日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

日銀は本来の役目を果たせ

2023年11月22日 10時28分49秒 | 日々雑感
  日本では日本銀行が金融機関の中核となる中央銀行に該当し、お札の発行や物価の安定、金融システムの安定化を図るための重要な役目を担う。この目的を達成するため、日本銀行法第3条第1項では、「日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は、尊重されなければならない」として、日銀は政府の意向に左右されずに、独立した存在であるべきだと定められている。

 日銀はお札を発行できる権限を有する為、戦前の日本でも、2.26事件後の軍拡路線で軍事費をまかなうため、政府が国債を乱発し、それを日銀がお札を印刷して買い取るという方法が盛んに行われた。当時の日銀は政府の言いなりであったので、政府はいくらでも金を使うことが出来た。

 この結果、金の価値が下がり、インフレ傾向が強まったが、戦時中は統制経済だったため、余り顕在化することはなく、そのツケは終戦後にやってきた。物質不足を背景に、物価が数十倍に暴騰する悪性インフレが終戦直後の数年間、日本経済を苦しめた。この反省から、戦後、財政法で日銀による国債引き受けは禁止された。日銀の金融政策は、政府から独立して運営されることが再確認されたわけだが、安倍政権下で始まった異次元金融緩和では、金融法、財政法での規制は全く無視され続けている。

 黒田前日銀総裁は戦後の経済混乱の反省をすっかり忘れたのか、安倍政権にすっかり迎合し、異次元金融緩和の出口の目標を明確に定めることなく推し進めた。当初出口の目標は消費者物価指数が2%を達した時と説明していたが、いつの間にかそれに加え、物価上昇に見合う賃金上昇が見込まれる時と条件を変えていた。

 異次元金融緩和はデフレ脱却を狙った政策であり、日銀が何の勝算もなくお札を印刷して政府に渡すようなことが続けば、流通量が増え過ぎ、お札1枚で買えるモノの量が減る、すなわちインフレが起きることになるのは、経済学の基本であろう。

 現在の日本は諸物価の値上がりがマスコミを賑わしている。諸物価値上がりの原因は、ロシアのウクライナ侵攻による原材料価格の高騰、少子高齢化による人手不足や、異常円安、等と説明されておりそれらが複雑に絡み合っているのだろう、異次元金融緩和による金余りが背景にあるのは間違いないだろう。現時点では戦後におけるほどのハイパーインフレは生じていないが、既にインフレであることに間違いない。

 鈴木財務大臣は、日本経済に関し、輸入物価の上昇に端を発する物価高の継続は、国民生活を圧迫し、回復に伴う生活実感の改善を妨げているとし、11月2日に閣議決定された「デフレ完全脱却のための総合経済対策」は、「新しい資本主義」の実現に向けた取組を更に加速するためのものだと説明していた。
今尚、インフレ傾向が強まる昨今、デフレ脱却が必要だと主張するのは庶民の生活実感とかけ離れているが、これこそ岸田政権の内閣支持率が20%台を低迷する根本原因ではないかと確信する。政府のこのような考えに惑わされずに日銀は本来の役目を果たして貰いたいものだ。
2023.11.22(犬賀 大好ー963)


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