日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

1年前を振り返って(菅次期首相に取り組んでもらいたい重要課題、2020年、9月)

2021年09月10日 09時15分01秒 | 日々雑感
ちょうど1年前、安倍前首相から菅氏に流れが決まった時期であった。その後わずか1年で菅首相は退任することになってしまった。菅首相に、安倍氏の良いところは引継ぎ、悪いところは是正するように期待した。デジタル庁の創設、携帯電話料金の引き下げ等の実績は残したが、森友学園問題等、悪いところの是正は一向に進展しなかった。
菅氏を引き継ぐ新しい総裁にも同様な期待をしたいが、国会議員の間では安倍氏の影響力が強いようで、開かれた自民党の実現は期待できない。2021.09.10(犬賀 大好)

部族社会に民主主義の普及は果てしない時間を要する

2021年09月08日 09時54分28秒 | 日々雑感
 アフガニスタン駐留米軍は今年8月30日、撤退を完了し、バイデン米大統領は米史上最長の20年に及ぶ戦争の終結を宣言した。2001年のアメリカ同時多発テロ事件を機に開戦したが、撤退完了前にイスラム主義組織タリバンの復権を許し、その上過激派組織イスラム国(IS)系勢力の自爆テロ攻撃も受けるなど、米国にとってほぼ敗戦の幕切れとなった。

 米国はテロ撲滅目的で戦争を始めたが、途中でアフガニスタンに民主主義国家を作ろうと変更したが失敗に終わった。しかし、現在首都カブールでは少数ながら女性による女性解放のデモ行進が行われているとのことで、全くの無駄では無かったようだが、民主主義国家への道のりは果てしなく遠そうだ。

 そもそもアフガニスタンは、国土面積は日本の約1.7倍、人口は約1/4で、人口の約45%がパシュトゥーン人からなる多民族国家である。国民の大多数がイスラム教を信仰しているが、約85%がスンニ派、約14%がシーア派で、互いに仲が良い訳ではなく、また少数ながらシーク教徒、ヒンドゥー教徒、キリスト教徒も存在するそうで、一つにまとめるのはいかにも大変そうだ。

 現在のアフガニスタンの地域に人類が住み始めたのは、旧石器時代である紀元前10万年頃だそうで、歴史の古さは日本の比ではない。紀元前8000年頃には農業や牧畜がおこなわれ、多くの部族が権力を競って王国を興してきた。19世紀に入ると、部族間の争いに加え、イギリスとロシアによる争奪戦の場と化した。

 タリバンはアラビア語で”学生”を意味する”ターリブ”の複数形だそうで、イスラム神学校で軍事的・神学的な教育を受けた生徒で構成され、1994年に創設された比較的新しい組織とのことだ。理想に燃える生徒が主体であったため、過激なところもあったであろう。タリバンは1994年にアフガン内戦の有力な勢力として台頭し、米国主導のアフガニスタン戦争が始まる前には国の大部分を支配していた。

 アメリカ同時多発テロ事件は、イスラーム過激派アルカイダによって行われたテロ攻撃であるが、タリバンは首謀者のウサマ・ビン・ラディンなどを客人として受け入れていたため、西欧国家からテロ国家とみなされて攻撃を受け、米国の圧倒的軍事力の下タリバン政権はあっけなく崩壊した。

 アフガニスタンでは2001年にタリバン政権が崩壊し、次のカルザイ政権のもとで2004年に新憲法が制定されたが、中央政府よりも各部族の影響力が強く、コーラン等にもとづく規定が残っていており、民主主義はごく一部でしか機能しなかったようだ。

 古くからの部族社会に民主主義が根付かないことは、映画”アラビアのロレンス”で思い起こされる。この映画は実在のイギリス陸軍将校のロレンスの、オスマン帝国からのアラブ独立闘争を描いた歴史映画である。ロレンスはアラビア半島からのトルコ追い出しに成功したが、アラブの部族の因習に打ち勝つことが出来ず、失意の下に国に帰ることになったが、米国兵の多くもアフガニスタンから同様の帰国となったであろう。2021.09.08(犬賀 大好ー744)

経済発展は貧富の格差を助長する

2021年09月04日 09時20分06秒 | 日々雑感
 コロナ騒動等で小・中学校の休みが増えるとやせ衰える子どもが増えるとの話をよく聞く。現在日本では7人に1人の子どもが貧困で苦しんでいるそうで、一人親家庭、特に母子家庭において顕著であり、その原因は子育てと就労の両立が難しく、子どもを育てながら就けるのは低所得のパートや臨時雇用のためであると言われている。

 しかし、世界には日本よりもさらに貧困に悩んでいる国がたくさんあるようだ。アメリカを含むヨーロッパ諸国では、国内での富裕層と一般層との所得の差は広がる一方であり、経済成長の中で資産の増大は一部の富裕層のみとなっているのだ。

 貧富の差は国家間にも存在するが、一見豊かな国であっても、その中に貧富の差があり、経済発展が著しいほど大きいように思える。近年中国の経済の発展は著しくGDPは日本を抜き、米国に次ぐ世界第2の経済大国となっているが、国民の間の貧富の差は日本どころではないようだ。

 2021年7月初め、中国共産党の結党100周年を祝う式典が華々しく開催された。そこで習近平総書記は中国が全ての面で小康社会(ややゆとりのある社会)の実現の目標を達成したと自慢げに宣言した。しかし、同じ時期、李克強首相は月収1000元(約1.5万円)の人達が6億人いると記者団に答えたそうだ。

 コロナ騒動前、中国からの観光客が日本に大挙して押し寄せ爆買する様子をテレビで見て、中国の経済発展はすざましいと感心する一方、日本への出稼ぎ労働者が相変わらず多いことが不思議であった。

