日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

FIFAとIOCは同じ体質ではないか

2015年12月17日 08時41分38秒 | 日々雑感
 最近、国際サッカー連盟(FIFA)の不正問題がマスコミに頻繁に取り上げられている。12月3日にも米司法省が新たに収賄などの罪で16人を起訴したとの報道があった。このうち12人は各国サッカー協会の会長経験者(現職含む)である。このことからもFIFAには賄賂体質が蔓延していることが推し量れる。不正が横行し始めたのは、有料の衛星放送が普及し、サッカーの放映権料が高騰し始めた時期と重なるらしい。ちょっとした口利きや仲介が大きな金になると分かると、上層部が一斉に私腹を肥やしに走り出したのであろう。若い頃にスポーツ選手として競争に明け暮れしていたことが、すっかり身についていたに違いない。

 サッカーは世界的に人気スポーツであり、ワールドカップの開催地は多くの人を集め多大な経済効果をもたらす等、利権の塊と推察できる。金の好きな連中は、当然FIFAの関係者になりたがるであろう。FIFAの理事や役員の決め方がどうなっているのか分からないが、FIFAの日本支部である日本サッカー協会(JFA)は公益財団法人であるため、選抜法は一応公になっている。

 協会役員、理事になる為には、サッカーと関わりが深いと認められる立場で、サッカー界において実質的に活動し、貢献していることが条件となっている。従って、地域協会の職員や元選手などサッカー関係者で占められており、皆、昔からの知り合いであり、仲間意識が高い集団であろう。FIFAも同様な組織であろうと推察されるが、このような仲間内で固めた組織は往々にして世間の常識から逸脱するのは、よくあることである。

 さて、オリンピックはサッカーと同様に、4年に1回行われる世界規模のスポーツイベントであるが、オリンピックにおいても同様な問題が潜在していると考えるのが普通である。

 例えば、長野冬季オリンピックでは、その招致に関わるおよそ9000万円の使途不明金が発覚した。また、2016年開催予定の五輪招致には失敗したが、その招致運動で支出した費用の経理書類をめぐり、保存期間内であるにも拘わらず、8事業計約18億円分の文書を保存していなかった。これらを見ると、オリンピック招致のためには莫大な金が必要らしく、しかもその金の使い道も明らかに出来ない性質であるようだ。

 案の定、国際オリンピック委員会(IOC)は12月8日、スポーツ界で相次ぐ汚職事件や不正問題を受け、五輪運動を推進するガイドラインを確立することを決めたとのことだ。バッハ会長は「スポーツ界の信頼を取り戻すことが最優先事項だ」と述べ、国際陸連のディアク前会長が収賄容疑で捜査を受けている事態や国際サッカー連盟(FIFA)の拡大する汚職事件で懸念を表明し、倫理規定や組織運営の見直しにも着手する考えを示したようだ。やはり、IOCもFIFAと同様な問題を抱えているのだ。

 さて、FIFAは、権限が集中している理事会の再編など改革案をまとめたとのことである。しかし、大手のスポンサーは「現指導部の下では改革は出来ない」と批判を始めているらしい。古くからの仲間で固めた組織である限り、掛け声だけで終わる可能性は十分にある。(犬賀 大好-190)

中国経済の行き詰まり

2015年12月12日 09時26分48秒 | 日々雑感
 中国は、GDP世界2位となり、世界の経済に影響を及ぼすまでになった。中国独自の技術を作る基礎力や、イノベーションを生み出す総合力はまだまだであるが、世界の製造工場の立場は確立されたと言ってよいだろう。

 また、国際通貨基金(IMF)は11月30日の理事会で、加盟国にお金を融通するための準備通貨を構成する通貨に、来年10月から中国の人民元を加えることを正式に決めたとのことだ。これによりドル、ユーロ、ポンド、円と並ぶ「主要通貨」の仲間入りをすることになり、中国経済の存在感を見せ付けた。

