日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

新型コロナウイルスの重症者の数が何故減っているのか

2020年08月12日 09時19分23秒 | 日々雑感
 新型コロナウイルスの東京都の新規患者数は、第1波のど真ん中4月末頃200人程度であったが、第2波の8月始めでは400人程度と倍増している。ところが重症者数は当時100人前後発生していたが、現在20人程度と1/5である。 

 第1波の時に比べて感染者が大幅に増えているのは、若者の外出する機会が増えて居るためだそうで、今後若者を介して高齢者の感染者が、従って重症者が増すだろうとの予測である。7月23日からの4連休の結果がそろそろ現れる時期であるが、新規感染者数や重傷者の数は思ったほどが増えていないのは、GoToトラベルの特典が東京から外された為であろうか。

 第1波の時のPCR検査は重症者に限られていたが、その後検査数を増やしたため新規感染者数が増えた理由はよく分かるが、重傷者の数が少なくなっている理由は、PCR検査により重症になりそうな患者をいち早く発見し、適切な処理をした結果であろうと推察する。

 また、新型コロナウイルスもインフルエンザと似て、夏には静まっている可能性があるかも知れないと語る識者もいる。現在の感染者の数の激増は夏で無ければもっと爆発的に増えたと言う事か。

 一方、ウイルスの毒性が弱くなったのではないかという声も上がっている。イタリアの医者が、少し前までは重症肺炎で呼吸器が必要な患者が多かったのに対して、今では新型コロナウイルスの感染者は軽症であることが多く、3月から4月あたりのウイルスと今のウイルスでは明らかに遺伝子が変異していると述べているそうだ。

 これについて新型コロナウイルスの治療の中心的な役割を担う国立国際医療研究センターの忽那医師は、”海外の状況を見ても、ウイルスが弱毒化したという科学的な根拠は今のところない。また、実際に患者を診ていてもそうした実感はない”、と指摘しているそうで、本当の所は目下不明だ。

 以前ウイルスの一般的な特性として、流行の拡大と共に弱毒化する傾向にあると何かの資料で読んだ記憶がある。毒性の強いウイルスは宿主を早期に死に追いやるため、自身が長生き出来ないが、余り害を与えなければ、長生き出来るとともに仲間を増やすチャンスも増えるからだそうだ。この説明は素人にも分かり易くもっともらしい説明であるが、今後の研究を待たなくてはならない。

 感染者数が増えても重症者の数が少なくなっている理由は不明であるが、もし本当であれば新型コロナウイルスは、近い将来インフルエンザと同様に流行性感冒の一つになっていくような気持にもなる。

 突如発生して瞬く間に広がり、数カ月のうちに消えていく、咳と高熱の流行性疾患の記録は紀元前らあったと言われ、我が国でも平安時代の書物に書かれ、江戸時代にも悪性の風邪の流行が見られたという。このような風邪がワクチンも無い時代にどのように終焉したのか不思議だ。

 60年も前にウイルスが分離され、ウイルスの研究が進められているにもかかわらず、いまだにインフルエンザは世界中いたるところで流行が見られる。ウイルスにも種の保存の原理が働くのであろうか、まるでウイルスに意志があるように、手を替え品を替えてやって来る。2020.08.12(犬賀 大好-625)

老後資金2000万円問題は解消されたのか

2020年08月08日 09時15分35秒 | 日々雑感
 6月17日閉幕した第201通常国会では年金問題はほとんど話題とならなかった。新型コロナウイルス騒動に紛れたせいもあるのかも知れないが、この問題は根が深く八方塞りで与野党とも手が付けられない状態に陥ってしまったのではないだろうか。

 事の始まりは、昨年6月に金融庁の報告書”高齢社会における資産形成・管理”が公表されたことであった。この資料の試算によると老後に必要な資金は2000万円だと言うのだから、世間が大騒ぎをしたのだった。政府は、この報告書が年金の将来に対し不安を煽る誤解を招くとして、報告書を無視する作戦に出た。理由は2004年に成立した”100年安心プラン”は老後を年金だけで安心して暮らせるとの謳い文句であったが、それを否定した報告書であったからだ。

 100年安心プランは、当時崩壊すると言われてきた年金を、100年間持続可能な年金改革として、年金財政の収支バランスをマクロ経済スライドと呼ばれる仕組みを取り入れて年金が支給され続ける年金システムであった。しかし、少子高齢化が格段に進んだ上、年金不払いが3割以上になり、破綻の崖っぷちにあることが明らかとなった。麻生財務相もこの状況を充分認識しており、当初先の報告書が良く纏められていると評価していたが、世間の非難を浴びると一転し無視作戦に出たのだ。

