日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

今こそ中国政府は情報公開を積極的にすべきだが

2020年04月08日 09時31分54秒 | 日々雑感
 中国湖北省の政府は先月24日、感染拡大を封じ込めるため1月23日から実施していた同省武漢市の封鎖措置を4月8日に解除すると発表した。28日には、地下鉄が一部で再開したり、路線バスやタクシーも運行を再開し、銀行なども次々と営業を始めているそうだ。

 3月19日、中国国家衛生健康委員会は中国国内の新型肺炎新規感染者の最新データを発表した。それによると、武漢市・湖北省を含めて18日に中国国内で発生した新規感染例はゼロであった。武漢では新しい感染者の確認がない状態が5日続いたと発表されていたが、24日に1人の感染が確認されたと言うことだが、これが本当であれば封鎖対策が成功したことになろう。

 さて習近平主席が3月10日に武漢を訪れ、“武漢の安全”を身をもってアピールしたのを契機として、中国各省は都市封鎖解除の準備に入っていた。中国各省は武漢に派遣していた医療チームの撤退を3月17日から開始し、3月20日までに1万2000人の医療応援チームが武漢から撤退し、その撤退の様子を華々しく放映している。

 新型コロナウイルスは武漢から発生したが、習主席の的確な指導により無事乗り切ったとの筋書きをアピールしている。実体は兎も角、習主席の思惑通りの筋書きで進んでいる。

 世界はウイルスの蔓延で感染者数が10万人を超える国が続出しているが、中国の公式発表では中国の感染者の数は8万人止まりで増えておらず、日本のメディアもこの値を信じ、感染者の数が米国等で中国を上回ったと報じている。

 中国での感染者の定義はPCR検査で陽性と判定されても症状が出ていない人は感染者に含めないとのことであり、国際基準から逸脱しているのが問題であるが、そこを日本のメディアは問題にしていない。

 中国の判定基準は無症状者は他人に感染させる恐れがないからとの理屈であったが、広東省の疾病予防コントロールセンターが3月19日に米国の医学雑誌に、新型コロナ肺炎患者は発病後間もなく大量のウイルスを放出するようになるが、ある無症状感染者のウイルス放出量は発病者とほとんど変わりがなかった、と政府に都合の悪い報告をしている。

 また、香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは先月13日、昨年11月17日時点には中国で新型コロナウイルスの感染が起きていたと報じた。政府の未公開資料に基づくと伝えているが、事実であれば、中国当局が従来発表してきた12月8日より3週間ほど早かったことになり、初動体制の遅れが一層顕著となる。

 このように中国政府に都合の悪い情報も続々報道されるが、中国政府の締め付けが弱まっているのだろうか。しかし、中国は3月18日、米紙ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、ウォールストリート・ジャーナルの米国人の記者らに対し、事実上の国外退去を命じた。

 今回の措置は、米国領土で中国国営メディアへの勤務を認められる中国人の数を減らすとの米政府の決定に対する報復措置と説明しているが、本当は国内事情を余り知られたくないのが本音であろう。2020.04.08(犬賀 大好ー589)