阿那邇夜志愛袁登賣袁!
(あなにやし えをとめを)
阿那邇夜志愛袁登古袁!
(あなにやし えをとこを)
ああじつに 可愛らしいむすめだ!
ああほんと 清々しい若者だこと!
天地別れて間もないころ
天地貫く真柱を太く立て
汝は右から
我は左から
真柱をいそいそと廻り
出会い頭に
魔法の呪文を唱える
阿那邇夜志愛袁登賣袁!
(あなにやし えをとめを)
阿那邇夜志愛袁登古袁!
(あなにやし えを . . . 本文を読む
月の光が
あまねく照らす
夜の闇の街を
山を海を
月の光が
あまねく照らす
月の光の届かない
夜の闇の陰のほかは
闇の下の
うごめくモノ
不分明なモノ
生温かい親密なモノ
月の光が
あまねく照らす
安アパートの二階のベランダの男の
横顔を
月の光が
あまねく照らす
男の肉体の裏の暗い闇の
ほかは
男は火を点して
赤い火を点して
かすかな熱を喫って
かすかな光を射して
暗闇にかすかな光 . . . 本文を読む
ショッピング・ビルの外縁の木製ベンチに腰掛けて一服
広場の向かいのビルのイルミネーションを眺め
佇む
仕事帰りの
夕暮れの
独りの
ターミナル
夕映え
たそかれ
(かはたれ)
(朝焼け)
行き止まりの終点の
昏い空
昏く紅い空
五階建ての揺れる揺れない横長のターミナルビル
ターミナルは地下に
電車は
地上の高架橋からまっすぐ地下に潜り込み
吐き出す
通勤客すべてを
吐き出す
送り出す
湧き上 . . . 本文を読む
雨
ふらふらの雨
傘をさす人
通勤帰りの
ターミナル
空中広場
ふるふるの雨
ふろふろの雨
雨雨ふれふれもっともっともっとふれ
ふろ
ふら
ふり
ふる
古着のジーンズ
古着の背広
着古した背広
体に馴染んだスーツ
パリッとしたスーツ
ダークなグレーのスーツ(女物)
ベージュのパンツスーツ(女物)
手に持った紺のスーツの上着とゆるめたネクタイ
地味なワン . . . 本文を読む