ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

2017-02-18 00:46:48 | 詩集 湾Ⅲ 2011~14
旅は気持ちを高揚させる 日常とは別のしかたで われわれを興奮させる   千年に一度 の事件の現場が ひとを高揚させないわけがあるだろうか そこで その現場で はしゃいでいる若者を 咎めることができるだろうか 若者たちが記憶にとどめ いつか再び語り出すことを待ってはいけない だろうか   そう 記憶にとどめる 巨大な鉄の塊がそこに とどめられて . . . 本文を読む

2016-11-30 22:38:38 | 詩集 湾Ⅲ 2011~14
鉄の塊くすみきった赤と青の漆黒の不安定な形態でH型鋼の支柱でようやく支えられいつまでいつまでそこに居座っているのか抗うようにざらざらと無数の刺のように 軽々と海に浮かび巨大な群れをなす生命を追い求め透明な水を切り裂き鮮やかに光る刀の塊りを一網打尽にすくいとって数多の生命を奪った数多の生命を供給した人間の生命をつなぐためにそしてこのまちを養った 自然の魚類の生命によって人類の生命 . . . 本文を読む

実物の銀幕  港町・Kポートにて

2016-11-30 22:34:32 | 詩集 湾Ⅲ 2011~14
切りとった大きな窓 床面からの掃き出しの大きな窓 窓際に二人がけのテーブルとイスが並んだ その向こうに内湾の狭い水面が見える 対岸にコンクリートの建物 4階建てや3階建てが数棟 流された木造家屋が跡地のなかに残り 小高いところに 屋内体操場を上に乗せたコンクリートの校舎 かまぼこ校舎と呼ばれたランドマーク (エッフェル塔もできた当時はかまびすしいパリっ子の不平のタネだった) . . . 本文を読む

波 湾Ⅲ2011~14から

2016-07-23 20:58:52 | 詩集 湾Ⅲ 2011~14
光る海 晴れた日に青い空の下きらきらと輝いている海 静かな海   小さな波がいちめんに波だっている そのひとつひとつに 日の光が映っている   三方を海に囲まれた岬に立って 私は海を見ている 茫然と 呆然と 光る海を 光る波の集まりを 眺めている   おまえは何を考えているのか 何を思い出しているのか 問いかけられているかのように . . . 本文を読む

水と月

2015-02-22 19:12:26 | 詩集 湾Ⅲ 2011~14
地の底から湧き出るような暗い水ひとすじの光もなく透明なのか漆黒なのか見定めることができない 土と砂利で盛土したままの道路に区切られて歪んで窪んだ四辺形が並んで田植えの前の田んぼのように暗い水が浸み出して歪んだ四角の街路に区切られた低い家並みの街がすべて陥没したように今は数棟のコンクリート建築が残されたままで 向こうは海奥深い湾のいちばん奥のふたつの岬に囲まれた小さな内側の湾&n . . . 本文を読む