ちょうど1年前、欧米のコロナワクチンに先駆けて、中国製ワクチンが出始め、その成り行きを心配していた。欧米ワクチンの副反応に関してはよく報道されるが、中国製ではほとんど聞かれない。日本ではほとんど使用されていないせいであろうが、外国ではその効果を疑問視し、欧米ワクチンに切り替える話も聞こえてくる。中国製ワクチンの効果が多少悪くても、副作用が無いことだけでも、喜ぶべきであろう。2021.09.20(犬賀 大好)
自民党総裁選は、岸田文雄氏、高市早苗氏、河野太郎氏そして野田聖子氏の4者で争うことになった。普通の国民に選挙権は無いが、総裁選のあと衆議院の総選挙が控えており、国会議員も世論を気にしながら次期総裁を選ばなくてはならないだろう。
総選挙では立憲民主党が安倍前政権の経済政策「アベノミクス」の成果の是非を争点にするつもりのようであるが、総裁選では自民党の国会議員は政策より自分が総選挙で勝ち残るための選挙の顔を誰にするかが、一番の関心事のようである。
一般国民は小難しい政策より、分かり易い自民党への生まれ変わりに期待していると思われる。長期に亘る安倍一強政治は数々の弊害をもたらしたが、現在自民党内部から変革しようとする動きはほとんど無い。
菅首相は安倍政権の継承で首相を引き継いたが、安倍前首相の内容の無い冗長な説明の反省からか、言葉少ない説明が目立ち不興を買った。安倍前首相の森友・加計学園問題における公文書改竄、桜を見る会の私的利用等では、ご飯論法と揶揄されるはぐらかし答弁が目立った。また、菅首相の日本学術会議の新会員候補6人の任命を拒否した理由の十分な説明をしていない。これに対し国民はいらいらしているが、自民党議員の間から特に問題視する声も聞こえてこない。
今回の総裁選には立候補しなかった石破茂氏と安倍氏とは犬猿の仲であることが有名であるが、その背景には石破氏が安倍氏のやり方に異を唱えていたことがあったからのようだ。安倍氏に異を唱えればたちまち干されるのは、官僚ばかりでなく国会議員でも同じであったようだ。
国民の誰もが自由に意見を言えることが出来る自民党を期待していることがわかっているためであろうか、各候補者も政策に国民に納得できる説明をすることを掲げているが、一方では野田氏以外森友学園の再調査をしないと明言し、国民の声を汲み取っていない。
一方党内若手の「党風一新の会」が90名の会員で結成された。どの候補者を推すと言う訳ではなく、自由に投票することを旨とするようだが、後に控える総選挙で勝ち残るための戦略を自分で考えろと言うことであり、結構なことだ。
岸田氏が総裁に選ばれるとすれば安倍氏の支援があったからとなろう。これでは、安倍氏の影響から逃れることが出来ず、党風一新とはならないだろう。若手の票は河野氏に流れるような気がする。河野氏が若手議員の後押しがあって総裁選に勝てば安倍色一掃もあるかもしれないが、安倍氏の影響を排除できなければ、総選挙では自民党が大敗することになり、責任を取らされて短期政権となるかもしれない。
兎も角、自民党の一新は若手代議士の動きにかかっているいるような気がする。
2021.09.18(犬賀 大好ー747)
自民党は、総裁選は9月17日告示、同29日投開票とすることを正式に決定した。これを受けて現在、岸田文雄氏、河野太郎氏と高市早苗氏の3名が立候補宣言している。
岸田氏はいち早く立候補を表明し、 9月2日に出演した報道番組で森友学園問題の再調査について問われた際、”国民が納得するまで努力をすることは大事だ”と力強く語っていた。森友学園問題では国民の大半が安倍前首相のこれまでの説明に納得していない為、岸田氏はこの件で再調査を行うつもりだと理解され、これを切欠に岸田氏は安倍氏と決別し自民党を作り変えるものと期待を大にした。
しかし9月3日、菅首相が突然辞任を発表し、河野氏との争いになると見るや、安倍氏の支持を取り付けたいと、再調査をしないと明言した。岸田氏は、国民が納得する説明と再調査しないことは矛盾しないと苦し紛れの説明しているが、これは安倍前首相や菅首相が得意とするご飯論法で国民が納得できるはずが無い。岸田氏の国民が納得できる説明に期待してはいたが、自らのご飯論法には大いに失望させられた。
河野氏は突破力・実行力の強さや歯にきぬ着せぬ言い方を売り物にしており、安倍氏の長期政権を支えた長老政治を世代交代させられると期待していた。河野氏は脱原発派で有名であるが、安全が確認された原発の再稼動を容認するとし、従来からの主張がトーンダウンした。安全とは何か等で問題は残るが現実的な対処法であり、やむを得ぬところはある。ただ、核のゴミの最終処分場が決まらない限り、断固再稼動は認めないと主張すべきだ。一方、森友学園問題では岸田氏と同様に再調査しないと明言し、これには大いに失望させられた。
