ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

信号が赤

2010-12-31 00:47:17 | ご挨拶
信号が ここから交差点四つ 続けて赤 横断歩道橋まで三つ その先の一つ 直線の道路の見える限りが赤 その先にもあるが 横断歩道橋に遮られ 見えない ここから見える限り 信号が 四つ続けて赤 休日 急ぐ旅でもない のんびりと買い物の午後 車は適度に往来し この信号が青になれば 後はスムーズに流れる あの頃は いつも急いで 何かにとらわれ 落ち着かず 急かされていた あの頃 三十年前 一月前 . . . 本文を読む

雪だねえ

2010-12-27 19:25:48 | ご挨拶
雪だねえ しんしんと 雪が降るねえ この時期は やっぱり 雪がいいねえ 雪が白く 降り積もるねえ 屋根や木を白く 覆っていくねえ 駐車場は 出入りする車で 降り積もるすきがないねえ 外は 透明なきりっとした空気が 心地よいくらいだねえ でも 透明なガラスの壁の内側の屋内は 程よく暖かく 珈琲の苦さと酸味が 美味いねえ 冷たいソフトクリームを載せた珈琲ゼリーも 心地よいくらいだねえ 窓の外 . . . 本文を読む

川が流れる

2010-12-23 00:34:52 | ご挨拶
ごうごうと 川が流れる 流れる ごうごうと 川が流れる 流れる 強い雨のあと いつもは水面のうえの 川原のうえを 川が流れる 流れる 川原の草木を ごうごうと 押し流して 川は流れる 草の嘆きなど 構わず 悲鳴など 聞かず ごうごうと 川は流れる 流れる 暗闇の中を 暗い川が 暗い衝動のまま ごうごうと 押しつぶして 押し流して 根こそぎやっつけて ごうごうと 川が流れる 流れる . . . 本文を読む

トンビが

2010-12-21 23:36:52 | ご挨拶
杉の林の丘のうえを 低くトンビが飛んでいる 風に載って滑空している くるり と向きを変える またくるり と向きを変える するどく 下天を偵察し 獲物を探索し ことあれば 急降下する態勢で しかし 何事もなく ゆうゆうと 何事も悩むことなく 空を滑る 私は 窓の中の 安全な場所で 見られることなく 一方的に ぼんやりと 眺めている 掴み取るとか くちばしでかすめ取るとか そんな攻撃的な考えと . . . 本文を読む

四分の三の月

2010-12-17 22:48:04 | ご挨拶
陽が低く西の空に傾いたころ 白昼の 薄白い月が 東の丘の上に顔を出す 薄白の光のなかに 兎の耳が 薄青灰色にぼんやりと沈む ように浮かぶ 兎が餅を搗いている らしい よく見えないが 上弦か下弦か分からないが 四分の三の月 見落としそうな 透き通りそうな 白昼の月 希薄な見掛け だが やがて 陽が沈めば 陽の光を煌々と照らし返して 濃密な存在を 明らかにする だろう 事績の記されない 月読 . . . 本文を読む

喜ばしき労働

2010-12-15 22:03:35 | ご挨拶
本を受け取り バーコードをなぞり 表と裏とふき取り 仮置きのラックに置き 本棚に戻す 物語や 歴史や社会や自然や技術や芸術や 絵本など 分類に従って 配列する 本を受け取り バーコードをなぞり 子どもに 大人に 貸し出す 抽象的なモノではない 文字や 絵の詰まった 本 濃密な内実 毎日繰り返す 豊潤な 芳醇な 喜ばしき作業 喜ばしき知の労働 . . . 本文を読む

図書館に

2010-12-13 23:04:29 | ご挨拶
図書館に 行く こども 図書館に 行く 母親 父親 図書館に 行く 若者 高齢者 絵本を 読み物を メルヘンを ファンタジーを ロマンスを ノベルを 美味しいケーキの作り方を 暖かなマフラーの編み方を 楽しいクリスマスの飾りつけを 人間の歴史を 社会の動向を 世界の成り立ちを 図書館帰りの こども 楽しげに 満ち足りて 古くて新しい世界に踏み出して . . . 本文を読む

合理・不合理?

2010-12-06 00:01:14 | ご挨拶
不合理ゆえに我信ず とは パスカルの言葉 だったと思う 私は 不合理ゆえに我信ず とは言えない もちろん こんな文語体でしゃべるわけはない ということではなくて 私は 合理的なことを信ずる 信じることができるのは それなりに 合理的なこと 合理的に説明できること だ しかし 世の中 説明できる合理的なことばかりではない 合理的なことは 一部のことに過ぎない 不合理の大海の中に ひと筋の説明 . . . 本文を読む

紅葉が浮かぶ

2010-12-03 23:27:23 | ご挨拶
うら哀しい旧市街の 細長い谷あいの街並みの 八日町 駐車場の奥の斜面下の 紅葉 夕闇の中で ライトを浴びて ほのかに明るく 店舗兼民家の裏庭で 自らの楽しみのために 灯りを灯しているのか 通りをゆく人々のために 灯りを灯しているのか 光と影 うら哀しい旧市街の 細長い谷あいの街並み その裏庭の 斜面の紅葉 紅く 黄色に 暗闇の中に ほのかに明るく浮かび . . . 本文を読む