朴槿恵(パク・クネ)大統領の辞任を求めて、韓国では連日大規模なデモが行われているとのことだ。このような老若男女が参加する大規模なデモが行われるのは、1987年まで続いた軍事政権を市民がデモを通じて民主的なものに変えた経験があるからであり、今回のデモも単なる政治への批判や反発ではなく、自分たちの社会をよりよくするための行動からであると好意的な論評をする人もいる。本当にそうであればよいが、傍目には、単なる欲求不満のはけ口と思える。
韓国は日本の隣国であり、日本文化は朝鮮文化の影響を多大に受けているため、考え方も似ているに違いないと思われるが、韓国の歴代大統領が、10人中8人が亡命・失脚・死刑判決・懲役刑判決・自殺しているという話はよく知られており、朴大統領もこれに仲間入りしそうである。これから見ると、韓国人と日本人はどこか基本的な点で異なっている感がする。
韓国社会は制度や規則ではなく、個人的な関係によって物事が動く”コネ社会”とのことだ。朝鮮半島は大陸と陸続きなため、異民族の侵略を受けやすく、制度や規則が簡単に変わる歴史的な背景があるのだろう。その点、親類、縁者等の個人的な関係の方が信頼できるとの土壌があるのかも知れない。
最近韓国ドラマをよく見る。韓国社会における慣習や考え方が日本におけるそれと随分異なり、新鮮に感ずるからである。その中で警察も検察も規則ではなく人間関係によって動く話もしばしば登場するが、それは昔の話と思っていたら現代でも続いているようだ。現在の韓国では儒教を信ずるものは少数であるようだ。しかし、社会の土壌には人間関係を重視する儒教の精神が強く残っているような気がする。
今回の不祥事も朴大統領と崔順実(チェ・スンシル)氏の40年来の個人的信頼関係が原因と言われている。崔氏とその一族は大統領の個人的な信頼を傘に、私欲を満たしていたようだ。
なぜ韓国はこのようなことが繰り返されるか、韓国国民の間に、この疑問が共有されているのだろうか。デモの様子をテレビで見る限り、辞任の要求で統一されているが、このような背景を糾弾する動きは汲み取れない。韓国マスコミは、このあたりの認識があるのだろうか。
2014年4月に韓国旅客船沈没事故が起きたが、その事故の最中およそ7時間にわたって、朴槿恵大統領の所在や動向が不明だったことがあったそうだ。これを報じた産経新聞社のソウル支局長が名誉毀損罪で逮捕された。この報道記事は他の韓国メディアの記事を引用したに過ぎなかったが、日系と言うこともあって問題視されたようだ。
この動きの裏には、大統領府の意向が働いていたことが、元首席秘書官の在職中のメモとされるものから明らかになった。ここにおいても、規則より人間関係が重視されていたようだ。すなわち、規則に照らし合わせて問題とするか否かを判断するのではなく、個人的な感情が支配していたようである。
朝鮮日報や東亜日報の主要韓国メディアは、この件に関して政権に媚びてか、ひたすら産経新聞叩きに熱中し、政権運営等の問題の本質に迫ることはしなかった。韓国は、北朝鮮と国境を接しているためか、マスコミ対策が普段から厳しいようであるが、韓国メディアは政権に対してもっと厳しくなければ韓国社会の発展は無い。
もし、あの時韓国マスコミがもっと本質に迫っておれば、今回の不祥事も未然に防げていたかも知れない。大統領側もマスコミのもっと自由な発言を容認し、耳を傾けて居ればと、朴大統領も悔やんでいるだろう。
朴大統領の辞任の方向が明確になり、次の大統領に話題が移りつつあるが、候補の公約に”コネ社会からの脱却や”報道の自由化”があるであろうか。韓国のマスコミも連続する大統領の不祥事の本質を探求し、韓国社会のどこに問題があるかを明確にし、世論を先導すべきであろう。このまま、新しい大統領が選ばれても、同じ過ちを繰り返すばかりである。2016.12.07(犬賀 大好-292)
韓国は日本の隣国であり、日本文化は朝鮮文化の影響を多大に受けているため、考え方も似ているに違いないと思われるが、韓国の歴代大統領が、10人中8人が亡命・失脚・死刑判決・懲役刑判決・自殺しているという話はよく知られており、朴大統領もこれに仲間入りしそうである。これから見ると、韓国人と日本人はどこか基本的な点で異なっている感がする。
韓国社会は制度や規則ではなく、個人的な関係によって物事が動く”コネ社会”とのことだ。朝鮮半島は大陸と陸続きなため、異民族の侵略を受けやすく、制度や規則が簡単に変わる歴史的な背景があるのだろう。その点、親類、縁者等の個人的な関係の方が信頼できるとの土壌があるのかも知れない。
最近韓国ドラマをよく見る。韓国社会における慣習や考え方が日本におけるそれと随分異なり、新鮮に感ずるからである。その中で警察も検察も規則ではなく人間関係によって動く話もしばしば登場するが、それは昔の話と思っていたら現代でも続いているようだ。現在の韓国では儒教を信ずるものは少数であるようだ。しかし、社会の土壌には人間関係を重視する儒教の精神が強く残っているような気がする。
今回の不祥事も朴大統領と崔順実(チェ・スンシル)氏の40年来の個人的信頼関係が原因と言われている。崔氏とその一族は大統領の個人的な信頼を傘に、私欲を満たしていたようだ。
なぜ韓国はこのようなことが繰り返されるか、韓国国民の間に、この疑問が共有されているのだろうか。デモの様子をテレビで見る限り、辞任の要求で統一されているが、このような背景を糾弾する動きは汲み取れない。韓国マスコミは、このあたりの認識があるのだろうか。
2014年4月に韓国旅客船沈没事故が起きたが、その事故の最中およそ7時間にわたって、朴槿恵大統領の所在や動向が不明だったことがあったそうだ。これを報じた産経新聞社のソウル支局長が名誉毀損罪で逮捕された。この報道記事は他の韓国メディアの記事を引用したに過ぎなかったが、日系と言うこともあって問題視されたようだ。
この動きの裏には、大統領府の意向が働いていたことが、元首席秘書官の在職中のメモとされるものから明らかになった。ここにおいても、規則より人間関係が重視されていたようだ。すなわち、規則に照らし合わせて問題とするか否かを判断するのではなく、個人的な感情が支配していたようである。
朝鮮日報や東亜日報の主要韓国メディアは、この件に関して政権に媚びてか、ひたすら産経新聞叩きに熱中し、政権運営等の問題の本質に迫ることはしなかった。韓国は、北朝鮮と国境を接しているためか、マスコミ対策が普段から厳しいようであるが、韓国メディアは政権に対してもっと厳しくなければ韓国社会の発展は無い。
もし、あの時韓国マスコミがもっと本質に迫っておれば、今回の不祥事も未然に防げていたかも知れない。大統領側もマスコミのもっと自由な発言を容認し、耳を傾けて居ればと、朴大統領も悔やんでいるだろう。
朴大統領の辞任の方向が明確になり、次の大統領に話題が移りつつあるが、候補の公約に”コネ社会からの脱却や”報道の自由化”があるであろうか。韓国のマスコミも連続する大統領の不祥事の本質を探求し、韓国社会のどこに問題があるかを明確にし、世論を先導すべきであろう。このまま、新しい大統領が選ばれても、同じ過ちを繰り返すばかりである。2016.12.07(犬賀 大好-292)