9月14日、石破茂氏は出馬を見送り、他候補の支援に回る方向に傾いたようだ。河野氏は当選したならば、挙党一致体制で政権運営すると述べ、石破氏に支援を求めたようだ。恐らく石破氏に閣僚参加を打診したと思われるが、石破氏は支援の確約はしなかったとのことだ。
高市早苗氏は、安倍路線の継承を主張しているが、国会議員や国民の人気度は低く、当選しそうに無い。しかし、総裁選挙が2名の決選投票になった場合の当て馬の役目だそうだ。
安倍長期政権の最大の負の遺産は財政健全化の案件だ。安倍前首相は成長戦略も旨く行かず法人税の伸びない中、ようやく消費税10%化を実現し、今後10年間は増税の心配なしと大見得を切った。
国の借金は異次元金融政策で膨らみ、コロナ騒動が追い討ちをかけ、GDPの2倍以上となっているが、財政健全化への努力に真剣みは無い。財政健全化への第1歩は増税であろうが増税は国民の反発必須である。増して総選挙前に誰も言い出さないだろうが、財政健全化は避けて通れない。国の借金が1100兆円も無ければ、コロナ騒動での財政出動や東京五輪で出した莫大な赤字も容易に対処できたであろうが。
現在、総裁に立候補している3名も、財政健全化に対する具体案を示していない。しかも、高市氏以外、安倍前首相に忖度し自説をトーンダウンさせている。国民は、開かれた自民党、納得できる説明、を求めているが、このままでは総裁選後の総選挙では大敗するだろう。2021.09.15(犬賀 大好ー746)
今月の自民党総裁選に高市早苗氏が立候補した。高市氏は安倍前首相の路線を継承するとし、安全保障の面で自信満々に持論を語っている。安倍氏は去年の8月、持病が悪化したと首相の座を退いたが、異次元金融緩和政策等の行き詰まりで、辞任せざるを得なくなったと見ることも出来る。
安倍氏は消費増税10%化を実現したが、同時に今後10年間は増税の心配なしと大見得を切った。国の借金1100兆円を今後どうするのか、高市氏の政策の披露を願いたい。2021.09.13(犬賀 大好)
東京五輪の開催前には国民の大半が開催に否定的であったが、開催後はやってよかったとの評価が大半だ。これをもって、大衆の変わり身の早さを嘆く人もいるが、コロナ禍で苦しむ人を気の毒に思う気持ちと、同時に選手が全力を出して活躍する姿に感激することは万人の共通感情だ。
大会開催に肯定的な人の主な意見は、”莫大な金をかけて大会を準備してきたからには今更中止とは金をどぶに捨てるようなものだ”との意見であろう。確かにスポーツ施設に東京都は2千億円程度の設備投資をしたようだ。ここでの選手の活躍は世界に発信され、多くの人に感動を与えることは間違いないだろう。これらの施設は東京五輪のレガシーとして記憶に留まる筈だ。
もし、中止となればこれらの施設建設の出番は無くなり、後に残るのは莫大な維持費だけだ。しかし無観客開催となったため、これらの施設が東京のどこにあるかも知らない人が大半であろう。レガシーは期待できない。
大会開催に否定的な人の主な意見は、コロナ感染の拡大防止のため家での自粛を要請する一方で大会を盛り上げようと聖火リレーをやったり、開会式等で派手な宣伝をするチグハグさであろう。小学生に、運動会等のイベントが中止される一方オリンピックを開催する理由を、分かりやすく説明することが出来るであろうか。
バッハIOC会長を初めとする大会関係者はコロナ感染拡大と開催は一切関係ないと一点張りであったが、確かに関係者の感染が原因で市中に広がった事実は無かったであろうが、お祭り気分が一般市民に広がり感染リスクを下げたことは間違いないであろう。
菅首相の不人気のひとつは説明力の不足と言われているが、菅首相も関係ないと一点張りであった。もっと正直に、”オリンピック開催は国際公約でもあり国益につながるからであり、コロナ感染拡大で国民の皆様に多少迷惑をかけるが我慢してもらいたい”とでも説明すれば、もっと違った局面になっていただろう。
もしコロナ騒動が無かったならば、昨年東京五輪は開催され、当初の経費を削減したコンパクトな開催、東日本大震災からの復興記念との理念はどこかに忘れ去られたにも拘わらず、国民の大半は熱狂し大成功となったであろう。菅首相の退陣は無く、否安倍前首相の続投も続いていたかも知れない。
そもそも東京でオリンピックを開催は、石原慎太郎氏が湾岸地域の再開発や経済の起爆剤としたいと、誘致を始めたのが切欠である。コロナ騒動のため、無観客開催となり、経済の起爆剤の役目はほとんど失われた。
湾岸地域の再開発は都心から離れていることが後々災いするだろう。オリンピックのために作られたスポーツ施設は、交通の便の悪さで一般国民の利用は少なく、維持費の負担に苦労することになろう。選手村の跡地は高層住宅として当面は賑わうであろうが、住民の高齢化は着実に進み、20~30年後には多摩ニュータウン化することだろう。2021.09.11(犬賀 大好-745)