日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

極東地域における経済活性化

2017年09月13日 10時02分09秒 | 日々雑感
 ロシア極東のウラジオストクで9月6日、ロシアが主催する「東方経済フォーラム」が開始され、7日には安倍首相とプーチン大統領との会談が行われた。この会談で、極東地域での共同経済活動を活発化するため、・海産物の増養殖、・温室野菜栽培、・ツアー開発、・風力発電の開発、・ゴミ減容対策の5分野で取り組む方向で合意したとのことだ。

 北方4島の領土帰属問題は、戦後から続く問題であるが一向に進展が無い。そこで安倍首相はロシアの極東地域における共同経済活動の活発化により信頼醸成を図り、領土問題解決の糸口をつかもうとしている訳である。これに対し、国内の一部、特に外務省筋では共同経済活動には消極的のようだ。これには管轄権の問題が避けられず、ロシア国内法が適用されれば領土交渉に不利になるとの判断であるようだ。

 管轄権に関してはよくわからないが、隣国と仲良くすることは重要であり、双方に利するように経済活動を積極的に進めるべきと思う。ロシアと日本の法律の違いは、話し合えば何とかなるだろう。

 しかし信頼関係が確立しても、別の関門がある。北方4島あるいは2島が返還された場合、そこに日米安全保障条約が適用される可能性があるため、プーチン大統領は返還に反対しているとのことである。それならば、日米安全保障条約が適用されない日本領土とすればよいと単純には思うが、米国との関係もありそんな単純な話では無さそうである。

 さて、領土問題はさておき、9月7日の朝日新聞によれば、ロシアは極東に外国資本を呼び込むのに懸命であるとの事である。背景にはこの地域に雇用が無いため若者の流出が止まらないのだそうだ。日本における地方の問題と全く同じだ。

 韓国ソウル郊外の人口16万人の安城市(アンリン)には旧ソ連出身者の不法労働者が1千人いるとのことだ。大学で情報工学を学んだが、まともな就職口は無く、月給約3.8万円位の仕事しか無いそうだ。そこで、韓国に不法滞在するなどして仕事をすれば、稼ぎはロシアの4倍位は稼げるとのことだ。

 不法滞在で稼ぐのは、日本における中国人を始めとする外国人とばかりと思っていたが、ロシアの極東も発展途上地域なのだ。先述の5分野では先端的な技術が少なく、当面情報工学の専門知識が生かせそうにない。プーチン大統領としては日本の自動車産業等の先端技術の進出が望みであろうが、日本の企業はリスクが大きいとして逡巡しているようだ。何はさておき信頼関係の樹立が第1であろう。

 個人的には極東の観光資源が魅力的だ。火山活動が盛んな所もあり、野生動物やお花の自然が豊であり、何より日本に近いことが良い。機会があればすぐにでも行きたいところだ。ツアー開発に期待する。

 一方、核実験を強行した北朝鮮に対し、国連の安全保障理事会は日本時間の12日午前7時すぎ、新たな制裁決議を全会一致で採択した。制裁の一つに各国が北朝鮮労働者に新規の就労許可を与えることを禁止するなど制裁が強化されたようだが、これまでの仕事は続行できる等の現状維持は保証された。

 これまで2018年サッカーW杯開催に向けて準備が進むロシアで、北朝鮮労働者を多く受け入れているようだ。ロシア政府の入国記録から、2~3万人の北朝鮮出身者がロシアに居住していると推計される。これに限らず、ロシアはこれまで、極東地域を中心に安価な労働力として受け入れているようだ。ロシアの若者が低賃金で苦しむ地域において、安価な労働力として利用されているとは、何とも驚きである。これがロシアの若者の就職難の一因を作っているのかも知れない。

 米国における中南米からの移民、EU諸国におけるイスラム難民が地元民の職を奪うのと同じ構造かも知れないが、規模的には全く異なるであろう。本当に問題になるとすれば、北朝鮮の内部崩壊による大量難民の発生時かも知れない。2017.09.13(犬賀 大好-372)