東京五輪の開会式を1ヵ月後に控え、組織委員会と国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)は15日夜、開催が7月23日に迫った大会を安全に運営するため、選手および関係者向けの新型コロナウイルス対策指針をまとめたプレーブックの最新版を発表した。
プレーブックの語源であるアメリカンフットボールのplaybookとは、様々なフォーメーションごとに相手の動きに合わせた対抗策が詳細に記された作戦ノートで、選手は試合前にそれを頭に叩き込んでおく必要があるとのことだ。
これを転じて、五輪の開催において、コロナ感染の様々な状況に対し対処策を講じた作戦集を意味するのであろう。これまで2回の改定があり、最新版は第3版に相当するが、既にいろいろな問題点が指摘されており、更なる改定もありそうである。
今回の発表によると、新型コロナ検査を拒否したり、意図的にソーシャルディスタンス対策を無視したりするなど、プレーブックで規定されたルールに従わない場合、日本の当局やIOC、IPCもしくはその他の関連組織による罰則の対象となる可能性があり、罰則は警告から罰金や大会参加資格の剥奪など多岐にわたる、と記されてそうだ。
筆者はこのプレイブックを丁寧に読んでいないが、ルールブックと言うより単なるマナーブックの感がする。すなわちここで記されている様々なルールは、日本の法律で決められている訳ではない。従ってルール違反を日本の警察が取締ることができない。
プレーブックで罰則を決めるのは、”日本の当局やIOC・・・”と記されているが、この当局とはどこを指すのか不明である。恐らくIOCが中心になって急遽作る監視組織を指すのであろうが、仲間内で厳しい監視ができる筈がない。増してオリンピックのお祭り騒ぎの中、盛り上がりに水を差す海外退去命令などできる筈もない。従って、プレイブックは選手および関係者向けと称しているが、日本の国民を安心させるための方便でしかない。
さて、東京五輪に出場するために先日19日に来日したウガンダの選手団9名のうちコーチ1人が新型コロナウイルスの検査で陽性となったこと、しかもアストラゼネカ製ワクチンをすでに2度接種済みだったことを日本の当局者が明らかにした。
ウガンダオリンピック委員会によれば、このコーチに症状はなく、このコーチが参加を禁止されたり、ウガンダに送り返されたりするのかどうかは不明だそうだ。残りの8人は滞在先である大阪府泉佐野市に向かった。8人はバブル方式で隔離され、毎日検査を受けるそうだが、これの責任は受け入れの自治体にあるそうだ。
プレイブックでPCR検査やワクチン接種を義務つけているが、PCR検査は信頼度の面からいろいろなレベルがあるようであり、そこまで詳細に決めておらず、抜け穴は各所に見られる。2021.06.23(犬賀 大好-713)