日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

国際金融経済分析会合の成果

2016年04月06日 09時33分08秒 | 日々雑感
 政府は、本年5月に開催されるG7サミットの議長国として、現下の世界的な経済状況に適切に対応するため、世界の経済・金融情勢について、内外の有識者から順次見解を聴取し、意見交換を行う「国際金融経済分析会合」を開催するとして、これまでに3回開催したそうだ。

 3月16日の第1回の会合ではジョセフ・スティグリッツ 米コロンビア大学教授、第2回は17日のデール・ジョルゲンソン ハーバード大学教授と日本経済研究センターの岩田一政理事長であり、第3回はポール・クルーグマン ニューヨーク市立大学教授であった。経済の門外漢にとって、どのような人物かよく知らないが、ノーベル賞を取った人物もおり、世界的な有名人のようである。それぞれの会合における配布資料は、第1,2回の分公開されているので、その概要を知ることが出来る。

 第1回目の資料を見ると、いろいろな角度から世界経済の状況が説明されており、さぞかし重要な情報であろうが、素人には猫に小判、馬の耳に念仏である。

 従って、全体のストーリは定かでないが、耳慣れた言葉を探ってみると次のようなことを言っている。政府主導よりも市場メカニズムの方を優先させた結果、逆に世界的な不安定化の時代に突入した。先進各国が金融緩和を行ったが、その結果格差が拡大し、逆に消費が減った。マイナス金利の試みは悪い副作用をもたらす可能性がある。現在の不況は需要が足りないためであり、総需要を増加させるために国際的な地球暖化対策等に向けた国際協調が必要。TPPは悪い貿易協定であるというコンセンサスが広がりつつあり、 米国議会で批准されないであろう。等である。

 筆者は先進国の消費低迷の根源は社会の成熟にあると思うが、この点の指摘は誰もしていない。相変わらず、新興国頼みか、成長戦略云々である。持続可能な社会の実現に向けての提言を経済学者に期待するのは土台無理な話か。

 兎も角、アベノミクスにとって耳の痛い話が多い。特にTPPの経済効果に関し、内閣官房TPP政府対策本部の資料によれば実質GDPは2.6%増、2014 年度のGDP水準を用いて換算すると、約 14 兆円の拡大効果が見込まれ、その際、労働供給は約 80 万人増と見込まれると、捕らぬ狸の皮算用をしているが、先行き見通しは真っ暗である。

 日本の消費税に関する記述は、資料には見当たらなかったが、需要を喚起する点のみからは、見送った方がよいとの結論になるだろうが、他に耳を傾けるべき話はいくらでもある。会合が具体的にどのように進められたかわからないが、難解な経済の話を、しかも英語での説明をどれくらい理解し得たであろうか。多分、官僚が会合の後、補足説明をするのであろうが、少なくとも、金融緩和が格差を拡大し、消費が減った、との指摘を強調してもらいたいものだ。
2016.04.06(犬賀 大好-222)