 中国は色々な面で自信をつけてきている。このためにも習近平国家主席は、自身を過大評価した13億人の民を上手にまとめていかなくてはならない。対外経済戦略「一帯一路」は、新シルクロード経済圏構想とも呼ばれているが、ヨーロッパにまで経済圏を広げようとの意図を感じられる。しかし、中国を取り巻く国際環境は次第に厳しくなっている。

 今年8月、上海株式市場の暴落があったが、中国の指導者は、国全体が沈んだわけではないとし、素人の投資家は損をしたが、国家や機関投資家たちはあまり傷んでいない、と他人事である。また輸出減ショックも、内需拡大と新シルクロード経済圏への投資拡大、それにアフリカ進出で補うと、強気の姿勢を崩していない。

 案の定、インドネシアの高速鉄道建設でも、日本の優勢をひっくり返し、中国が受注した。インドネシア政府に財政負担をかけない等、破格の条件で受注したとのことであるが、中国国内での過剰生産設備を持て余した結果とも言えそうだ。インドネシアは目先の利益に飛びついたが、将来後悔することになるような気がする。

 先月16日閉幕した主要20カ国・地域(G20)首脳会議では、世界経済の減速の震源地は中国であるとし、過剰生産設備の解消や構造改革等、中国に対する注文が相次いだとのことだ。来年の議長国となる中国は、構造改革を主要議題とする方針のようだ。しかし、中国が本格的に構造改革に取り組めば、景気は一時的にマイナスとなり、世界経済は一段と減速になる懸念が生ずるとのことだ。しかし、構造改革を避けては通れないであろう。

 G20に引き続くアジア太平洋経済協力会議(APEC)閣僚会議で、鉄道や発電所など途上国のインフラ開発制度を先進国が評価・助言するしくみを日本が提案し、合意する見通しになったらしい(その後どうなったかは不明)。インフラの受注競争では日本勢が価格で競り負けることが多くなったため、長期的な運用コストや安全対策もきちんと評価されるようにし、開発する側、開発を受ける側、両国が共に得となるようにする狙いがある。

 以上のように、中国を取り巻く経済環境は厳しさを増している。更に、国内の経済格差も問題化している。習近平氏は、最近「脱貧困」に向け、地方のトップに実現を誓う書面に署名させたとのことだ。 貧困を解消し、庶民の暮らしを改善することは、社会主義の本質的な要求であるため、貧しい地域の産業育成や教育・医療の改善などに力を注ぐらしい。社会主義は資本主義に比べて、経済的な競争力は低い。これまでのように、猪突猛進型の高度経済発展は行き詰まったということであろう。(犬賀 大好-189)

南シナ海における米中のせめぎ合い

2015年12月09日 09時20分10秒 | 日々雑感
 米国はTPPで、中国を除く太平洋を取り巻く国との間で経済圏を築こうとしている。一方、中国は、シルクロード経済圏構想で、ヨーロッパ諸国との結びつきを強くしようとしている。このためには、南シナ海は重要な海上交通路となるため、ここに軍事拠点を築こうとしている。

 現在、米国は絶対的な軍事力で世界の海を制している。米政府は海洋法上の権益を守るため、1979年から他国の過剰な主張を牽制する外交政策をとっている。外交ルートで聞き入れないと、軍艦や軍用機を派遣して警告し、是正させる方針を採っている。
 10月27日、米国は「航行の自由作戦」に踏み切った。米国の軍艦が、中国が埋め立てたスビ礁の「領海」と主張する海域に進入し、中国の主張を認めないとする断固たる意志を世界に示したわけだ。

 これに対し、米上院軍事委員長であるジョン・マケイン氏は、オバマ大統領がようやく重い腰を上げたと評価しながらも、対応が不十分であると不満の意を唱えた。すなわち、どこでも自由に航行するのが普通なのに、この作戦行動を特別なイベントに仕立ててしまった、と。また、日本の国会が集団的自衛権を容認したことを歓迎するとし、日本がこの海域でより重要な役割を果たすことが出来るようになったと確信すると表明したとのことだ。

