ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

竹が生える 月刊ココア共和国 8月号電子版掲載詩

2020-07-31 22:45:29 | 月刊ココア共和国 投稿詩
竹が生える日差しが照りつける坂の崖の地面から青い竹が生える隠れた地下茎から竹の子が分かれてしなやかなしたたかな竹が生えるフュシスあるいはナトゥーラ能産的自然人間が意図して呪文を唱えて生え出すものではない自ずから然り萌え出ずるもの燃え上がるもの制御できない時分の花百年に一度の華やぐことのない花稲穂のような見過ごされる花花の美しさなどはない青竹の眩い輝きは昔々目くらましのように一度高貴の人々を打ったが . . . 本文を読む

夕べの若い女性歌手のこと

2020-07-26 12:38:03 | エッセイ
 夕べ、テレビの音楽番組で、若い女性歌手の歌を聴いた。ずいぶんと流行っているらしい。 これはついていけない、と思った。ひとつも面白さを感じない。魅力を感じない。 よく声は出ている。音程も外していない。 力んで声を出しているが、それがこちらに届いてこない。音としては聞こえているが、なにひとつ感情に響いてこない。こういうのを魂に届かない、というのだろうか。 宇多田ヒカル以降の、不思議なメロディーライン . . . 本文を読む

小熊昭広・編集 詩誌回生み号 2020.4.27 快晴出版

2020-07-24 22:21:45 | エッセイ
 2年ぶりの発行となる。回生は、いろは…で号を振っているが、み号というのは一体第何号になるのかやすやすとは分からない。 〈いろはにほへとちりぬるをわかよたれぞつねならむ××のおくやまけふこえてわかみよにふるなかめせしまに〉などと、記憶を辿って書いている途中から出鱈目になってしまう、というようなことで、み号が第何号目なのかは謎のままだ。ネットで調べれば一目瞭然で . . . 本文を読む

山田詠美 ファースト クラッシュ 文藝春秋

2020-07-11 17:04:39 | エッセイ
 2019年10月30日発行の3部からなる小説。中編小説というべきだろうか。短編ではないし、長編でもない。帯に「現代最高の女性作家が紡ぎだす、豊潤な恋愛小説」とある。 先日、引っ越しに伴って本棚整理をしたところだが、若いころには倉橋由美子は相応に読んでいた。あとは誰だろう。吉本ばななも、最初の1冊か2冊で止めているし、継続して読んでいる女性作家はほとんどいない。いや、ほとんど、という限定は不要か。 . . . 本文を読む

精神看護 2020.5 斎藤環氏による読書会『開かれた対話と未来』 医学書院

2020-07-04 22:09:48 | エッセイ オープンダイアローグ
 精神科看護分野の専門誌『精神看護』、5月号の特集は、「教えて先輩! 看護って何? 現場のどうしよう、困ったを解消する看護理論【退院に至る道】編」ということで、これはこれで大変興味深い内容であったし、他の連載等も読みごたえあるものであったが、今回、購入したのは、斎藤環氏によるオープンダイアローグについての読書会が紹介されているからである。取り上げているのは、ヤーコ・セイックラとトム・アーンキルによ . . . 本文を読む

ガラスの靴の灰かぶり 月刊ココア共和国 7月号電子版掲載詩

2020-07-02 21:24:34 | 月刊ココア共和国 投稿詩
ガラスの靴を履いてかぼちゃの馬車から降り立って百段もある階段を昇る壮麗なドアが開くと華麗な室内交響楽団の音楽があふれ出し午前零時までの舞踏会が始まりを告げるかまどの前で灰まみれの猫のように眠るみすぼらしい姫午前零時の鐘が鳴り終える前に駆け下りた階段に引っかかって脱げたまま置いてきたガラスの靴もう一方は大切に隠して仕舞いこんで継母と連れ子の姉たちの仕打ちに耐え昼の苦行に夜はいっときの休息を得てかまど . . . 本文を読む