日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

中国はコロナウイルス騒動を教訓として生かせるか

2020年04月11日 09時32分08秒 | 日々雑感
 中国は、SARSコロナウイルス感染症に引き続きまたしても新型コロナウイルスの発生元になった。SARSウイルスは2002年11月に、中国南部の広東省で肺炎の患者が報告されたのに端を発し、東アジアやカナダを中心に感染拡大し、2003年7月に終息宣言が出されるまで、32の地域と国にわたり8,000人を超える症例が報告された。

 現在世界中に猛威を振るう新型コロナウイルスは150万人を超える(9日現在)感染者を出しているが、中国での対策には先のSARSの教訓が生かされているのであろうか。

 新型コロナウイルスが世界的に広がった原因に関し、中国政府の専門家チームトップの鍾南山氏は3月27日、広東省広州市で記者会見し、感染拡大を招いた要因として”中国疾病予防コントロールセンター(CCDC)”の地位の低さを指摘した。

 CCDCは、米国の疾病管理予防センター(CDC)を見習ってSARS発生の年に創設されたようだが、恐らくSARSの教訓が生かされたのであろう。しかし、米国のCDCなど海外の感染症対策部門のように直接対外発信できる権限が無く、中央政府の許可がすべてにおいて必要とされるようだ。

 また鍾氏は12月初めか1月初めに厳格な拡大防止措置を取っていたら、患者は大幅に減っていたと、初動の遅れが感染拡大につながったとの認識を示した。この発言は、初動の遅れは政府にあるとの指摘で、政府に対する批判であり、発言が公にされたこと自体が驚きだ。

 SARS感染症の結果CCDCが創設されたが、単なる研究部門との位置づけで主たる権限は中央政府が握っているようだ。政府は初動の遅れを認めておらず、対外発表の権限までは絶対譲らないだろう。

 さて、発生源に関し当初は武漢の海鮮市場で売られていたコウモリ説が有力だった。SARSウイルスでもコウモリをはじめ、ハクビシンやタヌキ、ネズミなどの動物が媒介する可能性も指摘されているが、今もって確定的な結論は出ておらず、また有効性が確実とされる治療法もいまだ確立されていないとのことだ。

 CCDCが研究面で成果を上げられ無いのは、ウイルスそのものが研究対象として難しいのか、予算や人員の問題か不明であるが、政府はCCDCの将来をどのように扱うであろうか。

 さてSARSウイルスにしても、今回のウイルスにしても動物起源説が払拭されておらず、一方では市場ではこれらの動物が相変わらず扱われており、将来同じような感染症の発生の懸念が残る。

 一方、海鮮市場のすぐ近くにあるCCDCからウイルスが流出した可能性を香港メディアが報じたそうだ。記事によるとそのセンターでは実験用に600匹以上のコウモリを飼育しており、その研究員の1人がコウモリに攻撃され、ウイルスに感染したのではとの論文が発表されたという。

 広東省を地元とするCCDCでは野生動物の感染症を研究対象とすることは容易に推測され先の噂の信憑性は高くなるが、現在削除されているそうで単なる噂かもしれない。しかし、逆に真実であるがゆえに政府の圧力で伏せられたと勘繰りたくなる程、中国の報道規制は強い印象である。

 新型コロナウイルス騒動からの脱却を図るために、一刻も早い感染源の解明と抜本的な治療薬の開発が必要であるが、中国は全世界から知恵を借りるべく、これまでに得られている研究情報を公開すべきであるが。
2020.04.11(犬賀 大好-590)

今こそ中国政府は情報公開を積極的にすべきだが

2020年04月08日 09時31分54秒 | 日々雑感
 中国湖北省の政府は先月24日、感染拡大を封じ込めるため1月23日から実施していた同省武漢市の封鎖措置を4月8日に解除すると発表した。28日には、地下鉄が一部で再開したり、路線バスやタクシーも運行を再開し、銀行なども次々と営業を始めているそうだ。

 3月19日、中国国家衛生健康委員会は中国国内の新型肺炎新規感染者の最新データを発表した。それによると、武漢市・湖北省を含めて18日に中国国内で発生した新規感染例はゼロであった。武漢では新しい感染者の確認がない状態が5日続いたと発表されていたが、24日に1人の感染が確認されたと言うことだが、これが本当であれば封鎖対策が成功したことになろう。

