ガス窯でパンを焼くようになってから今年で丸10年。
パンを美味しく作るための試行錯誤も過去の話。
今は完成したレシピを愚直に繰り返すのみ。
季節や天気に関係なく一定してそこそこ旨いパンが焼けて自己満足。
ここで思い出すのが敬愛する柳宗悦氏の民芸運動。
「民藝とは生活に忠実な健康な工藝品を指すわけです。(略)吾々の日常最もいい伴侶たらんとするものです。使いよく便宜なもの、使ってみて頼りになる真実なもの、共に暮らしてみて落ち着くもの、使えば使うほど親しさの出るもの、それが民藝品の有[も]つ特性です。(略)一言でいえば誠実な民衆的工藝、これがその面目です。その美は用途への誠から湧いて来るのです。吾々はそれを健康の美、無事の美と呼んでいいでしょう」。
そして、柳が民藝品に厳しく定めたのが次のような基準だった。「実用性(=鑑賞用ではないもの)」、「無銘性(=作家でなく無名の職人によってつくられたもの)」、「伝統(=先人の技や知識が積み重ねられているもの)」、「地域性(=地域の暮らしに根ざした独自の色や形)」、「複数性(=数多くつくられるもの)」、「廉価性(=誰もが買い求めやすい値段であること)」、「労働性(=繰り返し作業によって得られた技術の熟練を伴うもの)」、「分業性(=数多くつくるため共同作業によるもの)」、「他力性(=個人の力より、風土や自然の恵みによって支えられていること)」。
最高のパンを作ろうと試行錯誤しているうちはまだまだ至らなという事でしょうか(笑)。
同じころに始めた野菜作りも10年経ちます。
これも今は肩の力を抜いた野良仕事に終始。
なんでも10年やれば「用の美」に至る。かも?
>肩の力を抜いた・・・ 大事なことですね!