ついに安倍首相は消費税の10%化を2019年10月に再延期することを表明した。安倍首相は、15年10月予定の消費税10%の引き上げを1年半延長すると宣言して、14年11月衆院解散に踏み切った。その際、「2017年4月には、消費税を断固引き上げる」と断言した。当時、アベノミクスの成功により、デフレを脱却し、景気が回復することを夢見ていたのであろう。そのため、景気付帯条項の無い法律まで作り、自信のほどを示していた。
先日、6月1日、再延期の理由を説明した。アベノミクスは成功しているが、それをより確かなものにするために、更に2年半先送りする、との内容である。聞けば聞くほど腹が立ってくる。
今回の発言で一番大きな問題は、政治不信を一段と高めたことである。それは、14年当時からつい先日まで、あれほど自信たっぷりに再延期はしないと言っていたのに、手のひらを反すが如く、前言を翻したことである。いろいろ理由はつけているが、要は夏の参院選で勝つためであることが、誰の目にも明らかであるからである。これまで、増税を宣言して選挙に勝った例は皆無である。今回、アベノミクスの成功を謳っても、誰も信用しないと悟り、再延期を決めたのであろう。
増税の話は、民主党政権から税と社会保障の一体改革として三党合意まであった。三党合意を前面に出せば、増税を前提とした選挙でも勝てないまでも、善戦したであろうが、その機会も自ら捨ててしまった。安倍首相の断固たる決意表明も単なるパフォーマンスであった。今後、20年度までに[基礎的財政収支」を黒字化する目標堅持といくら叫んだところで、誰も信用しないだろう。人は何度も騙されない。
また、舛添東京都知事のパフォーマンスも政治不信を増長させている。それは、海外出張でのスイートルーム宿泊等の高額の支出や、毎週湯河原の別荘の往復に公用車を使用していた公私混同問題だ。
2010年に出版された舛添著「舛添要一39の毒舌」という本の中には「大臣になったんだからファーストクラスで海外に、というさもしい根性が気に喰わない。」とあるそうだ。これは当時農水大臣であった赤松氏への酷評である。しかし、舛添氏が都知事に就任してから約2年間で海外出張が9回、そのうち6回がファーストクラスを利用しているとはどういうことだろうか。二枚舌、言行不一致、”他人に厳しく、自分に甘く”の典型である。政治家としての資質に疑問を抱かざるを得ない。
舛添氏のパフォーマンスは以前から有名であったようだ。消えた年金問題で社会保険庁職員が袋叩きにあう中、厚労大臣であった舛添氏だけは、一貫して人気を維持してきた。それは、世の中の風向きを見てバッシングに同調し、批判されている当事者を情け容赦なくこき下ろすというパフォーマンスが巧みだったからだとそうだ。舛添氏の政治的な手腕を買って、一票を入れた私が浅はかだった。
今回の公私混同問題を受けて、舛添氏は公用車の厳格運用、海外旅行の際のファーストクラスは止めと表明した。あれほど、公務の重要性を主張していたのに、ころっと変えるとは普段の発言も信念に基づくものでは無く、口から出まかせと思われる。
日本を代表する二人の政治家の言動がかくも簡単に変わり、国会や都議会で特に問題とならないのは、皆同じ穴の貉と言われてもしょうがない。”武士に二言はない”の精神はどこへ行ったのか。
政治家が信用できないことは、前から言われていたが、これでまた一層深まった。夏の参院選の投票率もまたまた下がるであろう。
2016.06.04(犬賀 大好-239)
先日、6月1日、再延期の理由を説明した。アベノミクスは成功しているが、それをより確かなものにするために、更に2年半先送りする、との内容である。聞けば聞くほど腹が立ってくる。
今回の発言で一番大きな問題は、政治不信を一段と高めたことである。それは、14年当時からつい先日まで、あれほど自信たっぷりに再延期はしないと言っていたのに、手のひらを反すが如く、前言を翻したことである。いろいろ理由はつけているが、要は夏の参院選で勝つためであることが、誰の目にも明らかであるからである。これまで、増税を宣言して選挙に勝った例は皆無である。今回、アベノミクスの成功を謳っても、誰も信用しないと悟り、再延期を決めたのであろう。
増税の話は、民主党政権から税と社会保障の一体改革として三党合意まであった。三党合意を前面に出せば、増税を前提とした選挙でも勝てないまでも、善戦したであろうが、その機会も自ら捨ててしまった。安倍首相の断固たる決意表明も単なるパフォーマンスであった。今後、20年度までに[基礎的財政収支」を黒字化する目標堅持といくら叫んだところで、誰も信用しないだろう。人は何度も騙されない。
また、舛添東京都知事のパフォーマンスも政治不信を増長させている。それは、海外出張でのスイートルーム宿泊等の高額の支出や、毎週湯河原の別荘の往復に公用車を使用していた公私混同問題だ。
2010年に出版された舛添著「舛添要一39の毒舌」という本の中には「大臣になったんだからファーストクラスで海外に、というさもしい根性が気に喰わない。」とあるそうだ。これは当時農水大臣であった赤松氏への酷評である。しかし、舛添氏が都知事に就任してから約2年間で海外出張が9回、そのうち6回がファーストクラスを利用しているとはどういうことだろうか。二枚舌、言行不一致、”他人に厳しく、自分に甘く”の典型である。政治家としての資質に疑問を抱かざるを得ない。
舛添氏のパフォーマンスは以前から有名であったようだ。消えた年金問題で社会保険庁職員が袋叩きにあう中、厚労大臣であった舛添氏だけは、一貫して人気を維持してきた。それは、世の中の風向きを見てバッシングに同調し、批判されている当事者を情け容赦なくこき下ろすというパフォーマンスが巧みだったからだとそうだ。舛添氏の政治的な手腕を買って、一票を入れた私が浅はかだった。
今回の公私混同問題を受けて、舛添氏は公用車の厳格運用、海外旅行の際のファーストクラスは止めと表明した。あれほど、公務の重要性を主張していたのに、ころっと変えるとは普段の発言も信念に基づくものでは無く、口から出まかせと思われる。
日本を代表する二人の政治家の言動がかくも簡単に変わり、国会や都議会で特に問題とならないのは、皆同じ穴の貉と言われてもしょうがない。”武士に二言はない”の精神はどこへ行ったのか。
政治家が信用できないことは、前から言われていたが、これでまた一層深まった。夏の参院選の投票率もまたまた下がるであろう。
2016.06.04(犬賀 大好-239)