 さて習近平主席が3月10日に武漢を訪れ、“武漢の安全”を身をもってアピールしたのを契機として、中国各省は都市封鎖解除の準備に入っていた。中国各省は武漢に派遣していた医療チームの撤退を3月17日から開始し、3月20日までに1万2000人の医療応援チームが武漢から撤退し、その撤退の様子を華々しく放映している。

 新型コロナウイルスは武漢から発生したが、習主席の的確な指導により無事乗り切ったとの筋書きをアピールしている。実体は兎も角、習主席の思惑通りの筋書きで進んでいる。

 世界はウイルスの蔓延で感染者数が10万人を超える国が続出しているが、中国の公式発表では中国の感染者の数は8万人止まりで増えておらず、日本のメディアもこの値を信じ、感染者の数が米国等で中国を上回ったと報じている。

 中国での感染者の定義はPCR検査で陽性と判定されても症状が出ていない人は感染者に含めないとのことであり、国際基準から逸脱しているのが問題であるが、そこを日本のメディアは問題にしていない。

 中国の判定基準は無症状者は他人に感染させる恐れがないからとの理屈であったが、広東省の疾病予防コントロールセンターが3月19日に米国の医学雑誌に、新型コロナ肺炎患者は発病後間もなく大量のウイルスを放出するようになるが、ある無症状感染者のウイルス放出量は発病者とほとんど変わりがなかった、と政府に都合の悪い報告をしている。

 また、香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは先月13日、昨年11月17日時点には中国で新型コロナウイルスの感染が起きていたと報じた。政府の未公開資料に基づくと伝えているが、事実であれば、中国当局が従来発表してきた12月8日より3週間ほど早かったことになり、初動体制の遅れが一層顕著となる。

 このように中国政府に都合の悪い情報も続々報道されるが、中国政府の締め付けが弱まっているのだろうか。しかし、中国は3月18日、米紙ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、ウォールストリート・ジャーナルの米国人の記者らに対し、事実上の国外退去を命じた。

 今回の措置は、米国領土で中国国営メディアへの勤務を認められる中国人の数を減らすとの米政府の決定に対する報復措置と説明しているが、本当は国内事情を余り知られたくないのが本音であろう。2020.04.08(犬賀 大好ー589)

新型コロナウイルスのPCR検査体制のありかた

2020年04月04日 09時19分35秒 | 日々雑感
 新型コロナウイルスへの感染を確認するためのPCR検査を巡って日本の検査体制の是非が議論されている。すなわち中国、韓国を始めとしてヨーロッパ各国は徹底した検査を行っているが、日本では発熱等の症状がかなり進んだ段階で感染を最終確認する手段として使用している。

 日本の検査に至る具体的手順は、医者や患者が保健所等に設けられている”帰国者・接触者相談センター”に相談し、センターが検査の必要性が判断された場合に実施されることになっている。この判断基準が厳しいためかPCR検査数が極めて少なく、このため感染者数の実体が把握されていない等の批判が後を絶たない。

 2月26日衆議院予算委員会で加藤厚生労働大臣は現実の声をしっかりと聞き、一つ一つ対応していきたいと述べ、検査体制の拡充に努める考えを示した。

 また、3月始めには、保険適用して保健所の了解がなくても医師の判断で民間の医療機関を使えるようにし、更に検査能力は3月始めには6200件、3月末には民間も含めて7000を超える能力まで拡大できる見通しを持っている、と述べた。

 さて厚労省のホームページの感染に関する国内事例の集計では、PCR検査実施人数は3月28日26105人、3月29日26401人だったそうだ。この数値は累計であるので、土、日の集計であると言え7000件の検査能力を充分生かしているとは到底思えない。

 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が、今年3 月 19 日に報告した「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」には次のように記されている。

 PCR検査法は優れた検査ではありますが、万能ではなく感染していても陽性と出ない例もあります。したがって、PCR検査のみならず、臨床症状もあわせて判断する必要があります。

 また、自衛隊中央病院による”医療従事者向け新型コロナウイルス感染症について”のネット情報によれば、次のように記されている。
・PCR検査陽性者の8割は無症状であるか、症状は軽度であった。
・無症状あるい軽症の陽性者の約半数にCT画像上に異常な陰影が認められた。
・新型コロナウイルスによる新型肺炎の診断を行う上でCTは有効であると考えられる。

