日本医師会など医療関係9団体は12月21日、「医療緊急事態」を共同で宣言した。今のまま新型コロナウイルスの感染拡大が続けば、国民が必要な医療を受けられない医療崩壊の恐れがあると、強い危機感を訴え、政府に強い対策を要請した。
政府は普段から不要不急の外出自粛、営業時間の短縮等を国民に要請しているが、国民に範を垂れるべき首相自ら有名民間人と会食する等、すっかりコロナ慣れしてしまい、今更緊急事態宣言をしたからと言って、今年の春程の効果は無いだろう。
安倍前総理大臣は今年4月7日に東京等7都府県に緊急事態宣言を行い、同月16日に対象を全国に拡大した。日本は法律上の制限があり、海外のような罰則を伴うロックダウンはできないが、不要不急の外出自粛を要請し、休業要請で厳しい経営状況にある事業者への給付金などで実効性を持たせた。緊急事態宣言は初めてのことであり、それなりの効果が発揮され、第1波は急激に収まった。
一方、新型コロナウイルスの発祥地とされる武漢ではすっかり元の賑わいを取り戻しているそうだ。どこまで本当かの疑問が残るものの東京程の発生状況では無いだろう。これは強制力のある外出禁止等の他、徹底したPCR検査をした結果であろう。現日本では法的に外出禁止は無理であるが、徹底したPCR検査は可能である。
武漢市で今年5月始め6人の新規感染が確認されたが、6月1日までに、およそ990万人の市民にウイルス検査を実施し、無症状の感染者が300人いたことを確認したそうだ。中国では感染者の発生にともない、一斉のPCR検査は当然の如く行われているようであり、感染拡大を抑え、経済の回復に繋がっているのだろう。
これに対し、日本ではPCR検査には消極的である。日本感染症学会、日本環境感染学会からは4月の時点で “ PCR検査の原則適応は、”入院治療の必要な肺炎患者で、ウイルス性肺炎を強く疑う症例”として軽症例には基本的にPCR検査を推奨しない、 と提言した。その理由は、PCR検査の信頼性が低いため、非感染者でも感染者と判断された擬陽性患者でも2週間入院させる無駄があり、強いては重傷者を受け入れられる余地が無くなるとの、重症者の救命を第一にしているとの大義名分があった。
PCR検査の感度、すなわち感染者を感染者であると診断できる確率は、現状では70%程度と言われている。これは、検体の採取部位・種類、更には、感染あるいは発症からの経過時間によりPCR検査の結果が異なる為のようであるが、その要因が次第に明らかになり、従って感度も高くなっていくだろう。また、陽性と判定されても、症状により自宅療養の手段も確立されてきた。
最近、保健所を介さなくても、民間の検査センターで、比較的安価で検査できるようになってきた。このような医師による診断を伴わない検査においては、検査結果が陽性となった者は、速やかに従来通りの検査機関で再検査をするように推奨されているとのことだ。
感染拡大が収まらない現状、個人に自粛要請しても効果は少ない。民間の検査機関を活用する等して、都民全体にPCR検査を実施する位の覚悟が無いと、コロナ騒動は収まらないであろう。2020.12.26(犬賀 大好ー664)