新型コロナウイルスの東京都の新規患者数は、第1波のど真ん中4月末頃200人程度であったが、第2波の8月始めでは400人程度と倍増している。ところが重症者数は当時100人前後発生していたが、現在20人程度と1/5である。
第1波の時に比べて感染者が大幅に増えているのは、若者の外出する機会が増えて居るためだそうで、今後若者を介して高齢者の感染者が、従って重症者が増すだろうとの予測である。7月23日からの4連休の結果がそろそろ現れる時期であるが、新規感染者数や重傷者の数は思ったほどが増えていないのは、GoToトラベルの特典が東京から外された為であろうか。
第1波の時のPCR検査は重症者に限られていたが、その後検査数を増やしたため新規感染者数が増えた理由はよく分かるが、重傷者の数が少なくなっている理由は、PCR検査により重症になりそうな患者をいち早く発見し、適切な処理をした結果であろうと推察する。
また、新型コロナウイルスもインフルエンザと似て、夏には静まっている可能性があるかも知れないと語る識者もいる。現在の感染者の数の激増は夏で無ければもっと爆発的に増えたと言う事か。
一方、ウイルスの毒性が弱くなったのではないかという声も上がっている。イタリアの医者が、少し前までは重症肺炎で呼吸器が必要な患者が多かったのに対して、今では新型コロナウイルスの感染者は軽症であることが多く、3月から4月あたりのウイルスと今のウイルスでは明らかに遺伝子が変異していると述べているそうだ。
これについて新型コロナウイルスの治療の中心的な役割を担う国立国際医療研究センターの忽那医師は、”海外の状況を見ても、ウイルスが弱毒化したという科学的な根拠は今のところない。また、実際に患者を診ていてもそうした実感はない”、と指摘しているそうで、本当の所は目下不明だ。
以前ウイルスの一般的な特性として、流行の拡大と共に弱毒化する傾向にあると何かの資料で読んだ記憶がある。毒性の強いウイルスは宿主を早期に死に追いやるため、自身が長生き出来ないが、余り害を与えなければ、長生き出来るとともに仲間を増やすチャンスも増えるからだそうだ。この説明は素人にも分かり易くもっともらしい説明であるが、今後の研究を待たなくてはならない。
感染者数が増えても重症者の数が少なくなっている理由は不明であるが、もし本当であれば新型コロナウイルスは、近い将来インフルエンザと同様に流行性感冒の一つになっていくような気持にもなる。
突如発生して瞬く間に広がり、数カ月のうちに消えていく、咳と高熱の流行性疾患の記録は紀元前らあったと言われ、我が国でも平安時代の書物に書かれ、江戸時代にも悪性の風邪の流行が見られたという。このような風邪がワクチンも無い時代にどのように終焉したのか不思議だ。
60年も前にウイルスが分離され、ウイルスの研究が進められているにもかかわらず、いまだにインフルエンザは世界中いたるところで流行が見られる。ウイルスにも種の保存の原理が働くのであろうか、まるでウイルスに意志があるように、手を替え品を替えてやって来る。2020.08.12(犬賀 大好-625)