 安保保障関連法の一つである「重要影響事態法」は、南シナ海での事態発生も想定している。今後、南シナ海で武力紛争が起きた場合、「日本の平和と安全に重要な影響を与える事態」と政府が認定すれば、自衛隊が米軍などに後方支援が出来る。この認定基準が極めて定性的であるため、時の首相が感情的に決める恐れがある。

 中国は海南島に原子力潜水艦の基地を持つ。これを有効的に利用するために、南シナ海の人工島に航空基地を作り、米軍の哨戒活動を妨害することも中国の目的だそうだ。一方、日本の潜水艦探知能力は世界トップクラスであるとのことだ。米艦艇の護衛も出来るようになれば、米軍と一体化した作戦で、存在を誇示でき、日本も先進国の仲間入りが出来たと自慢できるわけだ。

 力には力で対抗する論理は単純明快で分かりやすく一見説得力がある。しかし、米中のせめぎ合いが深まれば、米国の拠点である日本は、いや応なく渦中に巻き込まれる。菅官房長官は「航行の自由作戦に参加する予定は無い」と述べたが、南シナ海での自衛隊の活動について「今後検討していくべき課題だ」と、将来、警戒監視活動などに携わる可能性を示唆した。

 日本総合研究所の田中均氏は、中国が独自の覇権を持つことに反対するとしながらも、中国が我々と同じ世界秩序の中に入って、建設的な役割を果たしてもらうことが、日本にとっても世界にとっても望ましいと表明した。そこで、様々なチャンネルを通じて国際社会の世論を形成し、中国とは常に対話し、相手が日本の意見を聞くという状況を作らなければならず、様々な分野で協力を深めていくことが、日本の役割であると主張している。話し合いは、飴と鞭を巧みに使い分ける外交手腕がなくてはならず、兎も角時間がかかるが、この道しかないだろう。

 力には力で対抗するとの軍拡競争では、日本は中国にかなわない。何しろ相手は核兵器を有し、人口は日本の10倍だ。対話を通して解決するより道は無い。(犬賀 大好-188)

東京五輪基本方針から想う

2015年12月05日 09時37分24秒 | 日々雑感
 東京オリンピックのエンブレムの一般公募の受付が始まった(11月24日)。初日には、5時までに377件の応募があったそうだ。行く行くは一万件位が応募するとの見込みのようである。これほど国民の関心を集めているのは,佐野 研二郎氏のお蔭であろう。

 これに先立ち17日には、東京オリンピックの基本方針案が17日の自民党の会合で大筋了承された。その中での{基本的な考え方}は、①国民総参加による「夢と希望を分かち合う大会」の実現、②次世代に誇る遺産の創出と世界への発信、だそうだ。この後、③関係団体の緊密な連携、④明確なガバナンスと施策の効率的・効果的な実行で費用を抑制、と続くが、③、④は理念や目的ではなく、実行上の心構えであろう。基本方針案がこんな出来では先が思いやられるが、正式な基本方針はもっとすっきりものになっているであろう。

 さて、①の“夢と希望を国民全員で分かち合おう“との言葉は非常に美しいが、一億総参加社会と同様に具体的にどうするかが今後問われる。②の遺産の創出は、先に否定された膨大な予算で立派な国立競技場建設を思い出させるが、何を考えているのだろうか。

 他方、エンブレム募集要項における大会ビジョンには、・「すべての人が自己ベストを目指し」、・「一人ひとりが互いを認め合い」、・「そして、未来につなげよう」を3つの基本コンセプトとするとしているが、先の基本方針との関連性が感じられない。

 本来は政府の基本方針が先にあり、より具体的な形で大会ビジョンが出されるのが筋であろうが、時系列的には逆になってしまった。それにしても統一感がない。遠藤利明オリンピック担当相は、オリンピックに関わる総責任者の役目を託されたのであろうが、何をしているのか。心配していた通り、縦割り組織の壁は厚く、総責任者とは単なるお飾りに過ぎないのであろうか。

