仕事は新3K(きつい、汚い、限がない)だ。認知症患者からは”ありがとう”の言葉を期待できない。おまけに給料は安い。これではいくらボランティア精神が高くてもやっておられない。今井容疑者の気持ちも理解できる。
拘束や虐待は人権問題だと言って非難するのは簡単だ。それらは介護する人に原因があるとして、その解決を介護人に求める。根源は給与の低さだ。政府は東日本大震災の復興予算に、2011年度から5年間で、国費のみで26.3兆円を投じた。復興も重要であろうが、介護も保育も”今そこにある危機”だ。人口減少が著しい東北地方で復興予算がどれほどの人々に有効に使われているであろうか。この金が復興とは関係ないところで使われたと聞くと、無性に腹が立つ。
さて、介護の世界の人手不足を補うために、低料金でも働いてもらえそうな外国人労働者の採用が必要と言われ、その通りと思っていたが、世の中既に先に進んでいるようである。台湾は1992年より介護を担う「介護工」になってくれる外国人を受け入れ始めた。資格要件はほとんど無いそうだ。2014年末に約22万人働いていた。インドネシア人が約17万で最多で、この他フィリッピン、ベトナムからの人が多いという。しかし、介護工希望の申し込みから実際に来るまで、数年前には2ヶ月だったが、今では約半年待たなくてはならないとのことである。早くも人材不足が起こっているのだ。
日本でも外国人労働者の受け入れが早くから叫ばれてきたが、言葉の問題等の理由で、遅々として進んでいない。関係者はこのような世の中の変化を認識しているのであろうか。今後、様々な条件を付けて受け入れを認めても応募する人材が居なければ、絵に描いた餅でしかない。
2016.03.26(犬賀 大好-219)