ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

中井久夫 いじめのある世界に生きる君たちへ 中央公論新社

2019-06-20 22:41:56 | エッセイ
 副題は、「いじめられっ子だった精神科医の贈る言葉」。いわさきちひろの表紙カバーの絵と挿画がなんともやさしく美しい。  精神科医にして評論家、筑波大学教授の齊藤環氏によれば、中井久夫は優れた精神科医である。   「一昨年刊行された『こころの科学 中井久夫の臨床作法』(日本評論社)を読むと中井久夫と彼のファンである精神科医たちが、いかに患者さんたちに対して人間的に配慮する治療を試みて . . . 本文を読む

Library Resource Guide 第26号 特集「公共コミュニケーションと図書館のアドボカシー」アカデミック・リソースガイド株式会社

2019-06-16 12:53:33 | エッセイ
 今号責任編集の鎌倉幸子さんは、「走れ!移動図書館」(ちくまプリマー新書)の著者で、元シャンティ国際ボランティア広報課長、震災後、東北沿岸の支援に奔走された方でもある。気仙沼図書館でもたいへんお世話になった。  高校卒業後、アメリカの大学に留学し、そこでの学び、そして出会いから、カンボジアに図書館をつくる仕事に従事することになった方である。  さて、今回の特集を読むと、クラスメイトのカンボジア . . . 本文を読む

アリスン・マギー文・なかがわちひろ訳 ちいさなあなたへ 主婦の友社

2019-06-12 23:25:05 | エッセイ
 原題は、Someday、絵は、ピーター・レイノルズ。アメリカの作品。  表紙には、オリーブ・オイルみたいな,後ろで一つに纏めたクシャクシャの髪の若い女性が、右斜め上方に伸ばした両腕の先に、小さな赤ちゃんを手に持って支えて、見つめている姿。赤ちゃんは、ボーダーの、マンガに出てくる囚人服みたいなツナギの産着で、目は点が二つ、鼻と口はへを上下逆にした折れ線、頭髪はなし。背景は、細かなうろこ雲が浮かぶ . . . 本文を読む

高橋源一郎 今夜はひとりぼっちかい? 日本文学盛衰史戦後文学編 講談社

2019-06-03 23:31:17 | エッセイ
 先般は、日本文学盛衰史を、文庫版で読んだところだが、今度は、戦後文学編。プロローグは、「全身小説家」。  どこかで聞いたことのあるタイトルではある。   「ひとりの男性が、入念にお化粧をしている(正確にいうと、メイクさんが、この男性にお化粧をほどこしている)。  白く粉を塗りたくり、どぎつい赤の口紅で唇を彩色する。歌舞伎の女形のように見えないこともない。玉三郎とか、それにしては . . . 本文を読む