日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

消費増税10%化は再三延期か

2017年09月16日 09時30分28秒 | 日々雑感
 昨年6月、安倍首相は消費税率10%化を2019年10月にまで延期すると表明した。これは2度目の延期であるため、2019年には確実に実行されると思っていた。しかし、一方では2度あることは3度あると冗談話をしていたら、冗談が本当になりそうだ。

 2017年4~6月期国内総生産(GDP)速報値の公表を受け、主要シンクタンク8社は18年度の実質GDP成長率予測を公表したが、このうち野村総合研究所と明治安田生命保険の2社は消費税増税を織り込まなかったのだそうだ。安倍晋三首相が悲願の憲法改正を実現するために、内閣支持率を落とす不人気な政策を打ちたくなく、三度見送るのではないかとの見方が市場で出始めたとのことである。

 ”消費税率を上げられない経済的な理由は、今何もないのだが…”と、ある政府関係者は語っているそうだ。素人目にもその通りだ。世間一般には認知されていないが、今現在アベノミクス景気と称される好景気であるそうだ。(筆者ブログ、アベノミクス景気は格差社会の現れ、本年6/28)。今上げないで、いつ上げる機会があるのだろうかと思う。あくまでも物価上昇率2%の達成を待つというのであろうか。

 2012年9月に総裁に返り咲いた安倍晋三首相は、15年9月に再選され、18年9月に2期目が満了する。党則改正を経て次期総裁選に勝利すれば、21年9月までの長期政権が視野に入る。憲法改正や外交課題に腰を据えて取り組みやすくなる。

 折りしも、北朝鮮の金正恩の暴走が止まらない。国内政治では不評の安倍政権も外交問題では好評なのか内閣支持率は持ち直しているようである。民進党の混乱に乗じて、今秋に総選挙実施の可能性が高まっているようで、そうなると消費税10%化の3度目の延期も言い出すに決まっている。

 2018年9月の総裁選に安倍首相が再選されるか分からないが、次期総裁の有力候補である岸田文雄政調会長と石破茂元幹事長はいづれも10%化に賛成だ。

 岸田氏は、社会保障の持続可能性や財政健全化は待ったなしの課題と指摘している。こうした観点に加え、2020年度の基礎的財政収支(PB)黒字化目標も見据え、消費税率の引き上げは確実に行うべきと語った。また、石破氏も今度も先送りするなら社会保障の具体像を示さなくてはならないと、延期には反対だ。最大野党の民進党前原代表も、来年10月に予定されている消費税率の引き上げに積極的だそうだ。次期自民党総裁に岸田氏、あるいは石破氏が就任した場合、これまでの主張を貫けるであろうか。

 消費税の10%化には紆余曲折があった。2010年6月に民主党の菅直人氏は総理大臣に就任し、同年7月に突然消費税増税を掲げ参議院選に臨み、見事敗退した。当時、ギリシャの財政危機が世間を騒がしており、危機の要因に税金の低さが指摘されていたため、菅氏はギリシャ危機のようなことにならないように消費税を増税するという判断したのであろう。

 2012年6月には、民主、自民、公明3党は、社会保障と税の一体改革関連法案をめぐり、当時5%の消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げる法案は三党合意となった。

 2012年12月、自民党が政権復帰し、安倍晋三首相が誕生し、2014年12月、安倍総理は消費税率の10%への引き上げを2015年10月から2017年4月に予定変更した。

 2015年の党首討論で、2017年4月の消費増税について、引き上げを先送りせざるを得ない状況だ、と民主党の岡田克也代表まで言い出した。増税延期を検討する安倍晋三首相より先に主張することで、夏の参院選に向けた論戦の主導権を握りたい考えであったが、安倍首相もこれ幸いと再延期を正式決定していたため、結果は民主党の惨敗であった。

 消費税10%化の1度目の延期、2度目の再延期、そして予想される3度目の再三延期もすべて選挙絡みである。消費税に限らず、所得税、相続税等、何でも増税は評判が悪く、強く主張すれば選挙では負ける覚悟がいる。増税を言い出さなければ選挙では勝つと、国民はすっかり馬鹿にされている。増税は無いに越したことはないが、問題先送りでは困る。2017.09.16(犬賀 大好-373)

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