 この報告の中ではPCR検査が陰性であっても新型肺炎に罹患していると考えられるべき症例があることや、複数回PCR検査を行った結果、陽性になったり陰性になったりする症例の経験も述べられている。

 このような情報を耳にすると、どうも政府はPCR検査を金の無駄使いと思っているようだ。先述の厚労省のホームページの集計でもPCR検査で判明した陽性者数は1647人で検査実施者のわずか6.2%だ。しかもこの値は感染者だとかなり疑わしい人に限って実施した結果だ。希望者全員に実施するとこの割合は更に下がるであろう。

 これまで、PCR検査が行われていなかったのは爆発的に感染者数が多くなった場合に備えてだと思っていたが、どうもそうではないらしい。PCR検査は信頼度が低く、コストパーフォーマンスの低い検査法と思っているようだ。韓国は徹底した検査により医療崩壊を防いでいるとのことだ。検査体制に関する加藤厚労大臣の説明が今もってよく分からないのは、本人もよく分かっていないのではないか。2020.04.04(犬賀 大好-588)

東京五輪は1年延期より中止の方が適切

2020年04月01日 09時40分15秒 | 日々雑感
 東京オリンピック・パラリンピックは新型コロナウイルスの影響をもろに食らって予定通りの開催が出来なくなった。日本側の一番恐れるのは中止であり、これを避けるために各方面の方々の努力があったようである。

 中止の場合に最大の損失を被るのは日本であり特に東京であろう。安倍首相は東京五輪を人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証しとして完全な形で実施したいと、先月16日夜、史上初のテレビ電話による先進7カ国(G7)首脳会議で訴えたそうだ。また24日夜には、安倍首相と国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が電話で協議しほぼ1年延期することで合意したそうだ。

 東京五輪はその名前に記されるように主催は東京都であり総責任者は小池都知事である。開催に関し首相が前面に出るのは出しゃばり感もするが、延期や中止が国に与える影響もそれほど大きいのだ。

 兎も角これらの努力が功を奏し、IOCは24日には臨時の理事会で延期を承認したとのことだ。IOCは4週間かけて問題点の整理と対応策を検討し開催時期を決定するとしていたが、早くも30日には来年8月23日に開催すると決定した。今年の予定時期とほとんど同じであり、猛暑の真っただ中の開催である。口では選手ファーストと言うが最大のスポンサーである米国の放送局の意向が強く働いたと思われる。

 1年延期でも経済的な損失は大きいが中止の場合よりはマシなようだ。しかし1年後に無事開催出来る保証はない。来年の春ごろにはこのウイルス騒ぎも無事収まっているとの条件が必要である。このウイルスの特性には未知の部分が多く将来の予測は極めて困難は状況だ。しかし、収束のためには少なくとも現時点では無い特効薬やワクチンが準備されることであり、専門家は少なくとも今後1年必要とのことだ。してみると来年の今頃完備されて居れば良いがそうでないと更に延期する必要が生じ、経済的な損失は更に大きくなる。

 希望通りワクチンや特効薬が開発されて先進国における蔓延が終焉したとしても、開発途上国にまで行き届いているか懸念される。ほとんどの国が開発途上国である南アメリカやアフリカは食糧事情が悪く、衛生環境も悪い。検査施設、医療設備や医師が不足している場所がほとんどだ。

 紛争などの影響で、アフリカには1800万人以上の難民や国内避難民がいるようだが、難民キャンプのように人が密集しているところで感染者が出れば、爆発的に広がることは容易に想像できる。このような状態が発生した場合、1年位で収まるとは信じられない。この場合更に1年延期されるより、中止となるのではなかろうか。

 新型コロナウイルスの特性は十分分かっていない。今後1年程度で終焉するためには、幸運を願うしかない。例えば、通常の風邪ウイルスのように暑さに弱い特性は無いとの認識が一般的のようだが、本当はある温度以上にはからっきし弱く熱帯や亜熱帯地方では流行しないとか。

 また、普段から不衛生な環境で暮らしている人々は疾病に対する抵抗力が強い側面もあるようで、花粉症やアルツハイマー症が少ないらしい。この特性が新型コロナウイルスに対しても効果あるとなれば、全世界的に1年以内に収束することになろう。こんな思いがけない幸運が無ければ来年の開催も危ぶまれる。2020.04.01(犬賀 大好-587)