 厚生労働省の発表によると、2018年度の国民年金保険料の納付率は68.1%で、未納率は約32%であったそうだが、この原因は単に納付金が無いと言うより、将来国の年金を当てに出来ないと見限った人が多くなったからであろう。テレビのCMでも個人年金積立を推奨しており、麻生氏もこの認識は世の中の常識とでも思ったのであろう。

 実際、崖っぷちの年金システムを維持するために様々な苦労をしているが、抜本的解決にはなっていない。例えば国民年金も厚生年金もいずれも原則的には満65歳から支給が開始されるが、満60歳から受け取りたい場合は受給予定額の30%減額となり、満70歳からと遅めに受け取る場合は受給予定額の30%増額した額を受け取ることができるようにした。これは当面の支払額を少なくするような仕組みであろうが、当面の逃げ切り策でしかない。

 現在、国家予算の歳出の1/3は社会保障費、一方国の歳入の1/3は国債発行による借金となっている。しかも、国の借金の累積は既に1千兆円を越え、更に今年も新型コロナウイルス騒動、九州集中豪雨災害、東京五輪延期等で出費は加速的に膨張している。

 国は年金の財源を増やそうとで、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を作り、年金の積立金を管理して運用している。7月4日、コロナ騒動のあおりを受けて年金資金運用は8.2兆円の赤字であったが、これまでの累積では黒字だから問題無しとの気休めの釈明であった。GPIFの日本の株式に対する莫大な投資は、日本の社会主義国家化を思わせ、かっての社会主義国家の没落を思い出させる。

 さて今国会での公的年金に関する主な改正事項は、国民年金保険料の申請全額免除基準に未婚のひとり親や寡夫を追加する、等であり、年金システム全体に影響する大きな変更点はない。これは現在の年金システムが安定維持されているからではなく、八方塞で身動きが取れない状態に陥っているためでは無いかと危惧する。2020.08.08(犬賀 大好-624)

新型コロナウイルスの特異な性質

2020年08月05日 09時15分44秒 | 日々雑感
 新型コロナウイルスは同じコロナウイルス仲間のSARSやMARSと病状では非常に似ているが、病気の発症前から感染力がある点で大いに異なるらしいことが分かってきた。すなわち、新型コロナウイルスは寄生した細胞に害を与えることなく増殖する能力があるらしいのだ。

 SARSやMARS、あるいはインフルエンザの感染者は病状が出てからウイルスを体外にばらまくので、病状が出てから隔離し治療に当たれば拡散することが少なかったが、新型コロナウイルスではそれが出来ないのが、現在世界中に蔓延しているのが主原因だろう。

 ウイルスは単独では増殖できず、動物の細胞に寄生して初めて増殖できることは良く知られている。そして、その増殖中に細胞に何らかの影響を与えてしまうのが病気の原因だ。新型コロナウイルスの場合、感染しても無症状や軽症者が多いと言う事実は、増殖中に細胞に与える影響が無いのか、少ないのだ。元気のある若者にはその影響が少なく、高齢者や持病のある者には影響が大きいのは、細胞に与える影響の違いであろう。

 新型コロナウイルスの特性は未だ未知の部分が多く免疫学的な状況証拠のみで、学術的に証明はされておらず今後の研究を待たなくてはならない。兎も角免疫力、基礎体力や栄養状態が関係していることは間違いないだろうが、最近では男女の差、血液型の差、人種の差等まで示唆されている。

 中国疾病対策センターによると、男女のコロナ感染者数はほぼ同数だが、死者の数は男性が女性を上回っているのだそうだ。MERSに感染した男性は約32パーセントが死亡、比べて女性の場合は25.8パーセントで、1918年にインフルエンザが大流行した際も、若年成人男性の方が同年代の女性よりも死亡率が高かったようで、性差は新型コロナウイルス特有では無さそうだ。

 米ジョンズ・ホプキンス大学のウイルス感染症研究者も、新型コロナウイルスでは、男性であることは高齢であることと同じくらいリスクが高いと話しているそうだ。男性の方が女性より、ウイルス疾患に弱いことは確からしいが、基礎体力が関係していないとは不思議だ。

 新型コロナウイルスの死亡率に関し、ヨーロッパ系の人々より日本を含む東アジア系の人々が極端に低い事実があり、その理由がよく分からずファクターXと呼ばれているが、生活習慣ばかりでなく恐らく血液型や、人種の差も関係しているのであろうか。

