日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

安楽死を考える

2014年12月15日 09時58分35秒 | 日々雑感
 安楽死に関しては、最近2件の報道があった。米国オレゴン州で、ブリタニー・メイナードさんが今年1月、悪性の脳腫瘍が見つかり、4月には医師から余命半年と宣告を受けた。メイナードさんは自ら命を絶つことを選択し、11月1日に医師から処方された薬を飲み、安らかに息を引き取ったという。
  これとは反対に、脳腫瘍のため、余命数カ月と診断されたアメリカの女子大学生バスケットボールプレーヤーが公式戦デビューを飾り、4得点をマークする活躍を見せる等、命ある限り精一杯生きようとしていることが報じられた。
  脳腫瘍のため余命数ヶ月と宣告された後の身の振り方の二つの例であるが、どちらが正しいか一概には論じられない。どちらを選択するにしても個人が選択できることは結構なことであり、肉親であっても他人がとやかく口を挟むことではない。
  安楽死を認めるか認めないかは、その人の置かれた環境にも左右されるであろう。医学の進歩は著しい。若者であれば1年先には画期的な治療法が見つかり、その後有意義な人生を送れる可能性がある。軽々しく命を絶つべきでないと思うが、70歳を超えた老人が余命いくばくかを宣告され、毎日が苦痛に耐える生活であるならば、問題なく安楽死を認めるべきであろう。
  日本では、安楽死のみならず尊厳死に関しても、“触らぬ神に祟りなし”とばかりに問題を避け、法制化を先送りにしている。患者の意思が確認されない場合、一旦延命治療が施されてしまうと、その延命治療を自然死前に中断すると殺人罪に問われるとのことである。患者の尊厳に関係なく、ひたすら長生きさせることが絶対的な“善“であるとの判断からであろうが、安易な考えではないかと思う。
  スイスでは、終末期の病人に対する医療従事者の自殺幇助が認められている。このためにスイスを訪れる「自殺ツーリスト」が最近の5年間で600人を超えたとのことである。安楽死はスイスの他に、オランダ、ベルギー、ルクセンブルグ、アメリカの4州(ワシントン、オレゴン、モンタナ、バーモント)で合法となっているが、外国人に安楽死の機会を提供するのは「ディグニタス」と称するスイスの団体だけなのだそうだ。スイスに行くためには金がかかる。せめて、意識がはっきりしている内に、延命治療だけは勘弁して欲しいと、公言しておくことにしよう。(犬賀 大好-83)

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