 一般に経済活動は効率化の追求であり、第2次産業においてはより良い物をより安く作りより安く売ることが根底にあり、そこでの競争に勝つ者があれば敗れる者が生じ、その競争に参加すら出来ない者もいる。資本主義社会においては、資金を豊富に有する者がより有利であり、経済発展は必然的に経済格差を生むのだ。

 8月18日、習近平氏は中央財経委員会で”共同富裕(格差を縮めて社会全体を豊かにする)”政策に本格着手することを宣言した。実現した小康社会において格差の大きいことを認めたのだ。

 共同富裕とは税制や社会保障政策の改革で富の分配を促し、中間層を膨らませる政策であり、3つの分配からなるのだそうだ。第1次分配では経済活動による分配、第2次分配では徴税など政府権力による分配で、第3次分配は個人や団体が自発的に寄付などで第三者に分け与えることからなるようだ。

 中国は1党独裁国家であるので、第2次分配における国家権力で富の再配分をやれば済むと思えるが、これは”殺富済貧”政策だそうで、中国の歴史でうまくいった例が無いとのことで、この政策だけではうまくいかないようだ。

 米国でもトランプ前大統領が国内の経済格差の問題を掘り起こしたが、1980年以降に米国経済を復活させた新自由主義が経済格差を拡大させたとの見方が一般的である。

 日本でも安倍政権下での異次元金融緩和は莫大な資金を市場にばら撒いたが、その恩恵を蒙ったのは元々金のある連中で、トリクルダウン効果はほとんど無かったとのことだ。2021.09.04(犬賀 大好ー743)

1年前を振り返って(米国トランプ大統領が逆風に少しも怯まないのは、2020年9月)

2021年09月03日 09時33分29秒 | 日々雑感
バイデン大統領が選出され、トランプ前大統領はメディアへの登場が激減し、少しは大人しくなると予想していたが、相変わらず元気そのもののようだ。
また、大統領はアフガニスタンからの撤兵を巡り、メディアから批判されているが、トランプ氏もこれに便乗し批判を強めているのだろう。恐らく次回の大統領選挙に共和党から立候補するつもりであろうが、この不屈の精神だけは尊敬に値する。2021.09.03(犬賀 大好)

岸田前政調会長の総裁選出馬が本気であれば安倍前首相と決別を!

2021年09月01日 09時33分17秒 | 日々雑感
 自民党は8月26日、総裁選の日程について、9月17日告示、同29日投開票とすることを正式に決定した。これを受けて出馬を表明した岸田文雄氏が地元広島の議員や財界幹部らとの会合で菅義偉首相への対決姿勢を示した。

 菅首相は再選に意欲を示しており、二階幹事長の他、安倍前首相、麻生副総理兼財務相も首相再選支持を表明しているが、本気で応援するか疑わしい。勘ぐるに、二階氏は菅首相と再選後の人事に関する何かしらの約束をしており、安倍氏や麻生氏とも同様と思われる。しかし、各派閥内の若手の議員から密室政治を非難する声が上がっており、一枚岩で賛同を得る可能性は低いようだ。

 岸田氏はかねてから総裁への意欲を示しているが、安倍政権末期も安倍氏から禅譲を期待していた甘さがあるようでもあり、1年前の総裁選挙では見事に菅氏に敗れた。今回本当に総裁の座を狙うのであれば、安倍氏の支援など当てにすべきではなく、独自の路線を進めるべきだ。

 安倍前総理の長期政権での様々な不祥事が明らかになっている。すなわち、森友・加計学園問題における公文書改竄、桜を見る会の私的利用、河合夫婦の選挙違反問題等、の真相を明らかにし、透明性の高い自民党としての再出発を公約に掲げるべきだ。

 岸田氏は、河合夫婦の選挙違反では買収資金が自民党から1.5億円支給されたとして、二階幹事長を追求したが、そこに安倍首相の名前まで出ると追求は一気に萎んでしまった。岸田氏と安倍氏の親密さを熟知した二階氏の高等戦術と理解されるが、そこで怯むようでは二階氏に勝てない。

 岸田氏は29日出馬宣言する際、党役員任期制限案に言及したが、二階幹事長の辞任要求であることは明らかであり、安倍、麻生両氏と二階氏との間にくさびを打ち込んだのだ。これに反応して、首相は先日30日に首相官邸で二階氏と会談し、次期衆院選の前に自民党役員人事の刷新を行い、二階幹事長を交代させる意向を伝えたとみられる。自民党内の特に若手議員の間の空気を読んだ戦略とも思われるが、岸田氏の出鼻を挫いたのだ。

 総裁の座を巡る自民党内の権力争いは所詮はコップの中の嵐であり、勝手におやり下さいの感であるが、肝心なのは国内外の政治の方向だ。

 岸田氏は29日、”来年の春までしっかりと見通せるような数十兆円規模の経済対策を早急に取りまとめるべきだ”と述べ、党総裁選での公約に掲げる考えを示した。コロナ後の経済復活は重要な案件ではあるが、現在、日本は未曾有の1千兆円を超える借金を抱えており、コロナ騒動で一層膨らむ勢いである。

 財政健全化に対しては2025年度までに基礎的財政収支を黒字化する政府目標については”大きな流れをしっかり考えていかなくてはならない”と一般論を言うに留め、本気度は伺えない。異次元金融緩和で大赤字を加速したのは安倍前首相であるが、安倍氏への遠慮が垣間見える。岸田氏は安倍氏と縁を切る覚悟で、将来の日本の方向を示して頂きたい。
2021.09.01(犬賀 大好ー742)