去る11月24日の未明、2025年の万博開催が大阪に決まった。大阪万博では「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、健康や医療分野における人工知能(AI)や仮想現実(VR)など先端技術の発展を紹介する予定だそうだが、情けないことに具体案はこれからだそうだ。
今回の大阪万博は、2020年の東京五輪後の日本経済の落ち込みを懸念した振興策との位置づけだそうで、政府や経済界を総動員した誘致活動があったとの話だ。また、発展途上国には経済支援を約束し、票の取りまとめを依頼したそうだ。
なんせ経済最優先で、先述のテーマも中身は無いが取り敢えず夢を持たせるためのキャッチコピーに過ぎない。
ロシアのエカテリンブルグも競争相手であったが、大差をつけて大阪に決まった。プーチン大統領は、ロシアで初めての開催に意欲を示していたようであるが、日本の宣伝活動や経済力に負けた。これで、北方4島の領土問題に関する経済的な要求も一層厳しくなるであろう。
48年前に開催された1970年の大阪万博は、その6年前の東京五輪の経済落ち込みを防ぐためでもあり、今回の開催と全く同じ構造である。
そこでは、「人類の進歩と調和」をテーマに掲げ、高度経済成長を成し遂げて経済大国となった日本の象徴的なイベントとして開催された。77ヵ国が参加し、入所者数は予定の人数を大幅に越え大成功であったとのことである。今回も二匹目の泥鰌を狙った計画である。
大阪万博では、月から持ち帰った岩石の他、色々な先端技術が展示された。現在一般的になっている携帯電話やリニア式乗り物などその原型が示された。人間洗濯機もあり、現在商品化には至っていないが、何が商品となり得るかを考える上で、大いに参考となる出品であった。
私も新入社員として、出張の帰りに参加させてもらったが、余りの人数の多さに、碌に見学もせず引き上げたことを覚えている。
しかし、その3年後、第一次オイルショックを機に日本は混迷の中に突入していく契機にもなり、日本が最後の繁栄を謳歌した盛大なお祭りだったとも言える。正に”お祭りマンボ”の歌通りになった。
さて、今回AIやVRなど先端技術の発展を紹介する予定だそうだが、現在世界は様々な問題を抱えている。世界規模では地球温暖化、経済のグローバル化と保護主義貿易の衝突、移民・難民問題等、国内問題では、少子高齢化問題、財政規律問題、年金問題、外国人労働者問題、等目白押しである。
高齢化問題の一つとして健康や医療分野において、AIやVRを駆使した発展が著しい先端技術、すなわち、検査技術や手術技術、遠隔診断等の先端技術が十中八九取り上げられるだろう。人生100歳も当たり前の時代になっているが、これらの技術はそれを単に推し進める技術となろう。
しかし、人生100年になっても、かって人生60年の頃と比べて、生き甲斐、尊厳死や安楽死等の哲学的な問題に進歩があったとは思えない。生や死に関する宗教上の教えも変化しているようには思えない。しかもAIやVRをどのように駆使したところでその答えが見つかるとは思えない。
AIやVRは、既存の技術の整理や取りまとめ、効率化等には威力を発揮するが、新たな概念を生み出すことは出来ない。先端技術により生命を伸ばすことは出来ても、心の問題の解決には何ら貢献できない。従って、「いのち輝く未来社会のデザイン」への答えはほとんど期待できない。2018.12.01(犬賀 大好-499)
今回の大阪万博は、2020年の東京五輪後の日本経済の落ち込みを懸念した振興策との位置づけだそうで、政府や経済界を総動員した誘致活動があったとの話だ。また、発展途上国には経済支援を約束し、票の取りまとめを依頼したそうだ。
なんせ経済最優先で、先述のテーマも中身は無いが取り敢えず夢を持たせるためのキャッチコピーに過ぎない。
ロシアのエカテリンブルグも競争相手であったが、大差をつけて大阪に決まった。プーチン大統領は、ロシアで初めての開催に意欲を示していたようであるが、日本の宣伝活動や経済力に負けた。これで、北方4島の領土問題に関する経済的な要求も一層厳しくなるであろう。
48年前に開催された1970年の大阪万博は、その6年前の東京五輪の経済落ち込みを防ぐためでもあり、今回の開催と全く同じ構造である。
そこでは、「人類の進歩と調和」をテーマに掲げ、高度経済成長を成し遂げて経済大国となった日本の象徴的なイベントとして開催された。77ヵ国が参加し、入所者数は予定の人数を大幅に越え大成功であったとのことである。今回も二匹目の泥鰌を狙った計画である。
大阪万博では、月から持ち帰った岩石の他、色々な先端技術が展示された。現在一般的になっている携帯電話やリニア式乗り物などその原型が示された。人間洗濯機もあり、現在商品化には至っていないが、何が商品となり得るかを考える上で、大いに参考となる出品であった。
私も新入社員として、出張の帰りに参加させてもらったが、余りの人数の多さに、碌に見学もせず引き上げたことを覚えている。
しかし、その3年後、第一次オイルショックを機に日本は混迷の中に突入していく契機にもなり、日本が最後の繁栄を謳歌した盛大なお祭りだったとも言える。正に”お祭りマンボ”の歌通りになった。
さて、今回AIやVRなど先端技術の発展を紹介する予定だそうだが、現在世界は様々な問題を抱えている。世界規模では地球温暖化、経済のグローバル化と保護主義貿易の衝突、移民・難民問題等、国内問題では、少子高齢化問題、財政規律問題、年金問題、外国人労働者問題、等目白押しである。
高齢化問題の一つとして健康や医療分野において、AIやVRを駆使した発展が著しい先端技術、すなわち、検査技術や手術技術、遠隔診断等の先端技術が十中八九取り上げられるだろう。人生100歳も当たり前の時代になっているが、これらの技術はそれを単に推し進める技術となろう。
しかし、人生100年になっても、かって人生60年の頃と比べて、生き甲斐、尊厳死や安楽死等の哲学的な問題に進歩があったとは思えない。生や死に関する宗教上の教えも変化しているようには思えない。しかもAIやVRをどのように駆使したところでその答えが見つかるとは思えない。
AIやVRは、既存の技術の整理や取りまとめ、効率化等には威力を発揮するが、新たな概念を生み出すことは出来ない。先端技術により生命を伸ばすことは出来ても、心の問題の解決には何ら貢献できない。従って、「いのち輝く未来社会のデザイン」への答えはほとんど期待できない。2018.12.01(犬賀 大好-499)