◆表紙、今回から小田亜希子さん。これまで長く表紙をお願いした常山俊明からの紹介。意外なことに、絵を始めてまだ2~3年とのこと。今回のマイルス・デイビスのスケッチは、見せていただいて、これだ、とピンときた。マスキングテープによる作品もあるようで、次回以降の楽しみとしたい。◆石津ちひろさんから132号を読んでの読後感ということでメールをいただいた。「まずは熊本吉雄さんの「霜月のアイスクリーム」ですが、 . . . 本文を読む
木製の窓枠に置いた深い緑の硝子のコルセットを着けた昔の貴婦人のスカートのような容れ物真鍮の金具の吹き口北向きの曇り硝子の窓の曇り空の明るさを受けて腰のあたり絵画であれば白の絵具を塗る白く反射した部分があり直接の光を受けない部分は緑色透明な縦の縞のむこうに真鍮の金具の下半を透明けさせて見せる手にとって(口をつけるかのように)霧を吹き出す湿った水分を吹き出し(喉の奥を湿らすかのように)歌ふ ※すべ . . . 本文を読む
『シリーズ・戦後思想のエッセンス』の創刊第0号の位置づけである。 柄谷と見田が、自身を語る、大澤がインタビューと編著という形。帯に、「二人の「知の巨人」は、いかに思考を紡いだのか?」と記載がある。これは、大澤にとっての「知の巨人」が柄谷と見田である、ということでもある。 柄谷行人は、1941年生まれ、見田は1937年生まれであり、大澤は1958年生まれであるから、父の年代、というには少々若く、叔 . . . 本文を読む
精神科医、神戸大学医学部教授であった中井久夫の著作集(岩崎学術出版社刊)の第五巻「病者と社会」を中心に編みなおした文庫版で、ちくま学芸文庫・中井久夫コレクションの一冊である。 世に棲む患者とは、精神を病んだ患者もこの世に住まっているということであろう。どこかこの世ならぬ場所に隔離されて、われわれとは全く違う世界に存在するものではない、ということであろう。 患者も、ここにいる、のである。共にいる、 . . . 本文を読む
秋亜綺羅発行人、佐々木貴子編集人による月間詩誌の創刊である。秋さんは、仙台在住の詩人、これまで、季刊詩の形で「ココア共和国」を発行されてきた。 新鋭詩人佐々木貴子氏を編集人に据え、月刊誌の発行という、無謀とも思える挑戦に踏み切った。紙媒体でも少部数作成しつつ、電子書籍としての販売を中心に据える戦略らしい 秋さんは、1951年生まれか。私よりも5歳年上となる。詩人としての活動、尊敬すべき、見習うべ . . . 本文を読む
山田詠美である。 山田詠美は、私にとって数少ない読もうと思える小説家である。見開きひとつに、必ず名文がひとつ以上出現する、と言ったりしているが、いつも唸らされる名文家である。 さて、今回は、つみびと。 巻末の参考文献に3編掲げられている1冊目が、『ルポ虐待――大阪二児置き去り死事件』(杉山春、ちくま新書)であり、後の二つは、殺人犯についてと女子刑務所についてのルポルタージュである。 重い。重すぎ . . . 本文を読む