大阪万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」である。このテーマからは、将来を約束される子供達の元気な姿が思い浮かぶ。しかし、現在、世界はウクライナとロシア間の紛争やイスラエルとパレスチナ間の紛争の真っただ中にあり、毎日多くの子供達の命が失われているが、どのような形で解決するか全く出口が見えない。1年半後の万博開場時に運よく紛争が終結したとしても、明るい未来社会のデザインが出来ているとは到底思えない。
大阪万博の目玉の一つに巨大「リング」がある。「多様でありながら、ひとつ」という理念を表す大阪・関西万博のシンボルとする建築物だそうだ。高さ12メートル、内径約615メートル、1周2キロの巨大建築物で世界にはない日本の木造建築技術を披露するのだそうだ。世界各地の紛争を解決し、子供達に明るい未来を約束することが出来れば、350億円かかるという木製の「リング」も安いものだ。ウクライナやイスラエルにおける紛争は歴史的に根が深く、心の問題でもあり、空飛ぶ自動車で技術の進歩を誇ったところで、「いのち輝く未来社会のデザイン」のテーマも空々しく響くばかりだ。
大阪万博の開催費用は当初の予定の2倍近くに膨れ上がることが分かった。11月14日、大阪市議会の万博推進特別委員会が行われ、大阪万博の会場建設費について、大阪市民一人当たり約1万9000円の負担となることが分かったそうだ。大阪の万博推進局の担当者は、市の負担は2350億円の6分の1、約392億円で市の推計人口約277万人で割ると、1人当たり約1万4千円となる、と説明した。その上で、大阪市民には府民や国民としての負担も発生することから、府民負担分の約4千円、国民負担分の約600円が加わり、計約1万9千円となると述べたそうだ。
この金額を納得していないという多くの市民の声があるのに対し、協会副会長でもある横山市長は、2兆円の経済波及効果が見込まれるため決して損をしないとし、万博の効果や意義を広く発信していく、と理解を求めた。
海外パビリオン建設を巡っては、資材価格の高騰等で建設業者との契約が難航しているとの話は以前からあったが、メキシコとエストニアの2カ国が財政事情を理由に撤退を決めたそうだ。自見万博担当相は14日の記者会見で、2カ国以外に参加取り下げの意向を示している国・地域はない、と強調したが、パビリオンを自前で建設する予定から、低コストな方式への移行を決めた国もあり、自前で建設予定の国でも内部の装飾には金を掛けず、万博の魅力低下が懸念される。
今時点で、開催の中止を決定しても莫大な費用が発生するとのことだが、それでも強硬開催する場合の負担よりは少ないだろう。少なくとも、「いのち輝く未来社会のデザイン」が出来ない大阪万博は中止するのが最善の策だ。2023.11.18(犬賀 大好ー962)
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