日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

新型コロナウイルスのPCR検査体制のありかた

2020年04月04日 09時19分35秒 | 日々雑感
 新型コロナウイルスへの感染を確認するためのPCR検査を巡って日本の検査体制の是非が議論されている。すなわち中国、韓国を始めとしてヨーロッパ各国は徹底した検査を行っているが、日本では発熱等の症状がかなり進んだ段階で感染を最終確認する手段として使用している。

 日本の検査に至る具体的手順は、医者や患者が保健所等に設けられている”帰国者・接触者相談センター”に相談し、センターが検査の必要性が判断された場合に実施されることになっている。この判断基準が厳しいためかPCR検査数が極めて少なく、このため感染者数の実体が把握されていない等の批判が後を絶たない。

 2月26日衆議院予算委員会で加藤厚生労働大臣は現実の声をしっかりと聞き、一つ一つ対応していきたいと述べ、検査体制の拡充に努める考えを示した。

 また、3月始めには、保険適用して保健所の了解がなくても医師の判断で民間の医療機関を使えるようにし、更に検査能力は3月始めには6200件、3月末には民間も含めて7000を超える能力まで拡大できる見通しを持っている、と述べた。

 さて厚労省のホームページの感染に関する国内事例の集計では、PCR検査実施人数は3月28日26105人、3月29日26401人だったそうだ。この数値は累計であるので、土、日の集計であると言え7000件の検査能力を充分生かしているとは到底思えない。

 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が、今年3 月 19 日に報告した「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」には次のように記されている。

 PCR検査法は優れた検査ではありますが、万能ではなく感染していても陽性と出ない例もあります。したがって、PCR検査のみならず、臨床症状もあわせて判断する必要があります。

 また、自衛隊中央病院による”医療従事者向け新型コロナウイルス感染症について”のネット情報によれば、次のように記されている。
・PCR検査陽性者の8割は無症状であるか、症状は軽度であった。
・無症状あるい軽症の陽性者の約半数にCT画像上に異常な陰影が認められた。
・新型コロナウイルスによる新型肺炎の診断を行う上でCTは有効であると考えられる。

 この報告の中ではPCR検査が陰性であっても新型肺炎に罹患していると考えられるべき症例があることや、複数回PCR検査を行った結果、陽性になったり陰性になったりする症例の経験も述べられている。

 このような情報を耳にすると、どうも政府はPCR検査を金の無駄使いと思っているようだ。先述の厚労省のホームページの集計でもPCR検査で判明した陽性者数は1647人で検査実施者のわずか6.2%だ。しかもこの値は感染者だとかなり疑わしい人に限って実施した結果だ。希望者全員に実施するとこの割合は更に下がるであろう。

 これまで、PCR検査が行われていなかったのは爆発的に感染者数が多くなった場合に備えてだと思っていたが、どうもそうではないらしい。PCR検査は信頼度が低く、コストパーフォーマンスの低い検査法と思っているようだ。韓国は徹底した検査により医療崩壊を防いでいるとのことだ。検査体制に関する加藤厚労大臣の説明が今もってよく分からないのは、本人もよく分かっていないのではないか。2020.04.04(犬賀 大好-588)