冬山登山シーズンがやってきた。冬山に限らず、夏山でも高齢者の登山が増えたためか遭難者は後を絶たない。国土交通省によれば、平成28年の山岳遭難事故の発生件数は2495件、遭難者数は2929人だったそうだ。10年前、平成18年の発生件数は1417件、遭難者数は1853人で、それぞれ1.76倍、1.58倍にもなる計算だ。
登山する人は間違いなく、自分の勝手で登るのであり、事故が起こっても自己責任であるとして放って置いても良いわけだ。自己責任とは、自分がなした行為の結果に対しては自分で責任を持て、自分で解決しろとの意味であるが、そのまま放って置けば済む問題で無い所に解決の難しさがある。
すなわち、人道上の問題として、放って置くわけにはいかないのだ。そこで、公費で運営される山岳遭難に携わるレスキュー隊が存在し、自己責任を陰で支えているのだ。
国内のヘリコプターレスキューは、警察、消防、自衛隊、および民間ヘリ会社によって行なわれている。民間ヘリは当然有料となり、救助費用は遭難者が負担することになる。一方警察、消防、自衛隊のヘリは地方自治体の管轄で、遭難者には無料だが、その経費はそこに住んでいる人の税金から払われるそうだ。
携帯電話の普及により安易な救助要請もあるという。携帯電話で救助要請がありヘリコプターで救助に向かうと、子供が疲れたので、などの理由で病院まで送ってほしいという要請である。
安易な要請に基づく出動経費や県外の遭難者に対する出動経費を、地元の自治体が負担するのはおかしいとの意見もあり、関係者の間で有料化など検討されているようであるが、人命に関わる問題はお金で測ることができない為、様々な意見があるようだ。
これと同じように、自己の都合で行動し多くの人に迷惑をかける話としては、海外の紛争地におけるジャーナリストの救出がある。
2015年6月、内戦下のシリアを取材するため、トルコ南部からシリア反体制派の支配地域に入り、行方不明になっていたフリージャーナリスト・安田純平氏が今年10月23日に解放された。
日本政府は解放にはカタールとトルコの協力があったとしており、安田氏は政府の退避勧告が出された地域に立ち入ったことで、政府や国民に迷惑をかけたと多くの人から非難された。
安田氏の擁護者は、紛争地の内情を世界に知らしめることが人道上必要であり、ジャーナリストの役目であるとし、国として助けるのは当然と主張する。ジャーナリストの役目は確かにその通りであろうが、自分の信念を他人の迷惑を顧みず押し通したのだから、自分一人で解決すべきであるとの自己責任論も一理ある。
趣味で危険な山に登り遭難する人も、信念で紛争地に入り囚われた人も、目的は何であれ人間の命には変わりない。
マスコミは、正義を前面に出して彼を擁護し、英雄扱いするきらいがあり、反って一般人から反感を買う面もある。山の遭難と同様に単に人道上の問題と思えば、余計な言い訳は無用である。
また、多くの無名のジャーナリストが政府の援助も受けず、自分が有名になろうとすることも二の次で、自己責任を取れる範囲で取材活動を続けていることだろうが、このような人をマスコミはもっと取り上げるべきであろう。2018.12.15(犬賀 大好-503)
登山する人は間違いなく、自分の勝手で登るのであり、事故が起こっても自己責任であるとして放って置いても良いわけだ。自己責任とは、自分がなした行為の結果に対しては自分で責任を持て、自分で解決しろとの意味であるが、そのまま放って置けば済む問題で無い所に解決の難しさがある。
すなわち、人道上の問題として、放って置くわけにはいかないのだ。そこで、公費で運営される山岳遭難に携わるレスキュー隊が存在し、自己責任を陰で支えているのだ。
国内のヘリコプターレスキューは、警察、消防、自衛隊、および民間ヘリ会社によって行なわれている。民間ヘリは当然有料となり、救助費用は遭難者が負担することになる。一方警察、消防、自衛隊のヘリは地方自治体の管轄で、遭難者には無料だが、その経費はそこに住んでいる人の税金から払われるそうだ。
携帯電話の普及により安易な救助要請もあるという。携帯電話で救助要請がありヘリコプターで救助に向かうと、子供が疲れたので、などの理由で病院まで送ってほしいという要請である。
安易な要請に基づく出動経費や県外の遭難者に対する出動経費を、地元の自治体が負担するのはおかしいとの意見もあり、関係者の間で有料化など検討されているようであるが、人命に関わる問題はお金で測ることができない為、様々な意見があるようだ。
これと同じように、自己の都合で行動し多くの人に迷惑をかける話としては、海外の紛争地におけるジャーナリストの救出がある。
2015年6月、内戦下のシリアを取材するため、トルコ南部からシリア反体制派の支配地域に入り、行方不明になっていたフリージャーナリスト・安田純平氏が今年10月23日に解放された。
日本政府は解放にはカタールとトルコの協力があったとしており、安田氏は政府の退避勧告が出された地域に立ち入ったことで、政府や国民に迷惑をかけたと多くの人から非難された。
安田氏の擁護者は、紛争地の内情を世界に知らしめることが人道上必要であり、ジャーナリストの役目であるとし、国として助けるのは当然と主張する。ジャーナリストの役目は確かにその通りであろうが、自分の信念を他人の迷惑を顧みず押し通したのだから、自分一人で解決すべきであるとの自己責任論も一理ある。
趣味で危険な山に登り遭難する人も、信念で紛争地に入り囚われた人も、目的は何であれ人間の命には変わりない。
マスコミは、正義を前面に出して彼を擁護し、英雄扱いするきらいがあり、反って一般人から反感を買う面もある。山の遭難と同様に単に人道上の問題と思えば、余計な言い訳は無用である。
また、多くの無名のジャーナリストが政府の援助も受けず、自分が有名になろうとすることも二の次で、自己責任を取れる範囲で取材活動を続けていることだろうが、このような人をマスコミはもっと取り上げるべきであろう。2018.12.15(犬賀 大好-503)