 また、先の基本方針案に{大会を通じた新しい日本の創造}として、被災地が復興した姿や日本の文化芸術、おもてなしの心、科学技術を世界にアピールを掲げているが、統一感がなく、総花的である。ここにおいても、色々な官庁の主張が顔を覗かせ、組織の顔を立てるための苦肉の作文とも伺い知れる。

 オリンピックエンブレムでは、一万件以上の応募を期待しているとのことである。前述のように東京オリンピックの理念は今一すっきりしないため、選考に混乱をきたすかも知れないが、逆に優れたエンブレムの登場により、理念もすっきりするかもしれない。選考委員長は、東京藝術大学 学長の宮田 亮平氏とのことである。組織のしがらみにとらわれずに、国民の大半が感服するデザインを選択されることを願う。(犬賀 大好-187)

日本の原発”もんじゅ”の運命

2015年12月03日 08時44分12秒 | 日々雑感
 原子力委員会は11月13日、高速増殖原型炉「もんじゅ」の運営主体を日本原子力研究開発機構から別の組織に代えるよう、所管する馳浩文部科学相に勧告した。もんじゅはウランとプルトニウムを燃料に、消費した以上のプルトニウムを生み出す高速増殖の原型炉であり、資源の少ない日本にとって夢の原子炉として、かってもてはやされた。

 もんじゅでは、原子炉の周りを、通常の原発で使用される水に代えてナトリウムを循環させて、熱を取り出す。しかし、ナトリウムは空気や水に反応し易く、取り扱いが非常に難しい。このため、かっては米国や英国でも手がけていたが現在は中止している。

 もんじゅは、1995年12月、ナトリウム漏れ事故を起こしてしまった。以来、再開の目途は立たず、お荷物と化した。ナトリウムは安全のため常時原子炉と配管の中を循環し続けなければならず、維持するのに一日約5千万円、年間約200億円要するとのことだ。もんじゅには、これまでに建設と維持費管理に約1兆円投じられたそうで、今なお、200億円/年が、無駄に流れているのだ。

 もんじゅの開発継続は必要だと主張する人はいる。その理由は、資源の少ない日本にとって将来必ず必要になる方式であるからだとのことである。夢のエネルギー源としては、核融合型の原発も長年研究されているが、未だ日の目を見ていない。しかし、世界的な規模で研究は続行されている。核融合が世界的な研究対象であるのに、高速増殖炉は日本だけである。

 研究者は、僅かな可能性があれば、あくまで追求したくなるのは宿命である。このエネルギー分野でも、iPS細胞のように突然画期的な発明・発見があるかもしれないと夢見るのだろう。しかし、もんじゅは実用化の技術である。画期的な発明は考えられない。研究は開始するのは容易いが、中止するのは困難であるとの宿命を感ずる。

 原子力委員会の今回の運営主体を変更しろとの勧告に対し、高速増殖に関する技術を有するのは日本原子力研究開発機構しかなく、受け皿は他にないそうだ。すなわち、この勧告は実質的には中止せよとの意味であるとのことであるそうだ。正に日本的な婉曲的表現である。国の核燃料サイクル政策の中核だったもんじゅの廃炉が現実味を帯びてきた。もんじゅを中止すれば、国の核燃料サイクル政策の全面的な見直しも必要になる。この政策には使用済み核燃料の処分問題も絡むため重大な政策変更だ。

 見通しのないまま走り出した技術の頓挫である。誰が責任を負うべきか。学者は蛸壺に入り込んで周りを見ずに一生懸命穴を掘るばかりである。監督すべき官僚は、学者に責任を負わせ独自の判断を避け、前例踏襲主義である。問題を先延ばしにしてきたつけをいよいよ払わなくてならない段階に来た。(犬賀 大好-186)