 さて、東京に限らず日本中の新規感染者が激増しているが、8月1日現在重症者の数が予想ほど増えていないことがせめてもの救いである。しかし、激増の中身がこれまで若者が主であったが、次第に高年齢層に移り、高齢者に広がる気配があり、それに伴い重症患者が増えることが確実との識者の声も聞かれる。

 一方、新型コロナウイルスが弱毒化してきているという話も出てきている。イタリアの医者が、少し前までは重症肺炎の患者が多かったのに対して、今では軽症であることが多いと言っており、3月から4月あたりのウイルスと今のウイルスでは明らかに変異しているという実感があるのだそうだ。

 以前ウイルスの一般的は特性として流行の拡大と共に弱毒化する傾向にあると何かの資料で読んだ記憶がある。変異の為か治療法の進歩か人間の対応力の変化か分からないが、人間にとって都合の良い方向への変化であればワクチンの開発を待たずに克服できるかも知れない。
2020.08.05(犬賀 大好-623)

新型コロナウイルス対策の方向転換が必要

2020年08月01日 09時35分59秒 | 日々雑感
 新型コロナウイルス(正式名をCOVID-19と呼ぶようだ)の感染拡大が一向に収まらない。同じコロナウイルスの仲間であるSARSは発生から1年足らずで終息宣言が出され、現在終息宣言が出されていないMERSも感染拡大は余り心配されていない。

 SARSやMERSのコロナウイルスのワクチンが開発されていないのに、感染拡大が抑え込まれているのは何故か。SARSの再生産数は2~5であり患者1人が最大5人に感染させるが、同じコロナウイルスであるCOVID-19は1.4~2.5と暫定的に見積もられており、今のところSARSよりは広がりにくいと考えられているのに、現状果てしなく拡大していく。感染力は学術的には再生産数で表現されるが、その数値は結果を表しているだけで何故そうなるのかを説明していないのが問題だ。

 さて、SARSは2002 年の11月に中国の広東省で始めて確認され、インド以東のアジアやカナダに広がったが、翌年7月に1年足らずで終息宣言された。一方MERSは2012年にアラビア半島で確認され、これらの国々を中心にヨーロッパ地域などにも感染が拡大し、現在も患者が断続的に報告されているようだが、日本にはほとんど影響を与えていないし、世界的な広がりも見せていない。

 症状は、両者ともに悪寒、頭 痛、全身倦怠感、筋肉痛などで、COVID-19の場合とほぼ同じだ。潜伏期間はSARSの場合、2~7 日程度、MERSの場合、2~14日程度と言われており、この点でも大差ない。これらの特性は同じ遺伝子を有するコロナウイルスの引き起こす疫病だと理解すれば納得できる。

 感染経路もいずれも呼吸器系の疾患であるので鼻や口からの感染であり、接触感染、飛沫感染、や空気感染等が考えられているが、同じコロナウイルスであるからには大きな差があるようには思えない。

 しかし、感染拡大の大きな要因は、SARSやMERSでは病状がある程度進行した患者からの感染が主であるのに対し、COVID-19では症状が現れる直前が感染力ピークらしいと言うことだ。発症の少なくとも2日前から感染性が非常に高い状態にあることを示す中国の論文があり、この論文だけでは信ずるに今一であるが、日本でも感染力は発症2、3日前から起こり、感染力のピークは発症後0.7日と推測されることが確認されているとのことだ。

 WHOの関係者は、SARSやMERSのウイルスと異なり、COVID-19は上気道に付着し易く、ウイルスが上気道に存在することで、具合が悪くなり始めた段階で体内に潜むウイルス量がピークに達する可能性がある、と述べたそうだが、これが意味するところは素人にはよく理解出来ない。

 ウイルスは自力では増殖できず、人間を含む動物の細胞の中でしか増殖できないことは知られている。病気はウイルスが細胞の中に入って悪さをすることから起こるのであろうから、このCOVID-19ウイルスは細胞に害を与えることなく増殖する能力があるとのことか。そうだとすると、無症状・軽症の感染者が全体の8割程度いると言われているが、どうも真実と思えてくる。

 そうであるならば感染予防対策に力を入れるより、感染者の早期発見と重症となりそうな者の素早い見分け、高齢者や基礎疾患のある人の治療施設の確保、症状の急変に備える体制作り等が、最重要と思われる。2020.08.01(犬賀 大好-622)