鬼Ⅰ
かくれんぼしましょあっぷっぷ
ぷっぷっぷっかくれ鬼
しっしっしっさがし鬼
けっけっけっまぬけ鬼
おとといおとといやって来い
かくれてかくれて尻出してぽい
見つけて見つけて舌出してぷい
ぷいぷいぷい
あしたはあしたは鬼ごっこ
お能のお面がありません
般若のお面がありません
なまはげなまはげ男鹿半島
三陸町にはスネカがいるぞ
鬼さんこちら手の鳴る方へ
鬼Ⅱ
おしらしら知 . . . 本文を読む
夜のまちを歩く
目的のないもののふりをして歩く
南町から八日町三日町をとおって化粧坂をのぼり本町のおかのうえまで歩く
歩くうちに何処かで閾を踏み踰える
ロジオン・ロマーヌイチ・ラスコーリニコフのように交差点のまん中で大地に接吻したくなる
踏み踰えるとひどい罰をうける
荒野の狼のようにお墓山に向かって吼えたくなる
踏み踰えるとひどい罰をうける
夜のまちを歩く
帰る家のないもののように歩く
. . . 本文を読む
痛い!
と異界
との間には千里の径庭がある
わけではなくて
異界の彷徨には常に痛みがともなう
彷徨する妖怪変化・鬼・天狗の類
吸血鬼ドラキュラ
薄明のかわたれどき・たそかれどきは闇と光との境界の薄気味悪い時刻であるがミッドナイトの漆黒も相当に気持ちの悪いもので
日常と祝祭
結婚と恋愛
仕事と休暇
行動と休憩
イリュージョンとソリューション
地球上の異界市内の異界街中の異界
八瀬の童 . . . 本文を読む
どんでん返し
どんでん返しだコーラ
何がいいのか悪いのか
ひっくり返ってざまあ見ろ
美しい立ち居振舞い
真っ赤な唇
ほんのりピンクのほほ
目元ぱっちりのまつげ
あでやかな衣装
正気は阿呆
阿呆は正気
どんでん返し
どんでん返しだコーラ
居場所定めぬ浮世のつらさ
とんぼ返りで赤ん目え
首すじなでて
桑原桑原
. . . 本文を読む
ーキューバは、人間が人間に甘えることを、許さない。(村上龍「或る恋の物語」『白鳥』幻冬社刊所収)
キューバは人間が自然に甘えることを許さない
キューバは自然が人間に甘えることを許さない
日本は人間が人間に甘えることを許す
日本は人間が自然に甘えることを許す
日本は自然が人間に甘えることを許す
気仙沼は人間が人間に甘えることを許さない許す
気仙沼は人間が自然に甘えることを許さない許す
気 . . . 本文を読む
ああ気仙沼という海の街は一旦森に入るんだと思ったんです。(注)
県境の向こうの水源地の森から流れ落ちて
国道と鉄路に沿ってもういちど
森を通過して
まちに至り
奥深い湾に注ぐ
森から海へ
無機質や有機質たちが
水によって交通する
水はさらに
海から空へそしてもういちど森へ
回帰する
この永遠の循環が
植物と動物
人間を育む
広葉樹はどんぐりを生産し
針葉樹はマツタケを隠蔽し
牡蠣は入 . . . 本文を読む
空を歩こう
高みを歩こう
虹の向こうへ
空を歩こう
高さを歩こう
青空のなか
星屑の下
人間は空を歩ける
星になれる
人間は
心のやさしい赤鬼になれる
友達思いの青鬼にもなれる
空を歩こう
人間は
白いきつねになれるし
赤いつばきにもなれる
空を歩こう
人間は
涙を川にする黒い龍にもなれるし
やさしく強い男の子にもなれる
空を歩こう
人間は
翼を!とうたうことができるし
おまえを離さな . . . 本文を読む
犬も歩けば棒に当たる
猫も落ちれば地面に立てる
猿も登れば柿が喰える
蟹も歩けばおむすび拾えるさらに歩けば
猿に騙される
はーやく芽を出せ柿の種
出たなら鋏で切っちゃうぞ
という具合に人間どこでどんな事件に遭遇するかわからない
どんな具合に口をすべらすかわからない
ゆめゆめ準備万端怠ってはいけない
はーやく芽を出せ柿の種
出ないとぼりぼり喰っちゃうぞ
※
出会いはいつも突然であると . . . 本文を読む
Il faut cultiver notre jardan
―なにはともあれ私たちの畑を耕さねばなりません
フランス革命を準備した啓蒙思想家ヴォルテールの風刺小説「カンディード」の大団円にこの言葉がある
「すべからく一切万事最善である」ことを証明するオプティミスト=楽天思想家の師パングロスの教えを信ずる主人公カンディードが
ヨーロッパのみならず新大陸までまたにかけた数多の理不尽な艱難辛苦のすえ
. . . 本文を読む
抱きたい抱きしめたい所有したいくちづけしたい抱かれたいつながりたい所有されたい共有したい
性なる夜
新しい生が芽吹きまたは
夥しい生が役割を果たさずはてる夜
生産的な夜消費が再生産に結実する夜
反生産的な夜ただひたすら消費的な夜
やさしくありたい
やさしくされたい
ただひたすら美しく存在してほしい
抱きたい抱きしめたい所有したいくちづけしたい抱かれたいつながりたい所有されたい共有したい
愛 . . . 本文を読む
誰が何処にいるのか
真夜中の時は過ぎていくのに
待っていてくれるかどうか
暗い部屋に寝台があり
ひとの気配がない
窓の外はほの明るく
誰が
誰が待っていてくれるのか
ミッドナイトアウアがほとんどオーヴァーしていくのに
時は走っていくのに
寝台に
激しい息づかい
かすかに洩れる声
肉の重さ
魂の冷たさ
震える唇
誰が
誰が何処にいるのか
誰も
見えない
いつか
いつだったか
何も見えない
. . . 本文を読む
人間何に対してやさしくなれるか考えてみると
いろいろ難しいことがある
ひとにやさしい政治をこころがけると言うと
じゃあんたクジラはどうなるのとちゃちゃをいれる輩が現われる
もちろん
クジラにやさしい政治と言ったら
おれたちのおまんまどうなるのと泣きつかれる
でも
そんな極論言うひとばかりでもなくて
クジラにやさしい政治は
ひとにもやさしい政治だよ
ひとにやさしい政治は
クジラにもやさしい政治だよ . . . 本文を読む
大岡信ができるだけぶっきらぼうに詩を書きたいと言ったからといってそこらへんに散らばっていることばをぼくらのレベルの計らいでそれこそぶっきらぼうに取り集めてぶっきらぼうに書き連ねて詩になったと自賛しているようではお笑い草だ
吉本隆明が親鸞について信ずる者と信じない者とはイコールになってしまうわけだがこのイコールは三百六十度を回ってきたイコールだからただのイコールじゃないと言ったり いわゆる浄土 . . . 本文を読む
メメント・モリ
―死を想え
死ぬときに
良く生きたと
うそぶいて死ね
良く生きよ
スベテヨシと
かたって死ね
ひとの智慧は中庸をとれと諭す
なにごとも常識を旨とせよ
ぶち壊せ
ぶち壊せ
ぶち壊せ
悪いことをしろ
極端にはしれ
走り廻って掻き回せ
ひっくり返せ
跳ねあがれ
暴れろ
飛びだせ
捨てろ捨てろ捨てろ
※
メメント・森
―森を想え
ひとは森に帰る
大江健三郎も熊谷武雄も . . . 本文を読む